
端的に言えば、あばたもえくぼの意味は「相手に好意を持つと欠点も長所に見える」です。なぜ「あばたもえくぼ」に見えるのか?その由来や心理についても見ていこう。
日本放送作家協会会員でWebライターのユーリを呼んです。「あばたもえくぼ」の意味をチェックし、使い方や類義語などを見ていきます。
- 「あばたもえくぼ」の意味・語源・例文など
- 「あばたもえくぼ」の意味
- 「あばたもえくぼ」の語源
- 「あばたもえくぼ」に見えるのは「ハロー効果」のせい!
- 「あばたもえくぼ」の例文
- 「あばたもえくぼ」の類義語
- 「屋烏(おくう)の愛」:その人の家の屋根にとまったカラスまで愛する
- 「面面の楊貴妃」:好きになると欠点が目につかず美しく見える
- 「惚れた欲目」:実際以上によく思ってしまう
- 「あばたもえくぼ」の反対語
- 「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」:その人に関わるものすべてが憎い
- 「親が憎けりゃ子も憎い」:その人に関わるものすべてが憎い
- 「あばたもえくぼ」の英訳
- 「Love is blind.」:恋は盲目
- 「Love sees no faults.」:惚れた欲目
- 「Love covers many infirmities. 」:愛は多くの欠点を隠す
- 「あばたもえくぼ」を使いこなそう!
この記事の目次

ライター/ユーリ
日本放送作家協会会員。シナリオ、エッセイをたしなむWebライター。時代によって変化する言葉の面白さ、奥深さをやさしく解説する。
「あばたもえくぼ」の意味・語源・例文など

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まずは「あばたもえくぼ」の意味や語源を見ていきましょう。なぜ「あばたもえくぼ」に見えるのかも解説しますよ。理解できたら例文で使い方も見ていきましょう。
「あばたもえくぼ」の意味
まず、辞書で「あばたもえくぼ」の意味をチェックしましょう。
恋する者の目には、相手のあばたでもえくぼのように見える。ひいき目で見れば、どんな欠点でも長所に見えるということのたとえ。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「あばたもえくぼ」
「あばた」とは、天然痘(てんねんとう)が治ったあとに残る皮膚の小さなくぼみのこと。「あばたもえくぼ」は「恋する者の目にはあばたもえくぼのように見える」つまり「相手に好意を持つと欠点も長所に見える」という意味です。
「あばたもえくぼ」の語源
「あばた」と言われてもピンとこないかもしれないですね。「あばた」は漢字では「痘痕」と書きます。天然痘(痘そう)の痕(あと)という意味です。天然痘は1980年に地球上から根絶されるまで、感染力や致死率が高い病気として恐れられていました。
たとえ治っても、「あばた」が残って見た目が悪くなるため「見目定(みめさだ)めの病」として忌み嫌われていたのです。恋する者の目には、そんな「あばた」すらもえくぼに見えてしまうというのが「あばたもえくぼ」の語源ですよ。いつから使われていたかはわかりませんが、江戸時代の洒落本(しゃれぼん)に記載が見られます。
「あばたもえくぼ」に見えるのは「ハロー効果」のせい!
「ハロー効果」をご存じでしょうか。「ハロー」とは、神仏の背後に描かれる後光のことで、日本語では「後光効果」などと訳されています。「ハロー効果」とは、「人などを評価するときに、目立った特徴があると、その一部分の印象によって全体の評価が影響を受けてしまう」こと。
好きなタレントが起用されているCMを見ると、その商品にも好感を持ちますよね。相手のことを好きになると「あばた」も欠点には見えず、相手を全体的に高く評価してしまうものなのです。
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