この記事では「眉を寄せる」について解説する。

端的に言えば眉を寄せるの意味は「眉の寄った表情をすること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本語学を中心とし、文学・語学を専門的に学んでいるライターのイオリを呼んです。一緒に「眉を寄せる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/イオリ

日本語学を専門に学び、趣味は読書と小説執筆という日本語漬けの毎日を送るライター。日本語オタクとして言葉の意味や内容、その面白さを丁寧に解説していく。

「眉を寄せる」の意味や使い方まとめ

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それでは早速「眉を寄せる」の意味や使い方を見ていきましょう。

「眉を寄せる」の意味は?

「眉を寄せる」には、次のような意味があります。

不快の念などから眉の寄ったような表情をすること。

出典:実用日本語表現辞典「眉を寄せる」

「眉根(まゆね)を寄せる」や「眉をひそめる」など、類似の言葉を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。その中でも、ここで紹介するのは「眉を寄せる」です。意味は「不快感などから眉の寄った表情をすること」。実際に何か嫌なことが起こったときや不安、不快な気分になったとき、眉間にしわが寄った表情になってしまうことがありますよね。 そのときの順序としては『不快な気分になる→眉を寄せた表情になる』ですが、慣用句的に扱う場合は「眉を寄せる」という動作を示すことによって「不快な気分になっている」という心理的な内容まで表すことができるのです。

「眉を寄せる」の使い方・例文

では「眉を寄せる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「眉を寄せる」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.出来るだけリアクションや反応をしないで感情変化を見せないようにしようと思っていたのだが、嫌いなものを提供されて思わず眉を寄せてしまった。
2.サイトが突然動作を停止して上書き保存前の文字がページから消えてしまい、これには上司も眉を寄せた。
3.単語一覧の中からキーワードを設定し解析しろなどという無理難題に、私は眉を寄せた。

1の例文は、嫌いなものを提供されたことによる不快感を「眉を寄せてしまった」という描写で表現した文章です。「眉を寄せる」という感情が表面化した結果そのものを描写することで、ただ嫌だと言うよりさらに不快な感じや心が乱された雰囲気を持たせることができます。

2の例文も「眉を寄せる」の意味と使い方は1と同じですが、こちらは「上司」という第三者が眉を寄せたということを表した文章です。自分自身の動作だけではなくこのように他者の行為・他者の感情についても使うことのできる言葉であるということですね。しかし他者について「眉を寄せた」と言うときは実際に眉間にしわを寄せて嫌な顔をしている、という場面の描写であることがほとんどです。自分自身のことについて言うときは感情を少ししか表出しなくても不快だということを自覚し表現できますが、他者の感情は目に見えないとわかりません。その点に注意して、誰の行動を示すのかしっかり考えながら使い分けていきましょう。

3の例文は主語としてはっきりと「私が」という表記があるため、自分自身の行為や感情を表した文章であるということがわかりますね。この例文も「眉を寄せた」という描写のみで他に感情を表す「不快」や「嫌」といった言葉は使われていませんが、行為を表す「眉を寄せる」という慣用句を使うだけで同時に全く描写のない感情も表されています。文を短縮することができ、こなれた感じにも見えますね。

「眉を寄せる」の類義語は?違いは?

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では次に「眉を寄せる」の類義語を紹介していきます。意味は「不快感などから眉の寄った表情をすること」でしたね。

「苦い顔をする」

これは「苦い」の意味の一つ「不快である、面白くない」から派生して「不快感の滲んだ表情をする」というような意味を持った慣用表現です。「苦い」という感情が顔に表出されているという点で、「眉を寄せる」とも非常によく似た言葉であると言えそうですね。

記事冒頭にもいくつか示しましたが、嫌な感情が表情に表されているという形の慣用句はこれ以外にもたくさんあります。「眉根を寄せる」「顔をしかめる」「眉をひそめる」等がよく使われる例ですね。どれも「眉」や「顔」という部位が出てきますが、それぞれ似ているからこそ混同されてしまい、「眉をしかめる」などというふうに間違った使い方をしてしまうことがあります。どの言葉にどの部位が対応するのか、きっちりと押さえておきましょう。

「眉を寄せる」の対義語は?

類義語を確認したところで、次は「眉を寄せる」の対義語を見ておきましょう。

\次のページで「「目を細める」」を解説!/

「目を細める」

これは正式には「目を細くする」という形で使われる慣用句で、「嬉しさで笑みを浮かべる」という意味を持っています。人はにっこり笑ったとき、頬が上がり開いた目が細くなりますよね。この動作を描写することで「嬉しい」「微笑ましい」という感情まで表しているのです。この動作の描写で感情を表すという形は「眉を寄せる」とも共通しており、わかりやすい対義語だと言えそうですね。

ただしこの「目を細める」は動作のみを描写した単語であるからこそ、誤った意味で捉えられてしまうことも少なくない慣用句です。特に「眉を寄せる」とは混同されやすくどちらも悪い意味を表した言葉だと勘違いしてしまうことも多いため、ここでしっかりと確認しておきましょう。

「眉を寄せる」の英訳は?

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では最後に「眉を寄せる」の英訳を確認しておきましょう。

「knit one's eyebrows」

「knit」はここでは「(眉を)寄せる」という動詞で「eyebrows」は「眉」を表す名詞です。直訳すると「眉を寄せる」というそのままの意味になりますが、英語表現でも日本語と同じく「不快感などから眉の寄った表情をすること」というような感情も含んだ意味を表すことができます。日本語と同じパターンであるため覚えやすく、スムーズに使用することができそうですね。「eyebrows」は「brows」と省略して扱うことも可能ですよ。

「眉を寄せる」を使いこなそう

この記事では「眉を寄せる」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「不快感などから眉の寄った表情をすること」という意味を持ち、似た形と意味を持つ類義語も多数存在していましたね。わかりやすく日常生活でも使いやすい慣用句ですが、そのような類語が多くあるからこそ混同してしまい誤った方法や言葉で扱ってしまうことも少なくありません。ここでしっかり確認して、正しい語彙を増やしていきましょう。

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国語言葉の意味

【慣用句】「眉を寄せる」の意味や使い方は?例文や類語を日本語オタクライターがわかりやすく解説!

この記事では「眉を寄せる」について解説する。

端的に言えば眉を寄せるの意味は「眉の寄った表情をすること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本語学を中心とし、文学・語学を専門的に学んでいるライターのイオリを呼んです。一緒に「眉を寄せる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/イオリ

日本語学を専門に学び、趣味は読書と小説執筆という日本語漬けの毎日を送るライター。日本語オタクとして言葉の意味や内容、その面白さを丁寧に解説していく。

「眉を寄せる」の意味や使い方まとめ

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それでは早速「眉を寄せる」の意味や使い方を見ていきましょう。

「眉を寄せる」の意味は?

「眉を寄せる」には、次のような意味があります。

不快の念などから眉の寄ったような表情をすること。

出典:実用日本語表現辞典「眉を寄せる」

「眉根(まゆね)を寄せる」や「眉をひそめる」など、類似の言葉を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。その中でも、ここで紹介するのは「眉を寄せる」です。意味は「不快感などから眉の寄った表情をすること」。実際に何か嫌なことが起こったときや不安、不快な気分になったとき、眉間にしわが寄った表情になってしまうことがありますよね。 そのときの順序としては『不快な気分になる→眉を寄せた表情になる』ですが、慣用句的に扱う場合は「眉を寄せる」という動作を示すことによって「不快な気分になっている」という心理的な内容まで表すことができるのです。

「眉を寄せる」の使い方・例文

では「眉を寄せる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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