
【神作者で選ぶ】野球マンガならこれを読め!敏腕編集者が選ぶ野球マンガ20選
個人的にも、プロ野球も終わったオフシーズンに読みたくなるのが野球マンガ。連載中の作品から古典のような作品まで本当に様々な作品がありますが、その多さゆえに次の野球マンガを見つけるのに苦労することも…!
そこで本日は「ドラゴン桜」「宇宙兄弟」等の編集を手掛ける佐渡島庸平さんから「高校野球マンガの神作者5名と、そのおすすめマンガ」を聞いてきました。これはハズレなしと自信をもっておすすめできるラインナップ。見逃さないようにしてください!
佐渡島編集長による、野球マンガの神5人のおすすめマンガ!
「野球マンガは面白いし好きだけど、数が多くてどう選べばいいんだろう?」って思ったこと、ありませんか?
そんな時こそ、野球マンガの神の作品に注目すればいいんです!というわけで今回は「この作者の野球マンガが特におすすめ」という作品を佐渡島さんに教えて頂きました。
往年の名作から野球マンガ通も唸る作品まで目白押し。正直全部読んで欲しいラインナップです。チェックしてみてくださいね!
1979年生まれ。東京大学文学部を卒業後、2002年に講談社に入社。
週刊モーニング編集部にて、『ドラゴン桜』(三田紀房)、『働きマン』(安野モヨコ)、『宇宙兄弟』(小山宙哉)などの編集を担当。2012年に講談社を退社し、クリエイターのエージェント会社、コルクを創業。
著名作家陣とエージェント契約を結び、作品編集、著作権管理、ファンコミュニティ形成・運営などを行う。
野球マンガの神5選!1人目 水島新司
佐渡島さんがまず紹介するのが、水島新司先生です。
その代表作とくれば、なんと言っても高校野球マンガの代表格『ドカベン』。読んだことはなくても、名前は聞いたことが確実にあるでしょう。他にはプロ野球をメインにした『野球狂の詩』『あぶさん』などもあります。
佐渡島さん情報によれば、水島先生自身の野球歴もハンパないそうで、野球をしつつマンガ原稿を神宮球場で受け渡ししていたとか。すごすぎます…!そんな”ガチ”な水島先生のマンガ、面白いに決まっていますよね。ここでは『ドカベン』『野球狂の詩』『あぶさん』『男どアホウ甲子園』『大甲子園』をご紹介します!
#1 古典だからこそ読んでおきたい『ドカベン』

ドカベン (1) (少年チャンピオン・コミックス)
コミック > コミック
秋田書店
水島 新司(著)
主人公「ドカベン」こと山田太郎を中心に、仲間やライバルたちと繰り広げる高校野球マンガの最高峰。
超平凡な名前ながら、打撃に送球・捕球力抜群と超最強のキャッチャーであるドカベンですが、それ以上に「周りは個性的なキャラクターばっかり」と佐渡島さん談。たしかに「学生帽にくわえ葉っぱ」の岩鬼正美のビジュアルは、誰しもどこかで見たことがあるのでは?
そんな生き生きとしたキャラクターたちのドラマが、作品人気を爆発的なものにしたとも言われており、魅力的なキャラがたくさん出る作品が好きな人にも自信をもっておすすめできる作品です!
それだけではなく、読みや駆け引きの深い描写など、リアル野球のファンも唸らせる作りになっていることも特徴で、野球を知れば知るほど面白さがわかってくる作品でもあります。
そんな風に野球に詳しくない人から通の人まで楽しめる『ドカベン』。あらゆる野球マンガファンに読んで欲しい作品です!
#2 オムニバス形式で読みやすい『野球狂の詩』

野球狂の詩(愛蔵版) 1 (KCデラックス)
コミック > コミック
講談社
水島 新司(著)
50歳を過ぎてなお現役の岩田鉄五郎をはじめ、個性的な主人公たちの熱い思いと活躍を描く。後半からは女性プロ野球選手・水原勇気へとバトンタッチし、女性ならではの視点も盛り込まれる作品に。
…と、あらすじだけでも、超個性的な主人公が登場することがわかるマンガです。オムニバス形式で読みやすく、色々な人物のドラマを楽しめるのも嬉しいポイント。深いドラマ性に定評があり、愛すべき「野球狂」たちの姿が胸に刺さります。
『ドカベン』から比べて人物の年齢層も上がり、よりオトナが読んでこそ楽しめる作品と言えるかもしれません。自分の野球マンガ観を広げるのにもおすすめといえるでしょう!
#3 実名野球選手の登場がいまも魅力の『あぶさん』

あぶさん: のんべ鷹 (1) (ビッグコミックス)
コミック > コミック
小学館
水島 新司(著)
「あぶさん」こと主人公・景浦安武が繰り広げる大活劇野球マンガ。リキュール「アブサン」の名の通り、酒豪の強打者が魅せるド派手な逆転劇と、酒と喧嘩の大人の世界が魅力の作品。アツい予感を引っさげた「景浦」コールに、球場は今日も沸く!
実名野球選手も多数登場していることが特徴で、連載開始当時は珍しかったプロ野球パ・リーグを題材にしたことでコアなファンも多い作品です。単行本は100巻を超え、日本で最長のスポーツ漫画にも(2020年現在)。
#4 甲子園モノの古典をおさらい。『男どアホウ甲子園』

男どアホウ甲子園 (1) (秋田文庫)
文庫 > コミック
秋田書店
水島 新司(著)
主人公はストレートしか投げない豪腕投手、藤村甲子園!その名が示す通り、彼が目指すのは甲子園優勝、阪神タイガース入団。そして…打倒読売ジャイアンツ!夢を抱きマウンドに上がる「剛球一直線」の、一本気な活躍を追うストーリー。はたしてその夢は最後まで貫かれるのか。最終話で対決する“あの人物”との勝負は必見です。
『ドカベン』以前に描かれた作品で、その迸る野球へのパッションは今でも抜群の読み応え。続編に『一球さん』も。
#5 夢のクロスオーバー実現『大甲子園』

大甲子園 (1) (少年チャンピオン・コミックス)
コミック > コミック
秋田書店
水島 新司(著)
あの結末が今ここに!水島マンガのキャラクターが多数登場し、野球対決する夢のクロスオーバー作品。『ドカベン』の主人公・山田太郎と明訓高校を中心としながらも、『男どアホウ甲子園』や『一球さん』など、他作品からのゲストも多数登場する。ライバルたちの目標はもちろん「打倒山田」!果たして、甲子園優勝はどの高校に。
他の水島作品が甲子園出場を決めて終了となることが多かったのは、実はこの作品の構想があったからだそう。ファン必読の夢の競演を楽しみましょう!
野球マンガの神5選!2人目 コージィ城倉
次に佐渡島さんが紹介するのが、コージィ城倉先生です。
代表作として『砂漠の野球部』の他、「森高夕次」名で原作者を務めている『グラゼニ』も挙げられています。原作者としても活躍しているということで、ガラッと画風が変わった作品が出てくることも魅力ですね。
「自分で描いても面白いし、原作者としても面白い。天才的な作家」と佐渡島さん大絶賛で「コージィ城倉さんにハズレなし!」と本気の太鼓判を押すほど。ここまで推されたら、読まないわけにはいきませんね…!
#6 高校野球の問題点を浮き彫りにする『砂漠の野球部』

砂漠の野球部(1) (少年サンデーコミックス)
Kindle版 > コミック
小学館
コージィ城倉(著)
相模大横浜高校の落ちこぼれ選手9名が、鳥取にあるオアシス学園から再起し甲子園を目指す物語。
まずなぜ鳥取?と思う人もいるかもしれませんが、マンガのなかでも「鳥取は甲子園出場の競争率が低い県」として紹介されています。(2018年の甲子園地区予選参加校は鳥取県25校と最低。)
つまり、弱小チームが甲子園を目指すには非常に理にかなっているのです。
そして、それこそがこのマンガ独自の魅力、「現実の高校野球が抱える問題点」を浮き彫りにしている点でもあります。都道府県での格差や、選手の使い捨て…。読み進めるうちに、こうしたことが作品の根幹にあって、鳥取が舞台であることにも深い理由があることがわかるのです。こういうノンフィクション・ドキュメンタリー要素を含むマンガ、個人的にも大好物です。
スポコン野球ものとしても面白い作品ですが、背景を知った途端に面白さが倍増する作品と言えるでしょう。どうでしょう、ちょっと興味が湧いてきませんか?普通の野球だけでなく、裏話も楽しみたい人には特におすすめです!
#7 プロ野球のお金をテーマにした話題作『グラゼニ』

グラゼニ(1) (モーニングコミックス)
Kindle版 > コミック
講談社
森高夕次(著),アダチケイジ(著)
超格差社会とも言われるプロ野球の世界。切っても切れないお金の問題に焦点を当てた作品。
移籍や年俸など、プロ野球を「お金」という切り口から野球を描くマンガで、「お金にまつわる描写がムチャクチャ面白い」と佐渡島さんもべた褒め。
ちなみに、主人公・凡田夏之介は「年俸マニア」で、他の球団の一軍選手の年俸も全て暗記。相手の年俸額によって強くなったり弱くなったりするとか…こんな設定、他にあるでしょうか?
『砂漠の野球部』でもそうでしたが、リアルな問題や裏側の一面などを知りたい人にはたまりませんね。その魅力が最高に発揮されている作品です!
#8 なるほどその切り口で来たか!『おれはキャプテン』

おれはキャプテン(1) (講談社コミックス)
コミック > コミック
講談社
コージィ 城倉(著)
様々な切り口で野球を描くコージィ城倉先生、今度はそう来たか!
モットーは「くたばれ体育会系!」!野球マンガのなかでも珍しい「ふさわしくない」キャプテンこと霧隠主将が、弱小野球部を率いて甲子園出場を目指すストーリー。熱意もなく後ろ向きだった霧隠は、周囲を、そして自分を変えられるのか。
独創的な練習方法に、独特の采配…戸惑いながらも、大きく変化していく環境の中で努力する野球少年たちの一風変わった成長物語が魅力の作品。
六大学野球に舞台を移した続編『ロクダイ』も必読です!
#9 次は東大の野球部を描く!『ロクダイ』

ロクダイ(1) (週刊少年マガジンコミックス)
Kindle版 > コミック
講談社
コージィ城倉(著)
『ふてくされ王子』のニックネームで高校野球を沸かせた霧隠主将が、新たに目指すは東京六大学野球のリーグ制覇!前作『おれはキャプテン』からのキャラクターも多数登場して、所属はなんと東京大学。コージィ城倉先生の「ノンフィクションルポ」っぽさを感じさせる作品だ!
さてその設定、最高学府のその頭脳で勝ちまくる…かと思いきや、東大野球部は弱小最弱で有名、チームメイト候補は4浪と、次から次へと問題が!?霧隠はピンチをどう乗り越えて行くのか。
野球を知り尽くした作者だからこその斬新な切り口が、今作でも遺憾なく発揮されています。
野球マンガの神5選!3人目 ちばあきお
佐渡島さんが3人目に紹介するのは、ちばあきお先生です。
『プレイボール』『キャプテン』を挙げ、「心底応援したくなるマンガ」と佐渡島さんも手放しで賞賛を送っています。優しい絵柄で、ひたむきに頑張るキャラクターの姿には、思わず感情移入してしまうのもわかりますね。
ちば家は他にも、ちばてつやさんに七三太朗さんにと、まさに日本のマンガ界を支えてきた血筋だそうですから、マンガ好きなら必ず押さえておきたいところです!
#10 イチローもファンだと公言する『キャプテン』

キャプテン 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
Kindle版 > コミック
集英社
ちばあきお(著)
名門野球部から転校してきた主人公・谷口タカオ。本当は2軍で補欠だったことも言い出せないまま、周囲から多大な期待を寄せられてしまう。その運命やいかに…。
と、非常に気になるスタートを切る今作。等身大のキャラクターの成長物語が最大の魅力で、タカオはひたすら努力・努力・努力!で頑張ります。佐渡島さんが思わず「努力最高!」と言ってしまうのも納得です。
ちなみに、あのイチローさんや新庄剛志さんもこの作品の大ファンだったそうで、「キャプテンとは何か」を考えさせられるストーリーは、スター選手にも大きな影響を与えたのかもしれません。現代でも通じる、野球マンガのバイブルとも言える作品です。
#11 「キャプテン」のその後を描いた『プレイボール』

プレイボール 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
Kindle版 > コミック
集英社
ちばあきお(著)
『キャプテン』のその後を描いた作品。怪我により一度は野球を諦めかけたタカオ。それでも情熱を失わなかった彼の姿は、チームメイトにも大きな影響を与えていく。
前作の続きとなる作品ですが、主軸にあるのはやはり努力です。タカオをはじめ、彼の姿を見て同じように頑張るチームメイトたち。一人の頑張りが、やがて大きなウェーブを起こす。そんな話が好きな人には非常に刺さる作品といえるでしょう。
作品の舞台は昭和30~40年代ですが、「一途に頑張る姿」というテーマは今でも色あせることはありませんね。時に泥くさいとも言える、登場人物がひたむきに頑張る姿に感動したい人におすすめです。
野球マンガの神5選!4人目 三田紀房
次に佐渡島さんが紹介するのが、『ドラゴン桜』『インベスターZ』等で知られる三田紀房先生です。
知的でクレバーな作風が魅力の作品群ですが、佐渡島さんが「高校野球マンガ」の1位として挙げている『砂の栄冠』は必ずチェックしたいところ!
他にも「(この作品が最高に面白くて)三田さんと仕事をしたいと思った」と言わしめたほどの傑作『甲子園へ行こう!』や、監督視点から描く異色の『クロカン』など、どれも気になるものばかり。
ここでは、『クロカン』と『砂の栄冠』『甲子園へ行こう!』『スカウト誠四郎』を紹介します。
#12 監督目線で描いた頭脳派野球マンガ『クロカン』

クロカン 1
Kindle版 > コミック・ラノベ・BL
日本文芸社
三田紀房(著)
通称「クロカン」黒木竜次の、高校野球部監督としての活躍と采配を描く。弱小高校は、甲子園出場の夢を果たせるのか。
さすが三田先生と言える作品です。監督視点で描かれることが何よりの特徴で、選手の育成や、采配に関する腹の探り合いなど、独自の面白さが際立ちます。鋭い分析力と解説にも注目ですよ。
野球マンガ=青少年が活躍する物語という通念を良い意味で裏切ってくれ、指導者の立場から野球を見るという新しい視点を与えてくれる作品とも言えるでしょう。これを読むと「あの時、監督はこんな風に考えていたのかな…」なんて、他の作品を見る目も変わってしまうかもしれません!
#13 高校野球マンガらしからぬ『砂の栄冠』

砂の栄冠(1) (ヤングマガジンコミックス)
Kindle版 > コミック
講談社
三田紀房(著)
あと一歩で甲子園出場を逃した樫野高校野球部。支援は打ち切られ、部員たちは意気消沈。だがそこに託されたのは、なんと現金1000万円!このカネを元に、野球部は甲子園へ…!
またまた三田先生らしい作品で、高校野球と金をテーマに、主人公でエース・七嶋裕之の非常なクレバーさが光る傑作です。
この七嶋が、メンバーのモチベーション管理から無能な監督のコントロールまで行う、なかなかにどす黒く、人の心理や心の闇に焦点を当てた内容なのですが、人間描写が「あるある」と言いたくなるほど的確で、その人間臭さの面白さに、ぐいぐい引き込まれてしまいます。
そんな高校野球マンガらしからぬ『砂の栄冠』ですが、部員たちの衝突やラストシーンなど、思わず涙してしまう熱い展開も。佐渡島さんに「高校野球マンガで一番泣いた」と言わしめる内容、ぜひその目で確認してください!
#14 神奈川県の報われぬ努力を描く『甲子園へ行こう!』

甲子園へ行こう!(1) (ヤングマガジンコミックス)
Kindle版 > コミック
講談社
三田紀房(著)
県大会参加校207校(平成12年)から1校しか甲子園にいけない、理不尽かつ報われぬ神奈川県にスポットを当てた作品。
至って普通の公立高校野球部が「神奈川県」で甲子園出場を賭けて、強豪校に立ち向かっていく野球マンガは「なるほどその設定があったか!」と膝をうつところ。
物語の主人公は、大会での押し出しサヨナラ負け…大きな敗北を引きずっていた四ノ宮純。そんな彼が「ピッチャーとして大切なことは」「勝つ野球とは」という問いに向き合い、甲子園出場という目標を抱いて決意を新たにするところから物語が始まる。
“甲子園に出場できるかどうか”に強く焦点を当てた力作。はたしてその結末は。
#15 スカウトに焦点を当てた奇作『スカウト誠四郎』

スカウト誠四郎(1) (イブニングコミックス)
Kindle版 > コミック
講談社
三田紀房(著)
“野球マンガの職人”とまで呼ばれる作者が、今度はスカウトマンにスポットライトを当てて描いた野球マンガ。毎回設定のクセが強いんじゃ…!
その優しい性格からプロ選手にはなれなかった主人公・武光誠四郎をはじめ、スカウトという視点を通して、野球に関わる様々な人間ドラマと、悲喜こもごもの成長物語を描く。
裏方として滅多に表に出ないスカウトマンの仕事を丁寧に描いた作品としても定評があり、特にプロ野球のドラフトが好きな人にはぜひとも読んで欲しい作品です。
野球マンガの神5選!5人目 あだち充
そして最後、佐渡島さんが「高校野球マンガの神5人」の中で1位」と紹介しているのが、あだち充先生です!
その瑞々しい作風は男女問わず人気で、言わずと知れた青春野球マンガのヒットメーカー。「どれも爽やか。気持ちがいいし、読みごたえがある」と佐渡島さんも言うように、野球を通して描かれる正統派青春ストーリーを求めている人には必須と言っても間違いではないでしょう。
『タッチ』『H2』『クロスゲーム』『MIX』などいくつもの名作がありますが、それぞれに違いがあるのも見どころ。自分には合うのはどの作品かな?と楽しみながら読むのもおすすめです。
#16 食わず嫌いはもったいない!『タッチ』

タッチ 完全復刻版(1) (少年サンデーコミックス)
Kindle版 > コミック
小学館
あだち充(著)
「甲子園につれていって」であまりに有名な、言わずと知れた青春野球マンガの金字塔。
双子の兄弟・達也と和也、幼馴染の南の三角関係を軸に描かれるストーリーが、多くのファンを獲得した不朽の名作です。コミックスの総売り上げは1億部を超えているということで、その数字だけで別格さがわかります。
そんなにもこの作品がヒットした理由は、「野球と恋愛」の二つを主軸として描いたからと言われております。野球だけでなくラブコメも好きという方にこそおすすめしてもいいのではないでしょうか。「なんとなく知っているから」という理由で手を付けずにいるのは本当にもったいない。ぜひ次のマンガに悩んだら、一度手にとって見てください。
#17 揺れ動く四角関係はもはや芸術!『H2』

H2〔文庫版〕 1 (小学館文庫 あI 61)
文庫 > コミック
小学館
あだち 充(著)
二人のヒーローとヒロイン(H2)の、野球にかける青春ストーリー。
揺れ動く四角関係で進む物語が魅力の作品で、あだち先生は結末をどう結ぶかを決めないまま連載を進めていたとのこと。その展開にハラハラドキドキしながら読んでしまうことでしょう。
彼らの恋模様に一緒に笑い、泣きたい人に強く読んで欲しい作品ですが、今回紹介した『タッチ』と、はたまたそれ以外のあだち作品と比較して、どれが一番好きでしょうか?読み比べてみるのも、面白いですよ。
#18 あだち野球マンガの原点『ナイン』

ナイン(1) (少年サンデーコミックス)
Kindle版 > コミック
小学館
あだち充(著)
野球をするのは、あの子の笑顔が見たいから…。
主人公・新見克也は短距離選手、親友の唐沢進も柔道部。中学時代は野球と縁のなかった彼らが、ひょんなことから知り合ったヒロイン・百合のため、廃部寸前の弱小野球部へ!時に三角関係、時にラブコメ、等身大のキャラクターたちの青春を追う物語。
甲子園出場に重きを置かれがちな野球マンガのなかで、青春ストーリーを重点的に描いた作品として人気も高く、あだち野球マンガの原点ともなったと言える作品です。
#19 時に苦く切なく、爽やかに『クロスゲーム』

クロスゲーム(1) (少年サンデーコミックス)
Kindle版 > コミック
小学館
あだち充(著)
主人公・樹多村光と、月島家の四姉妹を中心に巡る、青春野球マンガ。
特に、光と両思いだったが事故で亡くなってしまった次女・若葉の存在や、それに複雑な感情を抱く三女・青葉と光の恋模様など、ほろ苦くも爽やかな青春ストーリーが大きな魅力となっている作品です。
いい意味で、この「同じ役者が違うドラマをずっとやっている」感覚になるあだち作品に安心感すら感じるところ。
特待生の優遇や監督の育成方針の問題など、高校野球におけるリアルな問題をしっかりと取り上げていることも評価されて、第54回小学館漫画賞少年向け部門も受賞。
#20 あの明青学園がまた舞台になっていた!『MIX』

MIX(1) (ゲッサン少年サンデーコミックス)
Kindle版 > コミック
小学館
あだち充(著)
『タッチ』から約30年…長い時を経て、再び明青学園を舞台に織り成す青春野球ストーリー。
伝説のエース・上杉達也がいた時代は遠く、見る影もない現在。彼らははたして甲子園にいくことができるのか。熱い夏が、ふたたびやってくる…!
血の繋がらない兄弟・立花投馬と走一郎の二人を中心に描く今作は、過去作品を思わせる設定がふんだんに取り入れられており、往年のファンは思わずニヤリとすること間違いなしの作品です。
タイトルの『MIX』は、『タッチ』以外の過去作品からも要素をミックスして取り入れていることから、とのことですよ。
様々な切り口の野球マンガから、「自分だけの一冊」を見つけよう!
佐渡島さんの紹介する「野球マンガの神5人とそのマンガ」いかがだったでしょうか?
野球マンガとひと口に言っても、その内容はかなり多様なことがわかりました。自分に一番マッチしそうな作品を見つけられたら、あるいは今まで手に取ったことが無かった作品に出会えたとしたら、嬉しいです!
佐渡島さんも最初に言われていた通り、今回の順位付けは佐渡島さんの読書遍歴によるものでもあり、どれも甲乙つけがたく面白そうなものばかりでした。みなさんもたくさんの野球マンガを読んで、これはと思ったものがあったらぜひ教えてくださいね!
※文中で示している「2018年・甲子園地区予選の鳥取県出場高校数」のソースは以下より。
https://president.jp/articles/-/25450?page=1