水とお湯を混ぜたりシロップとお湯を混ぜて観察すると「もやもや」が見えることがあるな。また、炎天下の道路上に「もやもや」が見えたり、あるいはキャンプなどで火を燃やしているとき周りに「もやもや」が見えることがありますが、これも同じ現象で「シュリーレン現象」と呼ばれる。どうやら「温度差」や「濃度差」があるのも一因のようですが、実際これの正体は何であろうか。教員免許持ちの理系ライターR175と解説していこう。

ライター/R175

関西のとある国立大の理系出身。学生時代は物理が得意で理科の教員免許持ち。日常の身近な現象に結びつけて分かりやすい解説を強みとする。

1.水の中に見える「もやもや」

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水にシュガーシロップを溶かしたり、冷たい水と熱いお湯を混ぜたりしたとき「もやもや」が見えますね。このような「むら(一様でないこと)」を ドイツ語でシュリーレン(schlieren)というそうで、これにちなんで上記の現象を「シュリーレン現象」と呼びます。イラストはそれをイメージしたもので、画質の問題でぼやけているわけではないですよ。

さて、なぜこのようなに見えるかですが、部分的に光の「屈折率」が異なる部分があるとそれが光の進路に影響し見え方が変わり、「もやもや」が見えるわけです。本記事では、光の屈折、反射がモノの見え方に与える影響について述べた後、どのような時に屈折や反射の挙動が変化するかについて触れます。

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2.目で見て物体を識別する方法

そもそも私たちは物を見た時どうやって識別しているのか。真っ暗なところでは物は見えません。これをヒントに考えると、そう「」によって見て識別しているわけです。

黒い物体、白い物体、透明なもの、透明でも少し濁っているもの、などなど。形状や色の情報は光の進路から読み取れます。黒い物体は全ての色の光を「吸収」するから黒く見え、白い物体は全ての色の光を「反射」するから白く見え、赤い物体は赤い光だけ反射するから赤く見えるわけです。また、透き通って見える物体は光を透過しています。このように、「どのような波長の光」が「どのように進むか」によって見え方が変わるのです。

屈折

屈折

image by Study-Z編集部

イメージとしては、光が進みにくく光が近道しようとして進む角度が変わると考えましょう。光の進み具合が変わらない場合は光は直進を続けますが、屈折率が異なると途中で進路(角度)が変わるこれで見え方が変わるため、物体が識別できます。このように光の進みやすさの違いによりと角度が変わる現象が「屈折」です。

例えば空気よりガラスの方が光が進みにくいですが、空気中にガラスを置くとイラストのような光の進み方となります。

屈折率

本記事での一番のキーワードが実はここで述べる「屈折率」です。屈折率とは物体中での光の進みやすさを数値化した指標。物質中での光の進みやすさは、物質の種類(構造によって異なります。物質中を光が進むとき、光子が物質内にある電子との相互作用を繰り返しながら進むわけですが、その速度は当然電子配置などの「構造」や密度に起因するわけです。

屈折率の値が大きいほど光が進みにくいものとイメージしましょう。光が境界面に到達する前の角度を入射角、境界面を過ぎてからの角度を屈折角とすると以下のような関係が成り立ちます。

屈折率が異なる物体間では突然光の進路が変わり、屈折率が低い(光が進みやすい)物体から屈折率が高い(光が進みにくい)物体に進むとき、入射角より屈折角が小さくなります。光が進みにくい物体では「近道」をしようとして屈折角が小さくなるというイメージ。

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屈折率は実数+虚数の形で表され、実数部分が透過に関する情報、虚数部分が吸収に関する情報です。今回は透明な物質の中での現象を扱っているため、関係があるのは実数部分だけですね。ということで屈折率nは実数項のみとして進めていきます。

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おまけ〜なぜ屈折率は複素数表示か〜

ちなみに、本筋とはズレますが、なぜ屈折率に虚数が登場するのか?簡単に触れておきたいと思います。光の強度は一般的に以下のように表されるもの。

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複素数を使うのは三角関数と関連付けやすいから。オイラーの式から自然対数eの複素数乗の形は三角関数に変換出来ます。光の強度はeの屈折率乗に反比例するという定義で、屈折率が実数+虚数ならば、光の強度はeの実数乗×eの虚数乗。eの実数乗の部分では振幅の減衰を表現出来、eの虚数乗は三角関数。つまり、eの(実数+虚数)乗は減衰も加味した三角関数になるということ。

反射率

反射率

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屈折率が異なる物体間では「屈折」だけでなく「反射」も起き、「反射率」は以下のように「屈折率」を用いた定義となっています。この「反射率」という言葉は解説も短くさらっと流れてしまいそうですが、実は重要単語。反射が起きるのも「違う物体」に見える大きなポイントです。

3.屈折率に影響するファクター

屈折率」が変わると見え方が変わるわけですが、その「屈折率」に影響するものは何か?本記事の主題である「シュリーレン現象」は同じ媒体の中で見え方が変わる(もやもやが見える)という現象ですが、それが起きるためには同じ媒質間で「屈折率」のムラ(一様ではない)が発生しているはずですね。何が影響して屈折率が変わってしまうのか。

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密度

密度が異なると屈折率が変わってきます。ここではまず、光が物質を透過したり反射したりするメカニズムについて簡単に触れておきましょう。光は光子と呼ばれる微小な粒と考えることができます。種々の実験から光は「粒」としての性質を持つことが確認されているので、ここでもそれに従いましょう。ただし、光子は質量や電荷を持たず物質ではありません。飽くまで性質の上では「粒」と考えるにとどめましょう。

光子が物質にぶつかると、原子核とともに物質を構成している電子」の運動が変わり、その影響で新たに光子が生成されます。新たに生成された光子が同様に電子にぶつかったあと光子が生成され以降繰り返し。簡素な説明ではありますが、この繰り返しによって光が進んでいくのです。

さて、それで密度と屈折率にどう関係するのか?光が上述のように物質内を進んでいくものと考えれば、密度が高いほど「光子衝突→光子生成」の繰り返しが増え光が進みにくくなります。

温度と密度

温度が高いと「分子運動が激しく」なり、分子と分子の間隔が広くなります。体育の授業で準備体操をする時は広がって隣との間隔を空けますが、それと似たようなイメージです。分子と分子の間隔が広がると、一定空間にある分子の数は少ない、つまり密度が低くなりますね。密度が低いと上述のような理由から屈折率は低くなります。同じ媒体内でも温度が高い部分があると、その部分だけ密度および屈折率が低くなり「見え方」が変わってくるのです。光の進行方向が変わったり反射したりして見え方の違いに繋がるというもの。

もやもやの正体

もやもやの正体は屈折率の違いです。屈折率が異なる部分では光の進路が変わったり反射が起きたりします。一様な媒体で局所的に屈折率が変わる要因は温度差や濃度差に起因する密度差です。

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物理物質の状態・構成・変化理科

3分で簡単「シュリーレン現象」水や空気の中に現れる「もやもや」の正体とは?について理系ライターがわかりやすく解説!

水とお湯を混ぜたりシロップとお湯を混ぜて観察すると「もやもや」が見えることがあるな。また、炎天下の道路上に「もやもや」が見えたり、あるいはキャンプなどで火を燃やしているとき周りに「もやもや」が見えることがありますが、これも同じ現象で「シュリーレン現象」と呼ばれる。どうやら「温度差」や「濃度差」があるのも一因のようですが、実際これの正体は何であろうか。教員免許持ちの理系ライターR175と解説していこう。

ライター/R175

関西のとある国立大の理系出身。学生時代は物理が得意で理科の教員免許持ち。日常の身近な現象に結びつけて分かりやすい解説を強みとする。

1.水の中に見える「もやもや」

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水にシュガーシロップを溶かしたり、冷たい水と熱いお湯を混ぜたりしたとき「もやもや」が見えますね。このような「むら(一様でないこと)」を ドイツ語でシュリーレン(schlieren)というそうで、これにちなんで上記の現象を「シュリーレン現象」と呼びます。イラストはそれをイメージしたもので、画質の問題でぼやけているわけではないですよ。

さて、なぜこのようなに見えるかですが、部分的に光の「屈折率」が異なる部分があるとそれが光の進路に影響し見え方が変わり、「もやもや」が見えるわけです。本記事では、光の屈折、反射がモノの見え方に与える影響について述べた後、どのような時に屈折や反射の挙動が変化するかについて触れます。

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