この記事では「おざなり」について解説する。

端的に言えばおざなりの意味は「適当に対処すること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「おざなり」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「おざなり」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「おざなり」の意味や語源・使い方まとめ

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「おざなり」はしばしば使われる言葉ですが、正確な意味や語源を知っている人は少ないかも知れません。それでは早速「おざなり」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「おざなり」の意味は?

まず初めに、「おざなり」の正確な意味を辞書からの引用で確かめてみましょう。「おざなり」には、次のような意味があります。

1.その場限りのまにあわせで事を済ませようとしている様子。

出典:新明解国語辞典(三省堂)「おざなり」

2.いいかげんに物事をすませること。その場だけの間に合わせ。また、そのさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「おざなり」

「おざなり」とは、その場しのぎで適当に事を済ませることを言います。いい加減に済ませる、とも言えるでしょう。例えば、学校の宿題で出たレポートを、自分の考えも書かずに参考文献からそのまま写して提出したものは「おざなりに書いたレポート」と言えますね。また「おざなり」は、人の態度に対しても使うことができ、返事がてきとうでいい加減である場合などにも「おざなりな返事」と使うことができます。

「おざなり」の語源は?

次に「おざなり」の語源を確認しておきましょう。「おざなり」は江戸時代に使われていた「座形(ざなり)」と言うことばに由来しています。

「座形」とは、「御座敷形」とも言い、江戸時代の酒席で使われていた隠語でした。当時、宴席には太鼓持ちの役割をする男性がおり「幇間(ほうかん)」と呼ばれていました。「幇間」は、宴会の席でその場の雰囲気に合わせて芸をしたり、お世辞や話で盛り上げたりする職業でした。そして、「幇間」はお客によっては手抜きをして、その場しのぎの芸をしていたそうです。このように、その場に合わせて芸をしたり、手抜きをすることを「座形」と言い、これが「おざなり」の語源となったと考えられています。

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「おざなり」の使い方・例文

それでは、「おざなり」の使い方を実際の例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.国語の時間、教科書を読む勉強ばかりで工夫がなく、おざなりな指導ではないかと児童の親から苦情があった。
2.上司からの指摘におざなりな言い訳ばかりしている部下では、職場での信頼関係が成り立たない。
3.人気があるカルチャースクールだと聞いていたが、体験入店した際、講師におざなりな対応をされてがっかりした。

このように「おざなり」は人の言動や態度に対して使われます。また、例文1と例文3は、適当な、いい加減な、と言う意味で、例文2は、その場しのぎの、と言うニュアンスで用いた文章です。

「おざなり」の類義語は?違いは?

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「おざなり」の類義語には「やっつけ仕事」や「ぞんざい」などがあります。

「やっつけ仕事」

「やっつけ仕事」は、「おざなり」と類似した意味を持ち、とても良く使われる現代語です。急いでいたり、面倒がって真剣にやらず、間に合わせのいい加減な仕事をすることを表します。仕事とは言いますが、ビジネスシーンには限らず、何かを作る時や処理する時にも使えますね。「おざなり」と違い、態度など、様子を表す時には使えませんが、意味は同じです。

「やっつけ仕事」の使い方も、実際の例文で確かめてみましょう。

\次のページで「「ぞんざい」」を解説!/

・彼の作った文章は、ほとんどの部分が新聞に掲載された記事を転載しただけのやっつけ仕事だった。

「ぞんざい」

「ぞんざい」は、 いいかげんに物事をする様子や、投げやり、言動が乱暴で失礼なことを意味します。「仕事をぞんざいにする」などの使い方で、いい加減に事を済ましてしまう、と言う意味で用いられた場合、「おざなり」の類義語となるでしょう。

「ぞんざい」の語源ははっきりとしておらず、「粗雑(そざつ)」が変化したものだろうと言う説があります。それでは、「ぞんざい」の使い方も、例文で確かめてみましょう。

・パワハラやセクハラ問題への人事課のぞんざいな対応にあきれ果て、転職を考えている。

「おざなり」の対義語は?

「おざなり」の対義語には「入念」が挙げられます。

「入念」

入念(にゅうねん)」は、細かいところまで注意が行き届いて丁寧であることです。漢字を見て分かるように、念を入れると言うことですね。「おざなり」は、いい加減にすることですから、丁寧にすみずみまで配慮すると言う意味の「入念」は対義語と言えるでしょう。

では、「入念」の使い方も例文で確かめてみましょう。

・新しいブランドを立ち上げるため、情報収集や必要な人脈の確保など、入念な準備をしているところだ。

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「おざなり」と「なおざり」の違いとは?

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「おざなり」と「なおざり」は意味も読み方も似ていて混同しやすい言葉ですので、違いをしっかり覚えておきましょう。

「おざなり」は前述してきたとおり、適当にやる、その場しのぎで事を済ます、と言う意味でした。いっぽう「なおざり」は漢字で「等閑」と書き、いいかげんで、おろそかにしていることを意味します。意味が似ていて、どこが違うの?と感じる方も少なくないでしょう。しかし、その違いは語源を見れば明らかなのです。

「なおざり」の語源は、平安時代にさかのぼり、「なお」「せざり」が変化した言葉だと考えられています。「なお」は、そのまま、と言う意味で、「せざり」は、しない、と言うことです。よって、「なお」「せざり」は、そのまま放置してなにもしない、と言う意味になるわけですね。つまり、「おざなり」は、適当にやること、「なおざり」はおろそかにして放っておく、と言うことなのです。「なおざり」は、適当にすらやらない、と言うことですね。

「おざなり」を使いこなそう

この記事では「おざなり」の意味・使い方・類語などを説明しました。「おざなり」と「なおざり」が紛らわしいのは有名ですが、語源を知っていれば、しっかり区別ができますね。「おざなり」は適当にやること。「なおざり」は放りぱなしでやらないことでしたね。やらないよりやった方がましなのか、適当にやるくらいならやらない方がましなのか…、どちらにしても良い事ではありませんね。

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「おざなり」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学部卒Webライターがわかりやすく解説!

「おざなり」の使い方・例文

それでは、「おざなり」の使い方を実際の例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.国語の時間、教科書を読む勉強ばかりで工夫がなく、おざなりな指導ではないかと児童の親から苦情があった。
2.上司からの指摘におざなりな言い訳ばかりしている部下では、職場での信頼関係が成り立たない。
3.人気があるカルチャースクールだと聞いていたが、体験入店した際、講師におざなりな対応をされてがっかりした。

このように「おざなり」は人の言動や態度に対して使われます。また、例文1と例文3は、適当な、いい加減な、と言う意味で、例文2は、その場しのぎの、と言うニュアンスで用いた文章です。

「おざなり」の類義語は?違いは?

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「おざなり」の類義語には「やっつけ仕事」や「ぞんざい」などがあります。

「やっつけ仕事」

「やっつけ仕事」は、「おざなり」と類似した意味を持ち、とても良く使われる現代語です。急いでいたり、面倒がって真剣にやらず、間に合わせのいい加減な仕事をすることを表します。仕事とは言いますが、ビジネスシーンには限らず、何かを作る時や処理する時にも使えますね。「おざなり」と違い、態度など、様子を表す時には使えませんが、意味は同じです。

「やっつけ仕事」の使い方も、実際の例文で確かめてみましょう。

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