

端的に言えば竹馬の友の意味は「幼馴染のこと」だが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
今回は日本語学を中心とし、文学・語学を専門的に学んでいるライターのイオリを呼んだ。一緒に「竹馬の友」の意味や例文、類語などを見ていくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。
ライター/イオリ
日本語学を専門に学び、趣味は読書と小説執筆という日本語漬けの毎日を送るライター。日本語オタクとして言葉の意味や内容、その面白さを丁寧に解説していく。
「竹馬の友」の意味は?
「竹馬の友」には、次のような意味があります。
幼いころに、ともに竹馬に乗って遊んだ友。幼ともだち。幼なじみ。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「竹馬の友」
「竹馬」という文字を見て、皆さんは何を思い浮かべますか?立てた二本の竹に足場となる横木を付けて、そこに左右の足をそれぞれ乗せて上手くバランスを取りながら歩く…といったあの遊びを連想する人が多いのではないでしょうか。実際に小さい頃竹馬で遊んだという人も少なくないかもしれません。
そんな「竹馬」という単語が使われたこの「竹馬の友」と言う慣用句ですが、意味は「幼いころに、ともに竹馬に乗って遊んだ友」で、読み方は「たけうまのとも」ではなく「ちくばのとも」です。漢字が同じで「竹馬」という字からすぐに連想される遊びがあるため、間違えてしまいそうになりますね。しかし実は「竹馬の友」の語源もこの遊具としての「竹馬」なのです。ややこしいですが、一度ここで確認していきましょう。
「竹馬の友」の語源は?
次に「竹馬の友」の語源を確認しておきましょう。
前述の通り語源は遊具としての竹馬がポイントになってきますが、時代をさかのぼると竹馬は今のものと全く違った形の遊具だったことがわかります。古くは中国で、先端にたてがみを付けた竹の棒を馬に見立てた遊具でした。子供たちはこれに跨り、走って競争するなどして遊んでいたのです。そして中国の史書、「晋書 殷浩伝」に、この竹馬にまつわるエピソードが記されています。
昔、桓温という軍人が幼馴染の殷浩を失脚させたとき、民衆に「殷浩とは幼い頃共に竹馬で遊んでいたが、あいつは私の捨てた竹馬を拾って遊んでいた。つまり私の方が上ということだ」と言いました。これが「竹馬の友」の語源になったというわけです。「竹馬の友」には元々「ライバル」というようなニュアンスの意味があったのですが、このエピソードからはその片鱗を感じられるかもしれませんね。幼い時代を共にしたよきライバル、というような情緒を感じられます。