この記事では「猫も杓子も」について解説する。

端的に言えば「猫も杓子も」の意味は「誰もがみんな・なにもかも」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好き・英語好き・読書好きなライターくふを呼んです。一緒に「猫も杓子も」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/くふ

語学好き・英語好き・読書好きなライター。学習塾での経験を活かし分かりやすく丁寧な解説をお届けする。

「猫も杓子も」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「猫も杓子も」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「猫も杓子も」の意味は?

「猫も杓子も」には、次のような意味があります。辞典などで正確な内容を確認しましょう。

1.だれもかれも。なにもかも。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「猫も杓子も」

「猫も杓子も」とは「なにもかも・だれもかれも・みんな」の意。読み方は「ねこもしゃくしも」です。あなたは猫、好きですか。ミャーとかわいらしい声で鳴く「猫」。癒される・かわいい一面もありますよね。さて、「杓子」とは「 ご飯や汁などをすくったりする道具・しゃもじ・お玉」のことですよ。

肯定的な文では「みんな」・「なにもかも」という意味で使われます。否定的・批判的な文章では「なんでもかんでも・どいつもこいつも」というニュアンスで用いられますよ。「多くの人が同じ行動をする」際に広く使われる慣用句なのです。猫と杓子。なんだかあまりつながりのない言葉のように思いませんか。どうして猫と杓子で「なにもかも」という意味を示すのでしょうか。次の語源で解説しますね。

「猫も杓子も」の語源は?

「猫も杓子も」の由来には5つの説があると言われていますよ。1つずつご紹介しますね。

\次のページで「「猫も杓子も」の使い方・例文」を解説!/

1.「一休咄(いっきゅうばなし)」説。

「一休咄」は、とんちで知られている「一休さんの説話」のこと。この話の中で「生まれは死ぬるなりけりおしなべて釈迦も達磨も猫も杓子も」=「釈迦も達磨も猫も杓子もみんな生まれて死んでいく」というフレーズが出てきますよ。この「釈迦も達磨も」が抜け落ちて「猫も杓子も」だけが残ったという説なのです。

2.「禰宜も釈氏も(ねぎもしゃくしも)」

「禰宜(ねぎ)」は「神主」のこと。「釈氏(しゃくし)」とは「お釈迦様」を示します。昔、日本の宗教は神道と仏教でした。ここから「神を信じる人も仏を信じる人も」=「だれもかれもみんなが」の意味となったという説です。

3.「女子も弱子も(めこもじゃくしも)」

「女子(めこ)」は「女性」のことですよ。「弱子(じゃくし)」とは「子ども」の意。落語の「横丁の隠居」の中に「女子も弱子も」というフレーズが出てきますよ。この「めこをねこ・じゃくしをしゃくし」と聞き間違え「猫も杓子も」が世間に広まったという説なのです。

4.「寝子も赤子も(ねこもせきしも)」

「寝子(ねこ)」は「寝る子」を表していますよ。「赤子(せきし)」は「赤ちゃん」のこと。「寝る子も赤ちゃんも」が「猫も杓子も」になり伝わったとされています。

5.「猫と主婦」

「猫」は動物の「猫(ねこ)」のことですね。「杓子」は「主婦」のこと。「猫も主婦も家族みんなで」から派生して「猫も杓子も」に変化したという説なのです。

あなたはどの説が有力だと思いますか。こんなにたくさんの由来が伝えられている慣用句も珍しいのかもしれませんね。

「猫も杓子も」の使い方・例文

「猫も杓子も」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この用語は、たとえば以下のように用いられます。

1.最近の若い女性は猫も杓子もチェック柄の服を着ている。今年の秋のトレンドだそうだ。

2.明日は英語のテストだ。自習室で猫も杓子も一生懸命勉強に取り組んでいる。

3.この時間のテレビ番組は、猫も杓子もバラエティー番組ばかりだ。

例文1は、今年の秋ファッションのトレンドはチェック柄なのでしょうね。「周りのあの人もこの人もチェック柄の服を着ている様子」が思い浮かぶでしょう。例文2では「明日のテストに備えてだれもが勉強している場面」が伺えますね。例文1と2のように「誰もがみんな周りの人と同じことをしている場面」で用いられる慣用句でしょう。また、「猫も杓子も」を「みんな」に置き換えて表現できますね

一方、例文3では「ある時間帯の番組はどれもこれも同じような内容ばかりだ」という「少し皮肉がこもった・否定的なニュアンス」が感じられるでしょうか。きっと、各番組の個性があまり感じられずつまらないのかもしれませんね。このように、「猫も杓子も」は「マイナスな場面も表すことができる慣用句」なのです。2つの使い方をマスターしましょうね。

\次のページで「「猫も杓子も」の類義語は?」を解説!/

「猫も杓子も」の類義語は?

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「猫も杓子も」の類義語にはどのような言葉があるのでしょうか。一緒に確認しましょう。

「老若男女」

「猫も杓子も」の類義語には「老若男女」が考えられるでしょう。「老若男女(ろうにゃくなんにょ)」とは「老人、若者、男性、女性、すべての人。」の意。声に出してすんなりと読むことが難しい言葉ですよね。

「老若男女問わず」・「老若男女を選ばず」・「老若男女が一堂に会する」というフレーズで聞いたことがあるのではないでしょうか。「幅広い層の人たち」を表す時に使われることがポイントですね。ぜひ、参考にしてくださいね。

「猫も杓子も」の対義語は?

「猫も杓子も」は「誰もがみんな同じことをする」という意味でしたね。反対の意味となると「みんなそれぞれ違っているさま」が考えられるでしょう。では、このような言葉を解説しますね。

「十人十色」 

「猫も杓子も」の対義語には「十人十色」が考えられるでしょう。「十人十色(じゅうにんといろ)」とは「考え方や好みなどが各人それぞれに違っていること」の意。

想像しましょう。家族で同じドラマを見ています。「あらすじが興味深いと感じる父」・「あの俳優がとてもかっこいいと感じる母」・「主題歌が素敵だという息子」。このように「感じ方や考え方はみんな違っているという様子」を表す四字熟語なのです。

「十人十色」はやさしい漢字で構成されており、親しみやすい四字熟語の1つでしょう。「生活習慣・考え方・性格などが十人十色だ」などというように日常会話に取り入れてみませんか。

「猫も杓子も」の英訳は?

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「猫も杓子も」は英語でどのように表現するのでしょうか。キーワードとなる英単語をチェックしましょう。

「everybody」

「猫も杓子も」は「everybody」と表現できるでしょう。「everybody」とは「だれもみな・皆さん」の意。一度は聞いたことのある英単語ではないでしょうか。

「everybody」 は「仲の良い間柄・面識のある相手」を対象に使う言葉です。「everybody」=「みんな」という「親しみをこめたニュアンスで使われること」がポイントですね。「everyone」のくだけた表現として知られています。「everyone」は「みなさん」という「かしこまった意味合い」で使われますよ。親しき中にも礼儀あり。使用する単語で相手への印象が大きく変わる場合がありますよ。英単語を選ぶ時は注意したいですね。

\次のページで「「猫も杓子も」を使いこなそう」を解説!/

「猫も杓子も」を使いこなそう

この記事では「猫も杓子も」の意味・使い方・類語などを説明しました。ニャーと鳴く猫。ご飯をすくうときに使う杓子。なんとも不思議な言葉の組み合わせではないでしょうか。このような、関係性が薄い言葉が組み合わさって意味を成している表現は他にもあるかもしれませんね。案外、あなたの会話の中に登場しているかもしれませんよ。

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国語言葉の意味

【慣用句】「猫も杓子も」の意味や使い方は?例文や類語を現役塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「猫も杓子も」について解説する。

端的に言えば「猫も杓子も」の意味は「誰もがみんな・なにもかも」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好き・英語好き・読書好きなライターくふを呼んです。一緒に「猫も杓子も」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/くふ

語学好き・英語好き・読書好きなライター。学習塾での経験を活かし分かりやすく丁寧な解説をお届けする。

「猫も杓子も」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「猫も杓子も」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「猫も杓子も」の意味は?

「猫も杓子も」には、次のような意味があります。辞典などで正確な内容を確認しましょう。

1.だれもかれも。なにもかも。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「猫も杓子も」

「猫も杓子も」とは「なにもかも・だれもかれも・みんな」の意。読み方は「ねこもしゃくしも」です。あなたは猫、好きですか。ミャーとかわいらしい声で鳴く「猫」。癒される・かわいい一面もありますよね。さて、「杓子」とは「 ご飯や汁などをすくったりする道具・しゃもじ・お玉」のことですよ。

肯定的な文では「みんな」・「なにもかも」という意味で使われます。否定的・批判的な文章では「なんでもかんでも・どいつもこいつも」というニュアンスで用いられますよ。「多くの人が同じ行動をする」際に広く使われる慣用句なのです。猫と杓子。なんだかあまりつながりのない言葉のように思いませんか。どうして猫と杓子で「なにもかも」という意味を示すのでしょうか。次の語源で解説しますね。

「猫も杓子も」の語源は?

「猫も杓子も」の由来には5つの説があると言われていますよ。1つずつご紹介しますね。

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