この記事ではは「被子植物」をテーマに勉強していこう。

植物の分類は、似たように見える単語も多く、授業でも混乱しやすい内容のところです。被子植物の特徴や分類群を改めて見直し、わからないところを確実に解決していこう。

大学で生物学を学び、現在は講師としても活動しているオノヅカユウに解説してもらうぞ。

ライター/小野塚ユウ

生物学を中心に幅広く講義をする理系現役講師。大学時代の長い研究生活で得た知識をもとに日々奮闘中。「楽しくわかりやすい科学の授業」が目標。

種子植物とは?

種子植物(しゅししょくぶつ:seed plants)とは、名前の通り種子をつくる植物のことを指します。現在分かっている植物の80%ほどは種子植物であるといわれているほど、たくさんの植物をふくんだグループです。

\次のページで「陸上植物の分類」を解説!/

種子植物の仲間は、陸上植物全体の中でも多くの割合を占めていますが、これは「進化的に成功した植物のグループだ」ということもできます。せっかくですので、ここで一度陸上植物全体の分類について、簡単に整理をしておきましょう。

陸上植物の分類

陸上に生育している植物が陸上植物です。陸上植物は、維管束植物コケ植物に大別することができます。維管束植物とは、水分や栄養分の通り道となる師管や道管をもった植物。このグループのうち、シダ植物を除いたものが種子植物の仲間になります。

image by Study-Z編集部

つまり、陸上植物のなかでもシダ植物やコケ植物は、種子で繁殖しない植物です。シダやコケの仲間は胞子をつくり、それを散布することで子孫を増やします。

種子植物の分類

種子植物はさらに2つのグループに分けることができます。「裸子植物(らししょくぶつ)」「被子植物(ひししょくぶつ)」です。次の項で詳しく解説していきましょう。

裸子植物

裸子植物とは

裸子植物は、『胚珠(はいしゅ)という部分が子房(しぼう)に包まれず、むき出しになっている植物』のなかまです。胚珠というのは、発達すると種子になる部分。子房は、種子ができることには熟して果実になる部分です。

裸子植物にふくまれる植物

裸子植物に分類されるのは、マツなどの針葉樹イチョウ、ソテツなどの仲間です。街路樹や公園などにも生えている、比較的身近な植物もありますね。現生しているものでは700種以上が裸子植物に含まれています。

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銀杏の実(種)のまわりについている、果肉のような部分は胚珠由来の種皮(外種皮)が発達したものなんです。子房はもっていない、りっぱな裸子植物なんですよ。

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コンピュータが読み取れる情報は提供されていませんが、Briesだと推定されます(著作権の主張に基づく) - コンピュータが読み取れる情報は提供されていませんが、投稿者自身による作品だと推定されます(著作権の主張に基づく), CC 表示-継承 3.0, リンクによる

あまり知られていないところでは、他にグネツム類という植物のグループもあります。グネツム科グネツム属の植物は、アフリカや東南アジアに生息していますが、あまり目立たないものが多いようです。

ほかにも、マオウ科やウェルウィッチア科などがふくまれます。

被子植物

被子植物とは

被子植物とは、裸子植物とは逆に『胚珠が子房につつまれている植物』の仲間です。胚珠がむき出しだった裸子植物が、胚珠を守るように葉を特殊化させた結果、子房や柱頭といっためしべの構造が出来上がり、被子植物が誕生したと考えられています。

image by iStockphoto

食べられるフルーツの多くは子房が発達したものです。しかしながら、種によっては食べられる果肉ほどには発達しないものもあります。また、「果実かと思って食べていたのは別の部分だった!」などということもありますので、注意が必要です。

被子植物にふくまれる植物

被子植物のなかまは裸子植物よりもずっと多く、20万種を軽く超えるほどの種が確認されています。なかでも数が多いのは、キク科ラン科マメ科に分類される植物たち。キク科にはタンポポやヒマワリなど、マメ科にはエンドウマメなどの豆の仲間がふくまれます。

身近な花を分類してみるときには、バラ科のグループなども知っておくと良いでしょう。バラはもちろんのこと、サクラやウメなど、人々に広く愛される花の名前がたくさん見られますよ。

被子植物を細分する

この被子植物、さらに2つの大きなグループに分けることができます。単子葉植物(たんしようしょくぶつ)と双子葉植物(そうしようしょくぶつ)です。単子葉植物と双子葉植物には、子葉や葉脈、根の形状などに大きな違いがあります。

\次のページで「絶滅したグループ・シダ種子植物」を解説!/

image by iStockphoto

単子葉植物に分類されるのは、イネ科やショウブ科、ユリ科などのグループ。細長い葉に、平行にはしる葉脈がポイントです。双子葉植物の葉は形状がさまざまですが、葉脈は網目のようになっています。

さらに、被子植物ではその花びら(花弁)のつくりに着目し、合弁花類と離弁花類というグループに分けることもあります。

それぞれの細かなグループ分けにどれほどの意味があるのかは、研究者によって意見が分かれるところです。しかしながら、中学理科の学習過程ではこれらの分類を勉強しなくてはなりません。ちょっと大変ですが、代表的な植物の名前とともにグループの名前を答えられるようにしましょう。

絶滅したグループ・シダ種子植物

最後に、今はもういなくなってしまった、珍しい植物の話をしましょう。

太古の昔、地球上には種子をつくる、シダ植物のような葉をもった植物がいたのです。その名も「シダ種子植物」といいます。

それが、あまりはっきりとしたことは言えないんです。現在のシダ植物というグループが「維管束をもち、胞子生殖をする陸上植物」という特徴になっているので、種子をつけている時点で完全にシダ植物の仲間に入れることはできないでしょう。

また、シダ種子植物はその葉の形がシダ植物によく似ていることからつけられましたが、現在の裸子植物や被子植物とどんな系統関係があるのかは明確になっていません。

シダ種子植物の葉の化石
Wilson44691 - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, リンクによる

シダ種子植物は、恐竜の闊歩した中生代の最後の時代である白亜紀に絶滅してしまいました。化石からしかその姿を知ることができないのです。この植物群についての研究でさらなる進展があれば、地球上の植物の進化を解明する大きなヒントになることは間違いないでしょう。

種子植物を覚えるには…?

特に中学校の理科で、植物の分類に関する問題が出題されます。どれだけ覚えられるかが、テストの明暗を分けるといってもいいでしょう。植物の分類や名前を覚えるには、自分で実際に植物を探したり、図鑑を片手に観察してみるのが一番です。

種子植物は身近な植物を多くを含むグループ。すこし周りを意識すれば、かならず存在しているはずですよ。

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理科生物生物の分類・進化

3分で簡単「被子植物」!植物の分類を整理しよう!現役講師がわかりやすく解説!

銀杏の実(種)のまわりについている、果肉のような部分は胚珠由来の種皮(外種皮)が発達したものなんです。子房はもっていない、りっぱな裸子植物なんですよ。

Welwitschia-mirabilis-female.jpg
コンピュータが読み取れる情報は提供されていませんが、Briesだと推定されます(著作権の主張に基づく) – コンピュータが読み取れる情報は提供されていませんが、投稿者自身による作品だと推定されます(著作権の主張に基づく), CC 表示-継承 3.0, リンクによる

あまり知られていないところでは、他にグネツム類という植物のグループもあります。グネツム科グネツム属の植物は、アフリカや東南アジアに生息していますが、あまり目立たないものが多いようです。

ほかにも、マオウ科やウェルウィッチア科などがふくまれます。

被子植物

被子植物とは

被子植物とは、裸子植物とは逆に『胚珠が子房につつまれている植物』の仲間です。胚珠がむき出しだった裸子植物が、胚珠を守るように葉を特殊化させた結果、子房や柱頭といっためしべの構造が出来上がり、被子植物が誕生したと考えられています。

image by iStockphoto

食べられるフルーツの多くは子房が発達したものです。しかしながら、種によっては食べられる果肉ほどには発達しないものもあります。また、「果実かと思って食べていたのは別の部分だった!」などということもありますので、注意が必要です。

被子植物にふくまれる植物

被子植物のなかまは裸子植物よりもずっと多く、20万種を軽く超えるほどの種が確認されています。なかでも数が多いのは、キク科ラン科マメ科に分類される植物たち。キク科にはタンポポやヒマワリなど、マメ科にはエンドウマメなどの豆の仲間がふくまれます。

身近な花を分類してみるときには、バラ科のグループなども知っておくと良いでしょう。バラはもちろんのこと、サクラやウメなど、人々に広く愛される花の名前がたくさん見られますよ。

被子植物を細分する

この被子植物、さらに2つの大きなグループに分けることができます。単子葉植物(たんしようしょくぶつ)と双子葉植物(そうしようしょくぶつ)です。単子葉植物と双子葉植物には、子葉や葉脈、根の形状などに大きな違いがあります。

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