この記事では「辛辣」について解説する。

端的に言えば辛辣の意味は「きわめて厳しいこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「辛辣」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「辛辣」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「辛辣」の意味や語源・使い方まとめ

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「辛辣」(しんらつ)と読みます。実際の会話の中でもしばしば使われる言葉ですね。それでは早速「辛辣」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「辛辣」の意味は?

まず初めに「辛辣」の正確な意味を辞書からの引用で確かめてみましょう。「辛辣」には次のような意味があります。

1.ものの言い方・批評が手厳しくて、相手に強い刺激(反響)を与える様子。

出典:新明解国語辞典(三省堂)「辛辣」

2.言うことや他に与える批評の、きわめて手きびしいさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「辛辣」

「辛辣」とは相手に対しての言葉や態度がとても厳しい様子を表します。言葉が厳しいと言っても批評や意見に対して使われ、たんに悪口や中傷と言う意味ではありませんので注意してくださいね。「辛辣」は相手を非難すると言うよりも、忠告や批判をする時に用いられることが多いでしょう。

「辛辣」の語源は?

次に「辛辣」の語源を確認しておきましょう。「辛辣」は、中国語から由来したと考えられています。まずは漢字の意味を説明しましょう。

「辛」は、からい、つらい、と言う意味を持つ身近な漢字ですね。そして「辣」は辛い、厳しい、激しい、などの意味があります。「辛辣」はどちらも「からい」と言う意味を持つ漢字でできており、舌をひりひりさせるほどからいと言うことから、批評や言葉がきわめて手厳しいさまを表すようになったのです。「辛口コメント」と言う言葉があるように、手厳しい言動を表すのに、辛いの意味を持つ「辛」と「辣」はぴったりの漢字ですね。

そして中国語にも「辛辣」と言う言葉があり、こちらも同じく、非常に手厳しいこと、と言う意味を持っているのです。また、刺激が強いことや、味が辛い、と言う意味もあります。明確な事はわかっていませんが、おそらく中国語が語源であることは間違いなさそうです。

\次のページで「「辛辣」の使い方・例文」を解説!/

「辛辣」の使い方・例文

続いて、「辛辣」の使い方を実際の例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.彼女は他人に嫌われるのを恐れず、いまだ男性中心の現代社会について辛辣な意見を述べている。
2.面白可笑しいPRを考えてみたものの、上司からは不真面目だと辛辣な評価を下されてしまった。
3.彼の忠告はいつも辛辣で私も辛い思いをしたが、今思えば私の成長に必要なものだったのかも知れない。

どの例文も、手厳しい批評や言動、と言う意味で使われていますが、先ほども言ったように中傷ではなく、例え相手が傷つこうがはっきりと自分が思ったままに厳しく言う(行う)、と言う意味合いですね。また、例文1、2「辛辣な」と言うように、形容詞の形で使われることが多いですね。

「辛辣」の類義語は?違いは?

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「辛辣」の類義語としては、「痛烈」「手厳しい」などが挙げられます。

「痛烈」

「痛烈」の読み方は「つうれつ」です。相手を完膚なきまでやっつける様子を表します。主に人の行動に対して形容詞として用いられることが多いでしょう。例えば強い批判などを表したい文章では「辛辣」と「痛烈」が同義語として使えますね。しかし、「辛辣」と「痛烈」では、「痛烈」の方が攻撃性が強調されると言う違いがあります。したがって、忠告などに用いる場合は「痛烈」よりも「鋭い」などと言い換えた方がふさわしいでしょう。

それでは、「痛烈」の使い方も実際の例文で確かめてみましょう。

\次のページで「「手厳しい」」を解説!/

・売り出し中の商品について多数の消費者から痛烈で容赦のないクレームを受け、至急改善策を練るつもりだ。

「手厳しい」

「手厳しい」(てきびしい)は、批評やしつけの仕方が厳しく容赦ないと言う意味です。「厳しい」に「手」と言う接頭語が付くことでより意味を強調していると考えられるため「とても厳しい」と言うニュアンスになります。また、「手厳しい」は、人の言動や態度に使われる形容詞です。「手厳しい性格」などとは使いません。そして「手厳しい」は、相手への忠告や指導などに多く使われ、改善させようとする意味合いを含んでいます。

「手厳しい」の使い方も、例文で確かめてみましょう。

・僕のおすすめは師範代の手厳しくも真剣な指導が評判のこの道場ですが、ちょうど今生徒を募集しているので紹介できますよ。

「辛辣」の対義語は?

「辛辣」の対義語は「温和」「柔和」などがふさわしいでしょう。

「温和」

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「温和」(おんわ)には二つの意味があります。一つめは、気候が暖かく穏やかで寒暖差も少なく過ごしやすい、と言う意味です。二つめは、性質や性格が穏やかで、大人しい様子を表し、「穏和」とも書きます。「辛辣」の対義語となるのは二つめの意味で使われる場合です。「温和」は人に対して使われたり、行動や言葉遣いにも形容詞として使うことができますので、「温和な態度」と「辛辣な態度」のように、反対の意味を表すことができます。

では、「温和」の使い方を実際の例文で見てみましょう。

・職場で英会話教室を開催しているが、講師のカナダ人男性はとても温和な性格で人気がある。

\次のページで「「柔和」」を解説!/

「柔和」

「柔和」(にゅうわ)と読みます。「柔」は柔らかい、優しい、「和」はおだやか、のどか、と言う意味を持つ漢字です。また、「柔」は(じゅう)と読むことが多いので「じゅうわ」と間違えて読むことがないよう注意してくださいね。意味は、人柄や態度が優しくて穏やかであること、ですから「辛辣」の対義語と言えるでしょう。「柔和な性格」「柔和な表情」と言うように、人の性質や行動に対して使えます。

それでは、「柔和」の使い方も例文を用いて確かめてみましょう。

・祖母は見たとおり柔和な人柄で、会話をしているととても落ち着く。

「辛辣」を使いこなそう

この記事では「辛辣」の意味・使い方・類語などを説明しました。「辛辣」は日常でもしばしば使われる言葉です。とても厳しい言葉や態度を想像しますが、あくまでも正当な言い分であると言う意味合いがあり、決してたんなる悪口ではない、と言うことを覚えておいてくださいね。

類義語として「痛烈」「手厳しい」を上げましたが、同じような意味を持つ慣用句に「歯に衣着せぬ」があります。相手の感情を気にせず思った通りの事を言う、と言う意味です。語彙力向上のためにも併せて覚えておくと良いでしょう。

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【慣用句】「辛辣」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学部卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「辛辣」について解説する。

端的に言えば辛辣の意味は「きわめて厳しいこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「辛辣」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「辛辣」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「辛辣」の意味や語源・使い方まとめ

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「辛辣」(しんらつ)と読みます。実際の会話の中でもしばしば使われる言葉ですね。それでは早速「辛辣」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「辛辣」の意味は?

まず初めに「辛辣」の正確な意味を辞書からの引用で確かめてみましょう。「辛辣」には次のような意味があります。

1.ものの言い方・批評が手厳しくて、相手に強い刺激(反響)を与える様子。

出典:新明解国語辞典(三省堂)「辛辣」

2.言うことや他に与える批評の、きわめて手きびしいさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「辛辣」

「辛辣」とは相手に対しての言葉や態度がとても厳しい様子を表します。言葉が厳しいと言っても批評や意見に対して使われ、たんに悪口や中傷と言う意味ではありませんので注意してくださいね。「辛辣」は相手を非難すると言うよりも、忠告や批判をする時に用いられることが多いでしょう。

「辛辣」の語源は?

次に「辛辣」の語源を確認しておきましょう。「辛辣」は、中国語から由来したと考えられています。まずは漢字の意味を説明しましょう。

「辛」は、からい、つらい、と言う意味を持つ身近な漢字ですね。そして「辣」は辛い、厳しい、激しい、などの意味があります。「辛辣」はどちらも「からい」と言う意味を持つ漢字でできており、舌をひりひりさせるほどからいと言うことから、批評や言葉がきわめて手厳しいさまを表すようになったのです。「辛口コメント」と言う言葉があるように、手厳しい言動を表すのに、辛いの意味を持つ「辛」と「辣」はぴったりの漢字ですね。

そして中国語にも「辛辣」と言う言葉があり、こちらも同じく、非常に手厳しいこと、と言う意味を持っているのです。また、刺激が強いことや、味が辛い、と言う意味もあります。明確な事はわかっていませんが、おそらく中国語が語源であることは間違いなさそうです。

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