
・会社を首になったのでしかたなく起業したら大成功してしまった。災い転じて福となすとはこのことだね。
・女性同士の揉め事に巻き込まれるとは厄介だったね。でも災い転じて福となすというから、揉めた当人たちの信頼を勝ち取るチャンスかもしれないよ。
・急な停電で一時はどうなることかと思ったが、近隣住民が助け合って結束が強まった。雨降って地固まるを地でいく展開だったよ。
「棚から牡丹餅」
「たなからぼたもち」と読み「思いがけない幸運」を表します。「棚ぼた」と絡した言い方で聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。昔は今以上に甘いものが貴重でしたから、思いがけない場所に牡丹餅を発見したときの嬉しさは現代人の想像以上かもしれませんね。同様に「思いがけない幸運」を表現する場合は、「偶然の産物」という言い方もできますよ。
・努力もせずに棚から牡丹餅を期待するようでは成長は望めない。
・試験勉強はほとんどしなかったが、棚ぼたなことに登校中に電車で読んだところがたまたま出題されたよ。
・親しくしている町内会長が、まさか取引先の顧問だったとは。偶然の産物をフル活用し、なんとか仕事を受注したいものだ。
「人間万事塞翁が馬」
「にんげんばんじさいおうがうま』と読みますが、「人間」は音読みで「じんかん」と読むことも。中国の故事に基づく言葉で、この「人間」はいわゆる「人」ではなく「世の中」「世間」といった意味合いです。
ある人が、買っていた馬が逃げてしまい落胆していたら、その馬が別の優れた馬を連れて戻ってきた。喜んでいたら、息子が優れた馬から落馬して怪我をした。災難だと思ったが、怪我のおかげで兵役を免れることができた。
簡単に言うと、このようなストーリーがもとになっています。「怪我の功名」が意味する「悪いことがいいことに転じる」とは少々異なりますが、「世の中は何が起きるかわからない」という点は似ていますね。その意味ではほかに「禍福は糾える縄の如し(かふくはあざなえるなわのごとし)」もあります。より合わせた縄の表と裏のように、不幸と幸福も交互にやってくるという意味です。なお「人間万事塞翁が馬」は、「様々なことが起きるのが常なのだから、いちいち一喜一憂しても仕方がない」と捉え、人生訓らしく語られることもありますよ。
「怪我の功名」の対義語は?
今度は「怪我の功名」と反対の意味を表す言葉を見てみましょう。
「不幸中の幸い」
不幸な出来事の中に、少しは救いになるような幸運も含まれている様子を表します。交通事故に遭って車は大破したけれど、自身にけがはなかったなど、悪いことは起こっても最悪の事態は免れたというケースで用いるこの言葉。
「怪我の功名」と似ているように思うかもしれませんが、過失による間違いだったものが、想定外の良いことに「完全に転じた」というニュアンスはありません。
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