
玄武岩は小学校の理科でも習うから、ほとんどの人が聞いたことのある岩石のはずです。日本は火山がたくさん存在しているから玄武岩を見ることのできるスポットはたくさんあるんです。海外ではハワイが最も有名な玄武岩のスポットと言えるんじゃないでしょうか?玄武岩はサラサラしているマグマが地表付近で急冷する必要があるため、玄武岩のある地形は少し特殊な地形をしているぞ。
では玄武岩の特徴やできる場所について地学に詳しいライターオリビンと一緒に解説していくぞ.
ライター/オリビン
大学院を地球科学専攻で卒業した岩石大好き人間。岩石と鉱物採集が趣味のため、家中に岩石が転がっている。
玄武岩とは
地球上にはたくさんの種類の岩石が存在しています。生物が哺乳類や魚類などに分類されているように、岩石も特徴によっていくつかのグループに分類することができるのです。岩石は大きく火成岩・堆積岩・変成岩の3つに分けることができ、地球上の岩石のほとんどがこの3つのどれかに分類されます。
今回のテーマである玄武岩はマグマが冷えて固まってできた火成岩です。火成岩は冷え固まる速さでさらに2つに分類されますが、玄武岩はマグマが急速に冷えて固まる火山岩に分類されます。
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玄武岩の特徴

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では玄武岩の特徴についてもう少し詳しく解説していきましょう。
玄武岩を薄くスライスして偏光顕微鏡という特殊な顕微鏡で覗くと、鉱物のつぶつぶとした結晶とその間を埋めるようなさらに小さな鉱物結晶を見ることができます。つぶつぶの鉱物結晶は斜長石やカンラン石、角閃石の場合が多いです。間を埋めている微小な結晶は石基と呼びます。このような斜長石やかんらん岩・角閃石の間を石基が埋めている構造は玄武岩に特徴的な構造です。また、玄武岩の見た目は真っ黒で無色鉱物がほとんどありません。この理由は玄武岩のでき方にあります。
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玄武岩のでき方

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玄武岩は火山岩に分類されるように、マグマが急速に冷えて固まることで形成されます。例えば、火山の噴火によってマグマが地中から地上に噴出すると一気にマグマが冷えるため玄武岩は形成されやすいのです。また、海底で火山噴火があった場合もマグマが海水に触れることで急激に冷やされて玄武岩となります。ただ、全てのマグマで玄武岩が形成されるわけではなく、玄武岩質マグマといって有色鉱物を多く含み高温で粘り気の低いマグマに限るのです。
玄武岩質マグマはマントルの上部で発生します。マントルの上部にはかんらん岩があり、このかんらん岩が部分的に溶けることによって有色鉱物を多く含むマグマができるんです。
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玄武岩を構成している鉱物
玄武岩に含まれている鉱物はカンラン石・輝石・角閃石・黒雲母・斜長石です。カンラン石があるため、玄武岩には石英が含まれません。カンラン石や輝石、角閃石、黒雲母は有色鉱物と言って黒みがかっていたり深緑や褐色といった色合いをしているんですよ。そのため、玄武岩も黒っぽく見えます。
玄武岩は斑状組織といって、鉱物結晶の間を細かい結晶の集まりである基質が埋めている構造をしているんですよ。花崗岩や安山岩とは違った見た目をしているため、見比べてみると面白いです。
玄武岩の名前の由来
玄武岩は英語でbasalt(バサルト)と書きます。これはエジプトなどで使われていた黒い緻密な岩石の名前にちなんでつけられたそうです。日本では兵庫県の玄武洞という場所で同じ種類の岩石が産出したことから、玄武岩と名付けられました。
玄武岩と安山岩の違い
玄武岩と検索すると安山岩という岩石名がヒットすることが多いです。安山岩は見た目や鉱物の組み合わせが玄武岩に似ていることから、よく玄武岩と混同されます。では安山岩とはどのような岩石でしょうか。
安山岩は玄武岩と同じ火山岩に分類される岩石です。しかし、マグマの冷却速度が玄武岩ほど早くはなく、岩石中には無色鉱物である石英が含まれています。さらに、冷却速度が早くも遅くもないスピードなので斑晶の大きさが玄武岩より大きいです。顕微鏡で観察しなくても肉眼で斑晶を確認することができ、全体的に色が灰色をしています。
このように、玄武岩と安山岩は似ていますがよく観察すると色や斑晶の大きさなどの違いを見つけることができるのです。
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玄武岩の分布

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玄武岩が生成する場所として、海嶺・ホットスポット火山・島弧火山・マントルプルームなどがあります。これらの場所はいずれも高温のマグマが噴出する場所です。玄武岩が形成されるための「マグマが急冷する」という条件をクリアしているということですね。
花崗岩や斑糲岩などの深成岩はマグマだまりが地下深くで固まるとできるため、産出したときの規模がとても大きいのです。しかし、玄武岩を作るマグマは高温でサラサラしており、地表付近で急冷する必要があるため産出する場所も比較的小規模で薄くなっています。
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