「頭」の入る表現は日常生活でよく使われているな。「頭が切れる」、「頭に血が上る」、「頭を捻る」など、他にもたくさんあると思う。この「頭」は「脳」のことを指す。このように「頭」が入る慣用句が多いことからも、いかに私たちにとって生命維持や人として生きていくために頭、とりわけ脳が必要かわかるでしょう。そこで今回は、脳の中でも様々な機能を担う大脳の機能について生物に詳しいライターmimosa(ミモザ)と一緒に解説していきます。

ライター/mimosa

もともと文系出身で、独学で生物学、生化学を勉強し、現在医学系研究所の研究アシスタントとして理系の世界へ飛び込んだ。理科が苦手な方へも興味を持ってもらうべくわかりやすい説明を心掛けている。

中枢神経系

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脊椎動物の中枢神経系は、脳と脊髄から成り立っています。今回は、その中で脳について説明してきますね。脳は、大脳、間脳、中脳、小脳、延髄の5つの部分に分かれていますよ。その中でも大脳はおよそ1300gあって、脳の大部分の質量や容積を占めますが、それ以外にも人たらしめる重要な働きを大脳は司っていますよ。次に大脳の構造について説明しますね。

機能局在論

解剖学的区分(肉眼)では、ヒトの大脳皮質は不規則なしわに覆われていて、大脳は同じ一塊のものに見えるので、神経内科医のコルビニアン・ブロードマンによって脳の地図ができる前までは大脳の部位、働きについて詳しくわかっていなかったのですよ。ブロードマンによって、大脳皮質は細胞構築の差により、1~52の番号を振って分けられています。大脳はこんなにも細かく分かれているのかと驚かされますね。ヒトの大脳皮質は機能局在は、中枢神経系の各部位が様々な領域に細分類され、それぞれ異なる働きを担っていること指しますよ。

大脳の構造と機能

大脳の構造と機能

image by Study-Z編集部

大脳あるいは終脳(大脳半球)は中枢神経系の一部であり、ヒトでは非常に発達した部分なのですよ。大脳は中枢神経系の大部分を占めていています。大脳は、大きく分けると、大脳皮質白質大脳基底核の3つの構造に分けられます。大脳皮質は表面の灰白質、白質は大脳皮質の下にある神経線維が集まったもの、大脳基底核は、大脳の中心部で間脳の周囲を囲むように神経細胞が集まっていますよ。

1.大脳皮質

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前脳で最も大きい大脳皮質は、左右2つの半球から成り立っています。左脳、右脳と言えばわかりやすいでしょうか。これらは脳梁によって接続されていますよ。大脳皮質は中心溝外側溝によって、前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉に分けられます。前頭葉は記憶や思考、計画、意思決定など、頭頂葉は運動・感覚や記憶、言語など、そして後頭葉は主に視覚や色彩の認知に関与していますよ。また、中心溝も前部、後部と分けられて、前部の中心前回は運動野を、後部の中心後回は体性感覚野を含んでいます。前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉の位置は、次の章の図2をご参照くださいね。

\次のページで「2.大脳基底核」を解説!/

2.大脳基底核

2.大脳基底核

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大脳基底核は、大脳皮質と視床、脳幹をむずびつけている神経核の集まりなのですよ。大脳の灰白質は神経細胞であるニューロンがある場所であり、大脳基底核は灰白質なのですよ。哺乳類の大脳基底核は運動調節、認知機能、感情、動機付けや学習など様々な機能を担っていますよ。

3.大脳辺縁系

大脳辺縁系は、旧皮質と古皮質、大脳基底核の一部を含めた領域になりますよ。大脳辺縁系は記憶や情動(喜び,悲しみ,怒り,恐れなどの感情)の機能を担っています。大脳辺縁系の中で主に記憶の機能を担っているのは、海馬ですよ。海馬は側頭葉の内側にあり、短期記憶を司っています。短期記憶とは、比較的短い,秒単位の時間しか保持されない記憶であり、復唱しない限り消去されますよ。

なお、海馬で一時的に保存されていた情報は、必要に応じて長期記憶として大脳皮質に送られるのですよ。

高次脳機能障害

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これまで大脳の構造、働きについて説明してきましたが、ヒトの大脳はとても発達しているので、一度に覚えるのが難しいくらい機能が複雑です。なんらかの原因によって脳を損傷すると機能障害が出ます。高次脳機能障害とは、中枢神経系、特に大脳の損傷によって高次脳機能が障害された状態のことを指しますよ。脳損傷などの原因によって生じた高次脳機能障害には、言語、認知、行為・動作、記憶、注意、遂行機能(実行機能)の障害がありますよ。その一例を見ていきましょう。

1.言語障害

言語に関する部位を損傷すると失語症が生じます。失語症の中にはウェルニッケ失語ブローカ失語がありますよ。一言で失語症と言っても、脳の損傷部位によって症状は異なります。前頭葉にある運動性言語中枢を損傷すると、聞いて理解でき口も動きますが、話すことができないのがブローカ失語であり、側頭葉にある感覚性言語中枢を損傷すると、聴力は正常で話すことはできますが、聞いて内容を理解することができないのがウェルニッケ失語ですよ。

2.失認症、記憶の障害

2.失認症、記憶の障害

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「失認症」という言葉はあまり聴きなれないかもしれませんね。失語症は、「視覚」、「聴覚」、「触覚」などにおいて、ものごとの認知の障害が生じることです。視覚において認知の障害が起きれば、それは「視覚性失認症」と言いますよ。

次に、記憶の障害について説明しますね。記憶の障害には大きく2つに分かれますよ。1つは、新しい事柄を記憶することができなくなる前向性健忘、もう1つは過去に経験した内容を思い出すことができなくなる逆向性健忘と呼ばれるものです。また、アルコールの多量摂取により、健忘に加えて、失見当識も生じることがありますよ。失見当識とは、季節や年月、時刻、場所、人物などがわからなくなってしまうことですね。

\次のページで「3.注意の障害」を解説!/

3.注意の障害

私たちは無意識でも意識的でも何かに対して注意を向けたり、注意を持続させたりしていますね。脳を損傷することによって、注意を集中し続けることが困難な持続性注意の障害、必要な刺激にのみ注意を向けることが困難な選択的注意の障害、複数の刺激に注意を同時に分配することが困難な注意の分配の障害などがあります。

また、頭頂葉の損傷によって、空間的な注意の移動が損なわれることがあり、これを半側空間無視と言いますよ。半側空間無視の患者は、損傷した脳部位とは反対側の視野に注意を向けることができません。図2のような絵を描いてしまうのですね。

大脳とは複雑な情報処理をしている

大脳は、生命維持や人たらしめるための感覚をコントロールして複雑な情報処理をしている、身体において最も重要な器官ですよ。脳の部分別の機能については、機能局在論によって、脳科学の素地を築いたのですよ。さらに脳科学の研究が進み、大脳の中でも大きな大脳皮質は前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉に分かれていて、前頭葉は記憶や思考、計画、意思決定など、頭頂葉は運動・感覚や記憶、言語など、そして後頭葉は主に視覚や色彩の認知に関係しているとわかりました。このことから、ある大脳の部位を損傷すると、その部分が担っている機能において障害が生じます。大脳だけでも大脳の機能についてはまだわかっていないことがたくさんあるので、それらが解明されたら、脳の損傷によって障害を負ってしまった後の治療はもちろん、今後の人類の発展に貢献しそうですね。

イラスト引用元:いらすとや

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体の仕組み・器官理科生物

3分で簡単「大脳の機能」大脳辺縁系や大脳基底核などについて医学系研究アシスタントがわかりやすく解説

「頭」の入る表現は日常生活でよく使われているな。「頭が切れる」、「頭に血が上る」、「頭を捻る」など、他にもたくさんあると思う。この「頭」は「脳」のことを指す。このように「頭」が入る慣用句が多いことからも、いかに私たちにとって生命維持や人として生きていくために頭、とりわけ脳が必要かわかるでしょう。そこで今回は、脳の中でも様々な機能を担う大脳の機能について生物に詳しいライターmimosa(ミモザ)と一緒に解説していきます。

ライター/mimosa

もともと文系出身で、独学で生物学、生化学を勉強し、現在医学系研究所の研究アシスタントとして理系の世界へ飛び込んだ。理科が苦手な方へも興味を持ってもらうべくわかりやすい説明を心掛けている。

中枢神経系

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脊椎動物の中枢神経系は、脳と脊髄から成り立っています。今回は、その中で脳について説明してきますね。脳は、大脳、間脳、中脳、小脳、延髄の5つの部分に分かれていますよ。その中でも大脳はおよそ1300gあって、脳の大部分の質量や容積を占めますが、それ以外にも人たらしめる重要な働きを大脳は司っていますよ。次に大脳の構造について説明しますね。

機能局在論

解剖学的区分(肉眼)では、ヒトの大脳皮質は不規則なしわに覆われていて、大脳は同じ一塊のものに見えるので、神経内科医のコルビニアン・ブロードマンによって脳の地図ができる前までは大脳の部位、働きについて詳しくわかっていなかったのですよ。ブロードマンによって、大脳皮質は細胞構築の差により、1~52の番号を振って分けられています。大脳はこんなにも細かく分かれているのかと驚かされますね。ヒトの大脳皮質は機能局在は、中枢神経系の各部位が様々な領域に細分類され、それぞれ異なる働きを担っていること指しますよ。

大脳の構造と機能

大脳の構造と機能

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大脳あるいは終脳(大脳半球)は中枢神経系の一部であり、ヒトでは非常に発達した部分なのですよ。大脳は中枢神経系の大部分を占めていています。大脳は、大きく分けると、大脳皮質白質大脳基底核の3つの構造に分けられます。大脳皮質は表面の灰白質、白質は大脳皮質の下にある神経線維が集まったもの、大脳基底核は、大脳の中心部で間脳の周囲を囲むように神経細胞が集まっていますよ。

1.大脳皮質

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前脳で最も大きい大脳皮質は、左右2つの半球から成り立っています。左脳、右脳と言えばわかりやすいでしょうか。これらは脳梁によって接続されていますよ。大脳皮質は中心溝外側溝によって、前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉に分けられます。前頭葉は記憶や思考、計画、意思決定など、頭頂葉は運動・感覚や記憶、言語など、そして後頭葉は主に視覚や色彩の認知に関与していますよ。また、中心溝も前部、後部と分けられて、前部の中心前回は運動野を、後部の中心後回は体性感覚野を含んでいます。前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉の位置は、次の章の図2をご参照くださいね。

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