この記事では「齟齬」について解説する。

端的に言えば「齟齬」の意味は「噛み合わない」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役学生ライターのタビビトを呼んです。一緒に「齟齬」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タビビト

現役の文学部学生ライター。学生生活の中で数多くの芸術関係の執筆を行い、小学生の頃から多種多様な書籍を読破してきた生粋の文科系。読書量に比例する文章力で日本語を分かりやすく解説していく。

「齟齬」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「齟齬」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「齟齬」の意味は?

「齟齬」には、次のような意味があります。

物事がうまくかみ合わないこと。食い違うこと。行き違い。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「齟齬」

「齟齬」とは、物事や意見、性格がかみ合わずにうまく展開が進まないことを表現する言葉です。何かの物事を他人と協力して作り上げる際に、意見のすれ違いや性格の不一致からくる喧嘩などは付き物と言っても過言ではありません。また、恋人や親などの長く深く付き合っていく人ほど自分の意見とかみ合わない部分が目立って見えてしまうものです。「齟齬」は、そのような本気で接しているが故の意見の衝突や行き違いを表現します。

「齟齬」という二文字の漢字はそれぞれ他の表現で見ることはないほど複雑な漢字ですよね。次の語源の欄でそれぞれの漢字の意味を説明していきます。

「齟齬」の語源は?

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それでは、「齟齬」の語源を確認しておきましょう。

「齟齬」という二つの難しい漢字をそれぞれ分けて紐解いていきます。まずは「齟」です。二つの漢字の左側、つまり偏(へん)の部分は同じですね。よって右側の旁(つくり)の部分の意味をそれぞれ考えていきます。「齟」の旁は、「咀嚼」の「咀」と同系で何度も歯を嚙合わせることを意味する言葉。次に「齬」の旁は「互い」の「互」と同系で互いに入れ違うことを表現します。よってそれぞれの漢字の意味を組み合わせると、何度噛み合わせてみてもぴったりと噛み合わなかったり、しっくりしないことを指すということが分かるのではないでしょうか。

これらの意味から察していただける様に、「齟齬」は元々歯の噛み合わせが上手くいかないことを指す言葉でした。それを比喩として物事が噛み合わない様も「齟齬」と表現する様になったという訳です。

\次のページで「「齟齬」の使い方・例文」を解説!/

「齟齬」の使い方・例文

「齟齬」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.取引の内容をお互いに誤解して認識していたという齟齬が生じたため、相手側もこちら側も業務に支障が出てしまった。
2.仕事の取引先との打ち合わせの中で、こちら側の主張が誤って認識されてたようで事実と異なる情報が出回ってしまったので、齟齬があるという抗議の連絡をした。
3.子供の頃親友だった二人は、目上の人との会話の中で使う敬語やマナーに対する意見に相違がありずっと仲違いしていたが、両者とも大人になって確認してみると認識に齟齬が生じていたことが分かり、和解した。

「齟齬」は相手側にも自分側にも勘違いや誤解があったときなどの、お互いに非がある時に用いられます。正しい事実に対して自分だけが間違った認識をしていた場合、「齟齬がある」と主張するのは相手側に対して失礼に値するので、気を付けましょう。

「齟齬」は、ビジネス上においてお互いの認識のすれ違いや意見がかみ合わない場合に、丁寧に抗議を申し込むことが出来る言葉です。「意見がかみ合っていないのでもう一度打ち合わせをさせていただけませんか」というよりも、「齟齬が生じているようなのでもう一度打ち合わせをさせていただけませんか」という方が丁寧であることは一目瞭然ですね。「齟齬」をビジネス用語としてマスターして、丁寧な仕事に磨きをかけてみましょう。

「齟齬」の類義語は?違いは?

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次に、「齟齬」の類義語とその違いを見ていきましょう。

「軋轢」

「軋轢」は個人同士の仲が悪い様子や、内輪で意見が揉める様子を表現する言葉です。「齟齬」は意見がすれ違うということだけを意味しましたが、「軋轢」は意見がすれ違ったり性格の不一致の結果その間柄が亀裂した状態のことも含みます。すなわち過程だけを指すのが「齟齬」、過程と結果を同時に表現するのが「軋轢」ということです。

同じ意見のすれ違いであったとしても、「齟齬」はそこから改善に向かうことが出来ますが、「軋轢」に関してはもう手遅れの状況ということになりますね。

\次のページで「「軋轢」の語源は?」を解説!/

「軋轢」の語源は?

「軋轢」の語源も見ていきましょう。「軋轢」とは、本来車輪が擦れ合って不快な音を出すときの様子を表現する言葉です。この様に擦れ合って不快な音を出す様子は、意見が対立して関係が悪くなるということに似ているため、比喩として用いられるようになりました。

「齟齬」の対義語は?

「齟齬」とは、お互いの意見がかみ合わずに物事がうまく進まなくなることを表現する言葉でした。それでは「齟齬」の対義語も見ていきましょう。

「符合」

「齟齬」の対義語は、二つ以上の物事がぴったりと合致することを表現する「符合」です。「齟齬」は物事が上手くかみ合わなかったりすれ違いが起きることを意味する言葉だったので、物事がぴったり合うことを指す「符合」はまさに正反対の意味を示す言葉ですね。

「符合」は元々割符が合うという意味で用いられていました。この割符とは、現代でいうチケットのような物です。中世では、商品を購入する際にこのチケットのようなものを先に購入する必要がありました。そして商品と交換する際にこのチケットをお金を払った証明として差し出す必要があるため、この割符が合わないと商品を手に入れることが出来なかったわけです。「符合」は、この様にチケットを確認してその片割れが合っていた時に用いられていた言葉でした。

「齟齬」を使いこなそう

この記事では「齟齬」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「齟齬」とはとても難しい表現ですが、普段使わないような難しい表現を詳しく紐解いていくと昔の様子や慣習を一緒に学ぶことが出来るというのは日本語の面白いところですよね。

改めて、言葉も文化と共に発展してきたということがよく分かるのではないでしょうか。この様に言葉とは文化を形成する上でとても大切な役割を果たしています。私たちが使っている言葉も、数十年後には難しい言葉として文化と共に語り継がれているかもしれませんよ。

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国語言葉の意味

「齟齬」の意味や使い方は?例文や類語を現役学生ライターがわかりやすく解説!

「軋轢」の語源は?

「軋轢」の語源も見ていきましょう。「軋轢」とは、本来車輪が擦れ合って不快な音を出すときの様子を表現する言葉です。この様に擦れ合って不快な音を出す様子は、意見が対立して関係が悪くなるということに似ているため、比喩として用いられるようになりました。

「齟齬」の対義語は?

「齟齬」とは、お互いの意見がかみ合わずに物事がうまく進まなくなることを表現する言葉でした。それでは「齟齬」の対義語も見ていきましょう。

「符合」

「齟齬」の対義語は、二つ以上の物事がぴったりと合致することを表現する「符合」です。「齟齬」は物事が上手くかみ合わなかったりすれ違いが起きることを意味する言葉だったので、物事がぴったり合うことを指す「符合」はまさに正反対の意味を示す言葉ですね。

「符合」は元々割符が合うという意味で用いられていました。この割符とは、現代でいうチケットのような物です。中世では、商品を購入する際にこのチケットのようなものを先に購入する必要がありました。そして商品と交換する際にこのチケットをお金を払った証明として差し出す必要があるため、この割符が合わないと商品を手に入れることが出来なかったわけです。「符合」は、この様にチケットを確認してその片割れが合っていた時に用いられていた言葉でした。

「齟齬」を使いこなそう

この記事では「齟齬」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「齟齬」とはとても難しい表現ですが、普段使わないような難しい表現を詳しく紐解いていくと昔の様子や慣習を一緒に学ぶことが出来るというのは日本語の面白いところですよね。

改めて、言葉も文化と共に発展してきたということがよく分かるのではないでしょうか。この様に言葉とは文化を形成する上でとても大切な役割を果たしています。私たちが使っている言葉も、数十年後には難しい言葉として文化と共に語り継がれているかもしれませんよ。

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