「原状回復」
あるところから立ち去る際に、自分がそこにいた痕跡を残さないということは、自分が登場する前の状態に戻すということです。そこで「原状回復」が類義語といえます。
気をつけたいのは「現状」ではなく「原状」という字を使う点。「現状」では「今ある状態」の意味になってしまい、「自分が来る前の状態」に戻すことになりません。不動産を借りた際でいえば入居前と同じ状態に戻すのですから、「原状」が正しいと分かりますね。
「立つ鳥跡を濁さず」の対義語は?
続いて、「立つ鳥跡を濁さず」と反対の意味を表す言葉も見ていきましょう。
「後足で砂をかける」
「あとあしですなをかける」と読みます。「うしろあし」ではないので注意しましょう。恩義のある人に、去り際に迷惑をかけることを表すこの言葉。綺麗に後始末して立ち去るのとはまさに反対の意味といえますね。
なお、特に恩があるわけではない人へのひどい仕打ちについて「後足で砂をかける」というのは、厳密には間違った使い方となります。
・親身に面倒を見ていた部下が、無断欠勤が続いて退職した。後足で砂をかけられたような気分だ。
「旅の恥はかき捨て」
知っている人もいない旅先では、恥ずかしいことをしてもその場限りのものだ、という意味の言葉です。誰も見ていなければ何をしてもいいだろうというようなニュアンスで使われることが多く、その意味では「立つ鳥跡を濁さず」とは正反対ですね。
・海外旅行先でマナーの悪い行動をするなんて、旅の恥はかき捨てとでも思っているんだろうな。
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