
1.あの不祥事は対岸の火事ではないので我々も用心した方がいい。
2.フィッシング詐欺やワンクリック詐欺なんて対岸の火事だと思っていたが、友人が被害に遭ってそうとも言えなくなった。
3.近くで2人の男が口論していても早くここから立ち去るべきなのは、彼らがしていることは僕にとって対岸の火事だからに他ならない。
「対岸の火事」は、3のように本来は自分とは関係のないものを指す言葉です。しかし、1や2のように「対岸の火事ではない」という表現で「無関係というわけではない」という意味で使われることがあります。 これには、火事という大惨事が向こう岸で起きているのは、こちら側からでも大ごとであるという事実に基づいているのではないでしょうか。実際に私は数キロ先で火事があった時に、消防車のけたたましいサイレンや市の防災無線が何度も注意を促すなどで大騒ぎだったのを覚えています。「A国とB国の紛争は日本にとって対岸の火事ではないので~」というように、今では海外のニュースを扱う時などによく見られる表現です。
「高みの見物」
「高みの見物」(たかみのけんぶつ)にも、自分とは違う立場のものを傍観するという意味があります。「対岸の火事」と同様に、遠くから事の成り行きを眺めるというイメージです。
ただし、「対岸の火事」は災難などから逃れるという、ネガティブな要素を意味として持ちます。しかし、「高みの見物」はそうとも限りません。決してポジティブさはありませんが、中立的な立場を守っています。「対岸の火事」を見て(特に現代の用法では)自分はそうならないようにと少しは心に留めますが、「高みの見物」はあくまでも興味本位で、見ていることとは関わりを持たないようにするといったニュアンスがあることに注意しましょう。
「対岸の火事」の対義語は?
さらに、「対岸の火事」の対義語も見ていきましょう。
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