この記事では「足が遠のく」について解説する。

端的に言えば足が遠のくの意味は「行かなくなること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本語学を中心とし、文学・語学を専門的に学んでいるライターのイオリを呼んです。一緒に「足が遠のく」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/イオリ

日本語学を専門に学び、趣味は読書と小説執筆という日本語漬けの毎日を送るライター。日本語オタクとして言葉の意味や内容、その面白さを丁寧に解説していく。

「足が遠のく」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「足が遠のく」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「足が遠のく」の意味は?

「足が遠のく」には、次のような意味があります。

今までよく行っていた所に行かなくなる。足が遠くなる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「足が遠のく」

今までしょっちゅう行っていた場所なのに、ふと気づけば行かなくなっていた…という経験がある人もいるのではないでしょうか。何かしらの理由があったり何となくだったり、徐々に行く回数が減っていったり突然ぱったりと止めてしまったり、その経験も様々であることでしょう。ここで紹介する慣用句「足が遠のく」は、そんな「今まで行っていた場所に行かなくなること」を指した言葉です。実際に見たり使ったりしたことがある人もいるかもしれません。難解な用例の慣用句と言うわけではありませんが、身近な言葉であるためここで一度確認しておきましょう。

「足が遠のく」の語源は?

次に「足が遠のく」の語源を確認しておきましょう。

まず「足」という部分ですが、これは人間にとって最も基本的な移動手段ですよね。動物に乗ったり車に乗ったり、時代と共に使用する乗りものは変化していきますが、「足」だけはずっと変わりません。だからこそ移動や行動に関係する慣用句については、「足」という単語を用いて表すことが多かったのです。訪問することを「足を運ぶ」と言ったり、遠くまで赴くことを「足を伸ばす」と言ったりもしますよね。「足が遠のく」もこの例で、足が目的地から遠くなってしまうという意味である場所に行かなくなってしまうことを表現したのです。

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「足が遠のく」の使い方・例文

「足が遠のく」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.大学近くのお店の中でも特にあの飲食店にはよく行っていたが、食中毒事件が起こってから足が遠のいてしまった。
2.その百貨店は繁盛していて会員サービスやイベントの実施なども盛んに行っていたが、会社が忙しく足が遠のいてしまった。
3.昔見ていたサッカーのサイトは更新が途絶えてから足が遠のいてしまっていたが、この機会に久しぶりに見てみようと思う。

1の例文はよく行っていた飲食店に行かなくなってしまったことを「足が遠のいてしまった」という形で表現した文章です。このように、「足が遠のく」とは以前は行っていた場所に行かなくなってしまうことを指した慣用句であり、ただ単に行かないという状態であることを「足が遠のく」とは言わないため、注意しておきましょう。

2の例文も基本的には1と同じで、行っていたはずの百貨店に行かなくなってしまったという文章です。こちらは行かなくなった理由が自分自身の忙しさにあるという点がポイントですね。このような場合でも1のように行く場所側に何か理由がある場合でも同じ形で使うことができる慣用句であるため、比較的使いやすいと言えるでしょう。

3の例文はよく見ていたサイトを見なくなってしまっていたという部分を「足が遠のいてしまっていた」と表した文章ですね。このように、実際に足を使って移動しそこを訪問しているわけではなくても、比喩的な形で「足が遠のく」を使うことも出来ます。単に見なくなったというよりも、こちらの方が文章に深みが出る感じがしますね。

「足が遠のく」の類義語は?違いは?

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では次に「足が遠のく」の類義語を確認していきましょう。意味は「今まで行っていた場所に行かなくなること」でしたね。

「疎遠になる」

これは「そえんになる」と読み、「関係が薄いこと」「音信や訪問が途絶えていること」を意味する慣用句です。「あの友人とは疎遠になっている」などという使われ方をしますよね。「足が遠のく」もその場に行かず訪問することがなくなってしまう、といった意味を持っているので、近しい類義語だと言えるでしょう。

一方で「疎遠になる」と「足が遠のく」の相違点を挙げるとすれば、「疎遠になる」は主に人に対して使われる言葉であり、「足が遠のく」は主に場所に対して使われる言葉であるという点でしょう。人に対して「〇〇さんからは足が遠のいてしまう」とはあまり言いませんし、場所に対して「あそこのデパートとは疎遠になってしまった」と言うこともほとんどありません。何か特別な場合を除いて、基本的にはこの形で使われることは無いため、しっかりと押さえておきましょう。

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「足が向かない」

「足が向く」というと「知らず知らずその方向へ行く」と言った意味を表しますが、反対に「足が向かない」と言うと「なんとなくその方向へは行かなくなる」というような意味になります。「学校に足が向かない」などと表現して、「なんとなく学校に行くのが嫌だな…」というようなニュアンスを表すことが可能です。「足が遠のく」とはおなじ足と言う単語を使っているため、この点でも類似していると言えそうですね。

二つの慣用句における相違点は、その時間の差と言えるでしょう。「足が遠のく」はもう行かなくなってしまったという感じを表す言葉ですが、「足が向かない」は現在進行形で行かないという行為や行きたくないという心情を表しています。行くのが嫌で「足が向かない」ようになり、とうとう「足が遠のいてしまった」というような流れになりますね。また「足が向かない」には前述した通り「なんとなく嫌だ、行きたくない」といった感情が含められていることもポイントです。「足が遠のく」にはそれほどマイナスなニュアンスは含まれていないため、この違いも忘れないようにしておきましょう。

「足が遠のく」の対義語は?

類義語を確認したところで、次は「足が遠のく」の対義語を見ていきましょう。

「足繁く」

これは「あししげく」と読み、「たびたび行くさま、頻繁に」というような意味を持ちます。「足繁く通う」などという使い方をされますね。頻繁にその場所に行く、通うという点で「足が遠のく」とは対義語であると言えるでしょう。こちらも同じ足という言葉が入った慣用句であり、対義語としても覚えておきやすいですね。

「足が遠のく」には「よく行っていた場所に行かなくなる」と言う意味があり、「かつてはよく行っていた」という点が重要であるため、「足繁く通っていたが足が遠のいてしまった」というような流れを作ることも可能です。対義語ではありますが、並べて見るとこうして意味を繋げられることもありますね。

「足が遠のく」の英訳は?

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では最後に「足が遠のく」の英訳を見ていきましょう。

「to visit less often」

「to visit」で「訪れる」、「less often」で「頻度が低い」を表し、全体で「足が遠のく」という意味を持った英語表現です。一つ一つの単語の意味を見ると意味も理解しやすいですね。

ただこの英語表現には「よく行っていた場所である」という前提条件が無く、単純に「行く頻度が少ない」と言う意味を表すため、日本語の「足が遠のく」とは多少のズレがあります。正しい意味を表すためにも、こういった細かい点まで抑えておくようにしましょう。

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「足が遠のく」を使いこなそう

この記事では「足が遠のく」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「今まで行っていた場所に行かなくなること」という意味を持ち、実際の場所に対してもインターネット上などにある場所について比喩的に言うことも出来る、便利な言葉でしたね。しょっちゅう行っていたはずなのにそういえば足が遠のいてしまっている場所と言うと、どこかが思い浮かぶ人もいるかもしれません。足が遠のいてしまっている場所に久しぶりに訪れて見るのもいいかもしれませんね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「足が遠のく」の意味や使い方は?例文や類語を日本語オタクライターがわかりやすく解説!

この記事では「足が遠のく」について解説する。

端的に言えば足が遠のくの意味は「行かなくなること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本語学を中心とし、文学・語学を専門的に学んでいるライターのイオリを呼んです。一緒に「足が遠のく」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/イオリ

日本語学を専門に学び、趣味は読書と小説執筆という日本語漬けの毎日を送るライター。日本語オタクとして言葉の意味や内容、その面白さを丁寧に解説していく。

「足が遠のく」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「足が遠のく」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「足が遠のく」の意味は?

「足が遠のく」には、次のような意味があります。

今までよく行っていた所に行かなくなる。足が遠くなる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「足が遠のく」

今までしょっちゅう行っていた場所なのに、ふと気づけば行かなくなっていた…という経験がある人もいるのではないでしょうか。何かしらの理由があったり何となくだったり、徐々に行く回数が減っていったり突然ぱったりと止めてしまったり、その経験も様々であることでしょう。ここで紹介する慣用句「足が遠のく」は、そんな「今まで行っていた場所に行かなくなること」を指した言葉です。実際に見たり使ったりしたことがある人もいるかもしれません。難解な用例の慣用句と言うわけではありませんが、身近な言葉であるためここで一度確認しておきましょう。

「足が遠のく」の語源は?

次に「足が遠のく」の語源を確認しておきましょう。

まず「足」という部分ですが、これは人間にとって最も基本的な移動手段ですよね。動物に乗ったり車に乗ったり、時代と共に使用する乗りものは変化していきますが、「足」だけはずっと変わりません。だからこそ移動や行動に関係する慣用句については、「足」という単語を用いて表すことが多かったのです。訪問することを「足を運ぶ」と言ったり、遠くまで赴くことを「足を伸ばす」と言ったりもしますよね。「足が遠のく」もこの例で、足が目的地から遠くなってしまうという意味である場所に行かなくなってしまうことを表現したのです。

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