この記事では「猫に小判」について解説する。

端的に言えば猫に小判の意味は「値打ちの分からない者に与えても意味がないこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本文学科出身で事務職を経て現在はライター業のかたわら校正もしているjasminを呼んです。一緒に「猫に小判」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/jasmin

日本文学を専攻し事務職を経て現在は校正兼ライター。正しく美しい日本語を追求している。今回は招き猫から連想する「猫に小判」について説明していくが、犬よりは猫を飼いたいらしく、名前も決めてあるらしい。

「猫に小判」の意味や語源・使い方まとめ

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それではさっそく「猫に小判」の意味と使い方を見てみましょう。

「猫に小判」の意味は?

「猫に小判」には、次のような意味があります。

1.貴重なものを与えても、本人にはその値うちがわからないことのたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「猫(ねこ)に小判(こばん)」

猫に小判のような値打ちのあるものを与えても喜ばないことを、使い方や価値が分からない人には何の役にも立たないことや意味がないことを例えた語です。価値の分からない他人を批評するとき、または自分が使い方や価値の分からないことを謙遜して言うこともあり他人を批評する言い回しのほかにも、自分を謙遜する場合の例えにも使われるところが日本人らしいですね。

「猫に小判」の使い方・例文

「猫に小判」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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1.今日、子どもにいろはかるたを買ってあげたが、最初に興味を示しただけでまだ字の読めない我が子には猫に小判だったらしくことわざに目もくれなかった。
2.取締役会で登録商標した最新型ポインターのプレゼンをすることになったが、開発畑にいるわけではなく日頃ポインターを使ったことのない私には猫に小判だったので失笑を買ってしまい、結局笑いを提供しただけだった。
3.母は機械にうとかったが必要にかられてパソコンを買い、基本設定やファイルの管理、アプリをインストールしたり母が見たいホームページを検索するのは娘の私の役目で猫に小判だなと思った。

例文1は自分の子どもに賢くなってもらおうといろはかるたを買ってあげたが字が読めないため最初に興味を示しただけであとは目もくれないという文で、例文2は最新型のポインターを取締役会で説明をしようとしたが自分で開発したわけではなく使い慣れていないため恥をかいてしまったということで、3は母親が買ったパソコンを使えるように設定し管理しているのは娘で使いこなせない母親にとっては「猫に小判」だったという使い方です。例文1と3は自分以外の人を批評するときの使い方で、例文2は自分を謙遜するようなニュアンスのときに使います。

「猫に小判」の類義語は?違いは?

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「猫に小判」と同じように値打ちが分からないなどの意味を持つ言葉にはなにがあるでしょうか。また、違いも見ていきましょう。

「豚に真珠」

皆さんもよく知っている「豚に真珠」が同義語です。意味は「猫に小判」と全く同じでどんなに貴重な値うちのあるものでも価値のわからない人には無意味だということを、豚には真珠の価値がわからないと例えた言葉になります。

どうして猫は小判なのに豚は真珠と表現するのでしょうか。そう例えるようになった由来は不明ですが小判も真珠も貴重なものですから価値が分からない人はどうすればいいか分からないため、高価なものや貴重なものを持つには値打ちが分からない人でないとふさわしくないというニュアンスを感じます。

「犬に小判」

「猫に小判」と同様に犬には小判の価値が分からないということからで、または意味の通じないことの例えにもなります。似たような慣用句に「犬に論語」がありますがこちらも犬に論語を教えてもむだなことの意味です。犬は日本では江戸時代から裕福な人たちに飼われていましたが、慣用句の世界だと「犬も食わない」や「犬の遠吠え」などの意味を考えるとなぜかいい扱いを受けていません。

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「猫に小判」の対義語は?

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意味がない、価値が分からないといった意味の「猫に小判」ですが、対照的な意味の言葉は何でしょうか。

「猫にまたたびお女郎に小判」

それぞれの大好物を例えたもので、猫はまたたびが大好きで女郎は小判が好きなので与えると非常に効果的だということで「猫に小判」は猫は小判に興味がないので意味がないということでしたが、猫はまたたびが大好きでまたたびを見ると寄っていきます。またたびは「木天蓼(もくてんりょう)」ともよばれ猫はまたたびを食べたり匂いをかぐことでリラックスをしてゴロゴロしたりするそうです。

また、女郎でなくても小判は好きだと思いますが女郎の世界は特にお金にはシビアだったのでしょうか。

「猫に鰹節」

「猫に鰹節(かつおぶし)」は猫の好物である鰹節をそばに置いておくと危険で油断ができないという意味になります。少し意味合いは違いますが、「猫に小判」が猫が興味を示さないことのが意味がないことをあらわしていること対して「猫に鰹節」は猫が大好きな鰹節に関心を示し奪ってしまうことがわざわざ過ちや危険を起こすことになりますので、リアクション的には反対の意味です。

「猫に小判」の英訳は?

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「猫に小判」は英訳するとどうなるのでしょうか、これから解説します。

「casting peals before swine」

慣用句として「猫に小判」または「豚に真珠」という意味です。「casting」は「投げる」「throw」 (投げる)が入ることもあり「peals」が真珠の複数形、「before」が「~の前に」で「swine」が「豚」のことで使用されている「before」がどうやって訳されるのか分かりかねますが「豚に真珠を投げ与える」という訳になります。「豚に真珠」は英語圏でも同じなのですね。

\次のページで「「猫に小判」を使いこなそう」を解説!/

「猫に小判」を使いこなそう

この記事では「猫に小判」の意味・使い方・類語などを説明しました。よく見られる招き猫の置物やイラストにあるように、猫が小判を持っていますがこれはなぜ小判を持っているのかは情報がなく、昭和20年頃から所定の位置に小判を持つようになりそれ以前はシンプルに首につけた鈴だけだったそうで、小判に書いてある金額は最初「千両」や「万両」でしたが時代と共に金額も上がってきたそうです。国が豊かになればなるほど人間の欲望の数だけ金額も上がっていったということでしょうか。小判の価値が分からない猫がなぜ小判を持っていることはまったくもって謎ですが、もしかしたら何か深い意味がこめられているのかもしれません。

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【慣用句】「猫に小判」の意味や使い方は?例文や類語を校正者兼ライターがわかりやすく解説!

この記事では「猫に小判」について解説する。

端的に言えば猫に小判の意味は「値打ちの分からない者に与えても意味がないこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本文学科出身で事務職を経て現在はライター業のかたわら校正もしているjasminを呼んです。一緒に「猫に小判」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/jasmin

日本文学を専攻し事務職を経て現在は校正兼ライター。正しく美しい日本語を追求している。今回は招き猫から連想する「猫に小判」について説明していくが、犬よりは猫を飼いたいらしく、名前も決めてあるらしい。

「猫に小判」の意味や語源・使い方まとめ

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それではさっそく「猫に小判」の意味と使い方を見てみましょう。

「猫に小判」の意味は?

「猫に小判」には、次のような意味があります。

1.貴重なものを与えても、本人にはその値うちがわからないことのたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「猫(ねこ)に小判(こばん)」

猫に小判のような値打ちのあるものを与えても喜ばないことを、使い方や価値が分からない人には何の役にも立たないことや意味がないことを例えた語です。価値の分からない他人を批評するとき、または自分が使い方や価値の分からないことを謙遜して言うこともあり他人を批評する言い回しのほかにも、自分を謙遜する場合の例えにも使われるところが日本人らしいですね。

「猫に小判」の使い方・例文

「猫に小判」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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