今回のテーマは「地層」です。

地層とは崖などで見られる縞模様の正体のことで、長い年月をかけて石や砂、泥、さらに火山灰などが積もってできるものです。ここで注目したいのが地層のできる順番です。地層は古いものの上にどんどんと新しい土だったり火山灰だったりが重なってできている。ということは地層は下に行けば行くほど古い時代のもので、地層を調べれば過去にそこにどんな生き物がいたのか、そこで過去にどんなことが起きたかがわかるんです。化石が埋まっているのもこの地層です。

それでは地層について科学館職員のたかはしふみかが解説していきます。

ライター/たかはし ふみか

高校、大学で化学を学んだ科学館職員。歴史漫画を時々読み返すものの、歴史はあんまり得意ではない残念リケジョ。計画性はあるが実行力はなく、試験前に焦るタイプ。

地層とは?

image by PIXTA / 70400548

コトバンクによると地層とは「層状(何枚も重なって層ができた状態)をなして累積する堆積岩の岩体」とされています。堆積岩とは堆積物が石化してできたものです。そして私たちが地層と聞いてイメージする縞模様の構造を層理、その面を地層面と呼びます。

地層はどうやってできるのでしょうか。地層ができるまでには風化(ふうか)浸食(しんしょく)運搬(うんぱん)堆積(たいせき)といった働きがあります。

地層に関わる言葉

image by PIXTA / 56892171

ここで土に関するちょっと混乱しやすい言葉の確認をしておきましょう。

土・土壌

地球上の陸地の表面を覆っているもののことで、鉱物や有機物、気体、液体、生物などの混合物

地質

地面より下にある岩石や地層の性質などのこと

地盤

地殻の表層部のこと

よく聞くけど定義があいまいな言葉が多いですね。

\次のページで「地層のでき方」を解説!/

地層のでき方

地層が形成されるまでには次の現象が起こります。

「風化」

長い時間をかけて岩石の表面がボロボロになることでを風化と言います。雨風、そして太陽にさらされると、頑丈な岩石もどんどんと小さくボロボロになっていくのです。

風化は3つの種類に分けられます。物理的風化生物学的風化そして化学的風化です。物理的風化とは温度変化による膨張と収縮の繰り返し、凍結による破砕などがあります。水は凍ると体積が増えますね。これも物理的風化の一因となっているのです。そして生物が引き起こす風化を生物学的風化と呼びます。例えばアリやミミズが暮らすことによって風化が起きることもあるのです。この生物学的風化は生物の力によるものとして物理的風化に入れられることもあります。

化学変化によって岩石が分解・溶解されて風化するのが化学的風化です。酸化、加水分解、溶解、水和など化学でおなじみの現象によって岩石が風化するとは面白いですね。

「侵食」

川の流れや雨によって岩石が削られていくのが「侵食」です。なお浸食という表記が使われる場合もあります。風化との大きな違いは原因とそのスピードです。風化は熱や体積変化、日光や風によって時間をかけてゆっくりと起こりますが、浸食は流水などでどんどん削っていくイメージになります。

「運搬」

風化・浸食された岩や土が川の流れによって運ばれていくのが「運搬」です。風化や浸食によって小さくなった岩石がどんどん下流に運ばれていきます。そしてその途中に角が削られて丸くなっていくのです。粒が小さいものほど遠くに運ばれていきます。そのため、例えば砂と泥があった場合、泥の方が砂よりも小さいのでより遠くまで運ばれていくのです。

「堆積」

運搬された岩石や土砂が積もることを「堆積」と言います。この堆積したものでできた層を調べることで、そこがどんな場所だったか推測することができるのです。まず礫(れき)、砂、泥がどのような場所に堆積するのか確認しましょう。

\次のページで「地層からわかること」を解説!/

粒子が大きい 浅い場所に堆積

 礫 2㎜以上

 砂 62㎜~2.5μm

 泥 62.5μm以下

   小さい 沖合に堆積

つまり、礫の層は海岸に近いところで堆積したもので砂、泥の層になるほど遠くに堆積したものであることがわかるのです。

その他の地層として粘土層やシルト層(泥のうち粒子が大きいものをシルト、小さい物を粘土といいます)、洪積層などの層があります。粘土層はその名の通り粘っこい土でできた層のことで、子供のころからおなじみのあの粘土のことです。

地層からわかること

地層から何がわかるのでしょうか。

先程も説明したように粒の小さな泥は遠くへ、大きな礫は海岸近くの浅い場所に堆積します。そして古い層の上にどんどん新しい層が重なっていくため、上に行くほど新しい時代の地層となるのです。

では下から泥、砂、礫という地層があった場合、そこにはどんな場所だったと考えられるでしょう。泥の層があることからそこはもともと深い海であったものの、その後海面の沈下またはに土地の隆起によってそこが浅瀬へと変化していったと考えられます。

地層に埋まっているもの、情報いっぱいの化石

地層に埋まっているもの、情報いっぱいの化石

image by Study-Z編集部

ここで先程ちらっと紹介した地層に埋まっている化石について、掘り下げていきましょう。

昔生きていた生物の痕跡として土の中に埋まっているのが化石です。植物や動物の死骸、足跡などの化石が発見されています。化石と言えば恐竜のイメージの人も多いでしょう。ちなみに日本で多くの恐竜の化石が見つかっている都道府県と言えば、福井県です。

化石には示相化石と示準化石があります。混乱しやすいこのふたつですが地層ができた当時の環境が分かるのが示相化石で、地層が堆積した年代の手掛かりとなるのが示準化石です。ちなみに化石が流されて集まった層を化石層と言います。

これがあるのはどの時代?示準化石

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ある限られて期間しか生きていない生物の化石が見つかれば、その地層がいつ頃堆積したものであるか推測することができます。ここで押さえておきたいのがアンモナイト、三葉虫(サンヨウチュウ)フズリナです。ちなみに上の写真はおなじみのアンモナイトですね。アンモナイトは古生代シルル紀末期から中生代白亜紀にかけて海で暮らしていた言われている生き物です。

image by PIXTA / 56615420

三葉虫は古生代(約5億4000万 ~2億5000万年前)にのみ生息していました。このことから、三葉虫の化石が見つかればがその地層は古生代のものであることがわかるのです。同じくフズリナも古生代に生きていた生物で、示準化石として研究に活用されています。

\次のページで「かつてはどんな場所だった?示相化石」を解説!/

かつてはどんな場所だった?示相化石

image by PIXTA / 36960719

その化石の見つかった地層が堆積した環境を調べる手掛かりとなるのが示相化石です。例えば同じ貝でもアサリとカキ、そしてシジミではその生活できる環境が異なります。アサリとカキは浅い海で生活していますが、シジミは河口や湖で生活しているのです。そのため、アサリの化石が見つかったらそこは以前浅い海だった、シジミの化石が見つかったらそこはかつて河口か湖だったと言えます。

地層からわかるものとは

地層はその土地の成り立ちについて学ぶのに欠かせない、基礎的なものです、これから地学を学ぼうという人、自分の生活する場所の成り立ちを知りたいという人はぜひ押さえてくださいね。

示準化石と示相化石、時代を占めるのか環境を示すのか分からなくなる人が多いところです。それぞれの意味と有名な化石は押さえておきましょう。

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地学地質・歴史理科

地層にはどんな種類があるの?科学館職員が5分でわかりやすく解説

今回のテーマは「地層」です。

地層とは崖などで見られる縞模様の正体のことで、長い年月をかけて石や砂、泥、さらに火山灰などが積もってできるものです。ここで注目したいのが地層のできる順番です。地層は古いものの上にどんどんと新しい土だったり火山灰だったりが重なってできている。ということは地層は下に行けば行くほど古い時代のもので、地層を調べれば過去にそこにどんな生き物がいたのか、そこで過去にどんなことが起きたかがわかるんです。化石が埋まっているのもこの地層です。

それでは地層について科学館職員のたかはしふみかが解説していきます。

ライター/たかはし ふみか

高校、大学で化学を学んだ科学館職員。歴史漫画を時々読み返すものの、歴史はあんまり得意ではない残念リケジョ。計画性はあるが実行力はなく、試験前に焦るタイプ。

地層とは?

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コトバンクによると地層とは「層状(何枚も重なって層ができた状態)をなして累積する堆積岩の岩体」とされています。堆積岩とは堆積物が石化してできたものです。そして私たちが地層と聞いてイメージする縞模様の構造を層理、その面を地層面と呼びます。

地層はどうやってできるのでしょうか。地層ができるまでには風化(ふうか)浸食(しんしょく)運搬(うんぱん)堆積(たいせき)といった働きがあります。

地層に関わる言葉

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ここで土に関するちょっと混乱しやすい言葉の確認をしておきましょう。

土・土壌

地球上の陸地の表面を覆っているもののことで、鉱物や有機物、気体、液体、生物などの混合物

地質

地面より下にある岩石や地層の性質などのこと

地盤

地殻の表層部のこと

よく聞くけど定義があいまいな言葉が多いですね。

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