
生物濃縮は自然界でしばしばみられる現象ですが、我々人間の生活にも大きな影響を与えることがある。生物濃縮や、それによって生じる事件は、生態系や自然の保全を考えるきっかけにもなるぞ。身近な問題と考えながら読んでみてほしい。
大学で生物学を学び、現在は講師としても活動しているオノヅカユウに解説してもらおう。

ライター/小野塚ユウ
生物学を中心に幅広く講義をする理系現役講師。大学時代の長い研究生活で得た知識をもとに日々奮闘中。「楽しくわかりやすい科学の授業」が目標。
生物濃縮とは?
生物濃縮(Bioconcentration)とは、「外界から取り込まれた物質が、食物連鎖で上位の生物種や個体群の体内に蓄積し、濃度が高くなっていくこと」をいいます。生体濃縮といわれることもあるようです。
後述しますが、生物濃縮が私たちの間でとくに話題となるのは、濃縮された物質や成分が、他の生物や人間に悪影響をあたえる場合。過去には、人工的な化学物質である有機塩素化合物(DDTやPCBなど)や有機水銀化合物(メチル水銀など)の生物濃縮が大きな問題となってきました。
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