
「人事を尽くして天命を待つ」の語源は?
次に「人事を尽くして天命を待つ」の語源を確認しておきましょう。このことわざは、中国の「読史管見(とくしかんけん)」が語源と言われています。これは、中学の儒学者「胡寅(こいん)」が書いたものです。この書の中で、戦いに勝った時の心境として「人事を尽くして天命に聴す」という表現が登場します。ここでは、『すべてをやり切ったのだから、あとは天命に任す』という意味です。
「人事を尽くして天命を待つ」の使い方・例文
「人事を尽くして天命を待つ」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
1.試験は全力で取り組んだのだから、今は人事を尽くして天命を待つだけだ。
2.人事を尽くして天命を待つ気持ちで、試合に臨む。
3.結果はまだわからないが、人事を尽くして天命を待つという気持ちで結果を待つしかない。
「人事を尽くして天命を待つ」ということわざは、試合や試験など挑戦して結果を待っている際に多く使われます。また、物事に対する気持ちの持ち方や、座右の銘などにも使われていますね。「人事を尽くして天命を待つ」は、四字熟語で「人事天命(人事天命)」となります。この四字熟語が使われる事もあるので、覚えておきましょう。
1.天は自ら助くる者を助く
2.運を天に任せる
3.果報は寝て待て
4.我が事終わる
5.人事を尽くして天命に聴いて可なり
ここでは、「我が事終わる」「天は自ら助くる者を助く」について詳しく見ていきましょう。
「我が事終わる」
「我が事終わる」とは、「自分に関係のある事が完了した」という意味です。
「我が事」というのは、自分に関係のあることや自分のことを指します。「事終わる」とは、ことの決着がつく・ことが完了するという意味です。この言葉の通り、自分の事は完了したという意味を持ちます。「人事を尽くして天命を待つ」とは少し意味が異なりますが、「自分に関係ある事が完了した」からこそ、結果は自分ではどうにもならないというニュアンスにつながるのです。
「天は自ら助くる者を助く」
「天は自ら助くる者を助く」は、英語のことわざを日本訳したものです。もともとは、「Heaven(God) helps those who help themselves.」になります。
「天は自ら助くる者を助く」とは、『周囲の人に頼らず自分で努力する者には、天の助けがあって必ず幸福になれる』という意味です。この逆で、『怠惰な人に、幸福は絶対に訪れない』という意味も持っています。「天は自ら助くる者を助く」は、以下のように用いられますよ。
1.天は自ら助くる者を助くというように、頑張っていれば絶対に報われるよ!
2.人に頼ってばかりいるから、天は自ら助くる者を助くと言うように幸せがこないんだ!
3.少しは自分で努力しなさい!天は自ら助くる者を助くよ!
プラスの意味でも、マイナスの意味でも使われます。努力して頑張っている人には幸せが来るけれど、他人に頼ったり、他人のせいにしたりしていると幸せは来ないという意味です。
「人事を尽くして天命を待つ」は、全力を尽くした後の結果は待つという意味でしたね。この「天は自ら助くる者を助く」の場合には、自分の努力に対する結果まで表すことわざになります。
ことわざ「Heaven(God) helps those who help themselves.」
先ほど、「天は自ら助くる者を助く」の英訳としてご紹介しました。この表現は、英語のことわざなので、そのまま用いる事ができます。
「人事を尽くして天命を待つ」とは多少意味が違いますが、ことわざとして最も意味が似ている表現です。ぜひ覚えてみてください。
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