理科生態系生物

私たちにも影響がある!「生物濃縮」とはどんな現象なのか?現役講師が解説!

よぉ、桜木建二だ。この記事では「生物濃縮」をテーマに学んでいこう。

生物濃縮は自然界でしばしばみられる現象だが、我々人間の生活にも大きな影響を与えることがある。生物濃縮や、それによって生じる事件は、生態系や自然の保全を考えるきっかけにもなるぞ。身近な問題と考えながら読んでみてほしい。

大学で生物学を学び、現在は講師としても活動しているオノヅカユウに解説してもらおう。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

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ライター/小野塚ユウ

生物学を中心に幅広く講義をする理系現役講師。大学時代の長い研究生活で得た知識をもとに日々奮闘中。「楽しくわかりやすい科学の授業」が目標。

生物濃縮とは?

生物濃縮(Bioconcentration)とは、「外界から取り込まれた物質が、食物連鎖で上位の生物種や個体群の体内に蓄積し、濃度が高くなっていくこと」をいいます。生体濃縮といわれることもあるようです。

後述しますが、生物濃縮が私たちの間でとくに話題となるのは、濃縮された物質や成分が、他の生物や人間に悪影響をあたえる場合。過去には、人工的な化学物質である有機塩素化合物(DDTやPCBなど)や有機水銀化合物(メチル水銀など)の生物濃縮が大きな問題となってきました。

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自然環境と人間、生態系の中で生きる我々にとって、この生物濃縮やそれにまつわる問題は、必ず知っておかなければならない事象だ。まずはその仕組みについて学んでいこう。

生物濃縮のしくみ

生物が食事などで体外から取り入れた物質は多くが代謝され、有用な成分はからだの一部になります。不要な物質や老廃物は排出され、害をおよぼす様な物質は貯まらないようにするのが、生物のからだの自然なはたらきです

その一方で、水に溶けにくかったり、分解、代謝されにくい一部の物質は体内、とくに脂肪分に溶けるようにして蓄積されてしまうことがあります。

image by iStockphoto

ある場所に住むプランクトンのような小さな生き物のからだに、そのような性質の有害物質が蓄積してしまったとしましょう。それを捕食する上位の生物は、たくさんの小さな生き物を食べます。一匹一匹は小さくても、大量に食べることで結果的にたくさんの有害物質が捕食者のからだに蓄積します

image by Study-Z編集部

一般的に、食物連鎖で上位の生物は、下位の生物を数多く捕食します。先ほどのように、有害物質の蓄積した生物を、上位の生物がたくさん食べ、さらに上位の生物がそれを食べると…上位の生物のからだには高濃度の有害物質が溜まっていくことになるのです。

これが、生物濃縮のしくみ。からだに貯まりやすい有害物質が環境中にあり、その有害物質が蓄積した生物が食物連鎖中に組み込まれることで、高濃度の有害物質が蓄積した生物ができてしまうのですね。

生物濃縮の影響

生物濃縮は私たち人間にとっても大きな問題になりえます。いくつか例を出してみましょう。

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