1.うちの自治会長は老成された方だが、私のような若輩にも丁寧に対応してくれる。『実るほど頭を垂れる稲穂かな』を地で行く人だ。
2.部長は年甲斐もなく、部署の中だけでお山の大将を気取っている。井の中の蛙でいる限り、『実るほど頭を垂れる稲穂かな』の精神は到底理解できず、誰からも慕われることはないだろう。
3.専門分野や所属業界の違う人と話す機会があると、いつもの生活にはない知的刺激や閃きを得られる。他人には、自分にとって見習うべきことや吸収するべき知識が、なにかしらあるものだ。そして『実るほど頭を垂れる稲穂かな』、知識が増えれば理解できる話しも増えるので、ますます他者とのコミュニケーションが欲しくなる。
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」は、人生の苦しみも楽しみも、すべて正面から向き合ってきた方が至れる境地ではないでしょうか。人生でぶつかった課題には逃げずに立ち向かい、楽しめる場面では思い切り楽しむことで、豊かな知識と経験が育まれていくものです。
哲学に『無知の知』という言葉があるように、自分の得意とする分野で功績を挙げられたとしても、この世にはまだ知らないことのほうが多いでしょう。
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」は、こうして培われる精神と言えそうです。自分と違う人生を歩む他人は、きっと自分の知らないことをたくさん知っています。
「大智如愚(だいちじょぐ)」:賢い人は一見愚かに見える
大きな智慧を持つ人はそれをひけらかさず、むしろ一見すると愚かなように振る舞うという意味。
「和光同塵(わこうどうじん)」:徳を隠して世俗に交じる
本来の老子の言葉では上記の通りの意味です。仏教では少し意味が転じており、仏が俗世を救うために、民衆が垣根を感じないよう徳を隠した姿になることを指します。
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