いろいろな業界の「オルタナティブ〇〇」
「オルタナティブ」は、修飾語として単独で使われるだけではありません。ほかの言葉とくっついて複合語となり、あらゆる業界の専門用語としても使われています。ここでは音楽業界・教育業界・エネルギー業界での「オルタナティブ」をみてみましょう。
音楽業界:流行に逆らうジャンルに!
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音楽業界では、広く人気のある音楽ジャンルに反する音楽に対して、「オルタナティブ」が使われます。具体的なジャンルは、「オルタナティブ・ロック」「オルタナティブ・カントリー」「オルタナティブ・R&B」などです。
例えば「オルタナティブ・ロック」は、「聴き手の好みに媚びて売れることを意識した商業音楽」に批判的な態度をとったアーティストによって興されました。1970年代後半に出現した音楽シーンですが、もっとも有名なバンドは1990年代初頭の「Nirvana」でしょう。
しかし皮肉なことに、「Nirvana」の音楽は大ヒットしました。そしてメンバーのカート・コベインは、商業主義に取り込まれたことと、ありのままの自分を保つことの矛盾に苦しむことになりました。
教育業界:「学校教育法」に規定されていない教育
「オルタナティブ教育」は非伝統的な教育を指す言葉です。世界には宗教や哲学など、多種多様な主義をベースにした「オルタナティブ教育」があります。
日本で「オルタナティブ教育」と呼ばれるのは、学校教育法に規定されていない教育機関や、そこで行われる教育方法です。具体的にはモンテッソーリ教育などの比較的新しい思想に基づいた教育や、不登校児童のサポート校・フリースクールなどが挙げられます。
エネルギー業界:ずばり「再生可能エネルギー」
石油や石炭などの化石燃料に代わるエネルギーを、「オルタナティブエネルギー」と呼びます。代表的なものは、風力・太陽光・バイオマスなどの再生可能エネルギーです。日本では「オルタナティブエネルギー」とほぼ同じ意味の「新エネルギー(新エネルギー法で定義)」という言葉もあります。
そのものの特徴を表す言葉ではないことにご注意を
「オルタナティブ・ロック」「オルタナティブ教育」「オルタナティブエネルギー」はいずれも、「すでにあるものに代替するもの」という意味で「オルタナティブ」が使われています。「オルタナティブ」はあくまで「代替物」であり、それが一番適切である・最新であるというような特徴を示してはいません。
例えば「オルタナティブ教育」が未来でも真新しく、もっともよい教育方法だとは言い切れないでしょう。
現在定義されている「オルタナティブエネルギー」も、さらに効率的で自然にやさしいエネルギーが、いつか見つかるかもしれません。もしも地球が寒冷化した場合には、化石燃料の使用によるCO2の排出が推奨されることも考えられます。
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