この記事では、「センチメンタル」について解説する。

「センチメンタル」っていやあ、楽曲の歌詞やキャラクターなんかの作品にも使われている言葉です。物悲しいイメージを持つ言葉だっていうのはわかるが、その意味をきちんと説明できるかと言われると不安です。

今回は夕方にセンチメンタルな気分に浸るため、高校まで電車を使わずに片道40分自転車をこぎ続けていたっていうライターのぷーやんを呼んです。「センチメンタル」の意味と詫び寂びを説明してもらおう。

ライター/ぷーやん

webライター歴6年。鍛えられた語彙と文章力は本業でも発揮され、社内ルールの書き換え担当に。高校時代には電車の定期券料金を親に返納し、夕暮れや星空など季節ごとの風物詩を堪能しながら通学する時間を楽しんでいた。

「センチメンタル」はどんな気分?

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自分の気持ちをほかの人に理解してもらうために、感情を表現する言葉の意味は正確につかんでおきたいものです。そんな言葉の一つ「センチメンタル」は、落ち込んでいる気持ちを表すのに使われていますが、案外よく聞く言葉ほど国語辞典などで意味を調べたりしないもの。まずは「センチメンタル」の意味をしっかり押さえていきましょう。

辞典での「センチメンタル」

「センチメンタル」は、辞典で次のように書かれています。

[形動]感じやすく涙もろいさま。感傷的。「―な手紙」
出典:デジタル大辞泉(小学館) 「センチメンタル」

辞書引きの結果は特に意外性もなく納得される方が多いかもしれませんね。「センチメンタル」は英語表記にすると「sentimental」です。これはラテン語の「sentio(感じる)」+「mentum(手段・結果)」、すなわち「感情」が語源とされています。

「エモい」との違い

上記のように「センチメンタル」の語源は感情ですが、そのなかでも特に悲哀による心の動きを表現する言葉です。しばしば耳にする「エモい」も感情の動きを表現する「emotion」に由来する言葉ですが、こちらは悲哀だけではなく、どの感情でも対象になります。

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例文でみる「センチメンタル」

それでは、「センチメンタル」が実際にどんなふうに使われるか、いくつか例文をご紹介します。

1.性格に相容れない部分があって恋人と別れた。理性では「これ以上はうまく付き合っていけないからしょうがない」とわかっているが、センチメンタルな心情をどうしても抑えきれない。
2.夏も終わりに近づいて、夕方には秋の空気を感じるようになってきた。この季節はなぜかいつもセンチメンタルになる。

恋人を含め、親しかった人や慣れた人がいなくなったときには、センチメンタルになる方はとても多いのではないでしょうか。夏から秋の変わり目や冬場に一人でいるときなども、センチメンタルに浸りやすくなるものですね。

「センチメンタル」に似た言葉

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桜木先生が仰るように、言葉というのは類義語や対義語などの関連語の存在も知っておくと、安心して使いこなせるもの。まずは「センチメンタル」の類義語からみていきましょう。

「感傷的」:悲哀の感情におぼれやすい状態

まさに「センチメンタル」と同じ意味ですね。「感傷的」は「センチメンタル」にそのまま置き換えられる言葉と言えるでしょう。

\次のページで「「情緒的」:しみじみと深く感じる」を解説!/

「情緒的」:しみじみと深く感じる

「情緒」は先述の「emotion」の日本語訳になる言葉です。したがって「情緒的」は「センチメンタル」と似た言葉ではありますが、悲しみの感情に限られません。

「メンブレ」:精神面が崩壊するほど落ち込む

メンタルブレイク(精神崩壊)を略したこの言葉は、ショッキングなことに出会って心が壊れるほど落ち込むことを表しています。

「センチメンタル」の対義語

英語では「unsentimental」と否定の接頭語「un」をつけて対義語とするように、日本語にも「センチメタル」の明確な対義語はありません。しかし悲哀に限らない「感情的」「エモい」に対する言葉には対義語があるので、その中から「悲哀ではない」という意味合いで使われやすい言葉を2つ挙げます。

「ドライ」:情にほだされず割り切っている

なかなか共感する言葉をかけてくれない人は、「あの人はドライだから…」などと『冷たい人』と評価されますよね。しかしドライな人の一部は他人の助けを必要としないほどに強く、論理的・客観的にものごとを判断するために「共感してくれない」と評価されているのかもしれません。そういう人の人心を把握するのは難しいものですが決して優しくないわけではなく、むしろ味方になれば心強いものです。

「冷徹」:考えが冷静で鋭い

「冷徹」を「冷酷」と混同しないようにお気を付けください。「冷酷」は思いやりのない様子を表す一方で、「冷徹」は物事の根本まで冷静に見据えることを示します。

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センチメンタルのタネ

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センチメンタルな気分は誰しも味わったことがあるでしょう。楽曲などに使われるくらい共感を呼びやすい感情だということは、なにか共通点があるはずです。この記事の最後に、センチメンタルな気分を引き起こすタネを、人(性格)と環境の側面からみてみたいと思います。

センチメンタルに浸りやすい性格

センチメンタルを感じやすい人は、感受性の強い人でしょう。感受性が強いことはつまり、外からの刺激に敏感であるということ。そうした人は周囲に影響されやすく落ち着かない一方で、人の気持ちを上手に汲むことのできる人です。些細なことにも気づきやすく感動しやすいので、芸術関係に才覚があるかもしれませんね。

このように感受性が強いと他人や場の雰囲気にある悲しみにも反応しやすいので、センチメンタルな心もちになりやすいと言えそうです。

センチメンタルを喚起する環境

一口に環境と言っても様々なものが考えられますが、ここでは物理・心理に分けて記載します。

まず物理的な環境ですが、1つは気温です。体が冷えると自律神経に影響し、気分の変化が起きやすくなると言われています。夏の夕暮れ・秋口・冬場などの季節や自然の景観にセンチメンタルな気分に陥りやすくなるのは、こうした原因によるもの。もう1つは親しい人との別れです。物理的に距離が開いたとき・死別したときなどは、悲しみがあとを引きやすいことは言うまでもありませんね。

次に心理的な環境ですが、飲み会のあと・燃え尽き症候群・病気で寝込んだとき・深夜に一人でいるときなど、普段の喧騒から離れたときにセンチメンタルになった経験がありませんか?筆者は扁桃炎で入院療養したときにセンチメンタルに駆られました。ちなみにそのときは普段見ないお笑い番組をたまたまテレビで見て、気持ちがとても楽になりました。

センチメンタルな経験も人生の糧に

この記事では「センチメンタル」の意味について、その概念や具体的に浸りやすい状況にも言及して解説しました。記事の読後に『あのとき感じた気持ちがセンチメンタルか』と合点のいくことがあれば幸いです。

人は一人では生きていけないという月並みな言葉があります。心身ともに健康なうちは、こうした月並みな言葉がなかなか身に染みてこない方も多いでしょう。筆者はその典型です。それでも本文にある通り40℃の熱に3日間さいなまれた経験から、他者の存在のありがたさに気づかされました。

センチメンタルな気分になっているときは、まさに誰かの助けが必要な場合も多いでしょう。苦し想いを抱くことは、なにか大切なことに気づくチャンスかもしれません。センチメンタルな気持ちでいっぱいなときも、きっと人生の大きな糧を得ようとしている瞬間だと思って踏ん張りたいものですね。

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国語言葉の意味

楽曲の歌詞にも見かける「センチメンタル」の意味とは?類義語・対義語・「エモい」との違いもwebライターがわかりやすく解説!

この記事では、「センチメンタル」について解説する。

「センチメンタル」っていやあ、楽曲の歌詞やキャラクターなんかの作品にも使われている言葉です。物悲しいイメージを持つ言葉だっていうのはわかるが、その意味をきちんと説明できるかと言われると不安です。

今回は夕方にセンチメンタルな気分に浸るため、高校まで電車を使わずに片道40分自転車をこぎ続けていたっていうライターのぷーやんを呼んです。「センチメンタル」の意味と詫び寂びを説明してもらおう。

ライター/ぷーやん

webライター歴6年。鍛えられた語彙と文章力は本業でも発揮され、社内ルールの書き換え担当に。高校時代には電車の定期券料金を親に返納し、夕暮れや星空など季節ごとの風物詩を堪能しながら通学する時間を楽しんでいた。

「センチメンタル」はどんな気分?

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自分の気持ちをほかの人に理解してもらうために、感情を表現する言葉の意味は正確につかんでおきたいものです。そんな言葉の一つ「センチメンタル」は、落ち込んでいる気持ちを表すのに使われていますが、案外よく聞く言葉ほど国語辞典などで意味を調べたりしないもの。まずは「センチメンタル」の意味をしっかり押さえていきましょう。

辞典での「センチメンタル」

「センチメンタル」は、辞典で次のように書かれています。

[形動]感じやすく涙もろいさま。感傷的。「―な手紙」
出典:デジタル大辞泉(小学館) 「センチメンタル」

辞書引きの結果は特に意外性もなく納得される方が多いかもしれませんね。「センチメンタル」は英語表記にすると「sentimental」です。これはラテン語の「sentio(感じる)」+「mentum(手段・結果)」、すなわち「感情」が語源とされています。

「エモい」との違い

上記のように「センチメンタル」の語源は感情ですが、そのなかでも特に悲哀による心の動きを表現する言葉です。しばしば耳にする「エモい」も感情の動きを表現する「emotion」に由来する言葉ですが、こちらは悲哀だけではなく、どの感情でも対象になります。

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