3分で簡単「ラウールの法則」味噌汁が100℃で沸騰しない理由は?理系ライターがわかりやすく解説!
ラウールの法則と蒸気圧降下
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溶質が溶けている場合と溶けていない場合の蒸気圧を見ていきましょう。溶液の合計重量はどちらも100gとしましょう。溶質、溶媒とも便宜上「粒」で表します。粒は物質量の指標をイメージしましょう。1粒が◯molを表し、10粒ならその10倍。
左側は10粒全て溶媒、右側は9粒が溶液で1粒が溶質としましょう。左側は10粒が蒸気圧の発生要因ですが、右側は9粒しか蒸気圧発生には寄与しません。右側の蒸気圧は左側の9割に減少しますね。これを蒸気圧降下と呼びます。上述で言うところのα=0.9の状態ですね。溶質が複数種類ある場合も同様、上記のような絵を描いて考えればわかりやすいのではないでしょうか。
粒数と物質量補足
味噌汁の蒸気圧
実際に数字を入れて蒸気圧を計算していきましょう。一般的な味噌汁は塩分濃度が1.2%程度とされています。ここでは、計算単純化のため味噌汁=塩分濃度1.2%の食塩水と仮定しましょう。 100℃の味噌汁が合計100gあるとしたら、1.2gが食塩(塩化ナトリウムNaCl)で残り98.8gが水(H2O)ですね。敢えて化学式表記にしたのは物質量を意識するため。ラウールの法則に当てはめるためには質量ではなく物質量(≒粒の数)での含有率が必要です。
上記を物質量に換算すると、まず水(H2O)は分子量を18とすると物質量は5.49mol、食塩(NaCl)は分子量58.5とすると0.02mol。溶液(味噌汁)の物質量合計は5.51molでそのうち5.49molが溶媒(水)であり、そのモル含有率は99.6mol%、つまりα=0.996。 100℃における水の蒸気圧Pは大気圧(=1013hPa)なので、味噌汁の蒸気圧P\’は1009hPaと求まり、若干ですが純水より下がることが分かりますね。
これが何を意味するか絵で見ていきましょう。純水の場合は100℃で蒸気圧1013hPaのため、大気圧と拮抗しているため全ての液体が気体に変化していくわけです。 一方味噌汁は蒸気圧1009hPaで、若干ながら大気圧より小さいため液体の状態であり、大気圧に押さえ込まれて気体にはなれません。
もっと温度を上げたらどうなる?
100℃で蒸気圧1009hPaでも、少し温度を上げれば1013hPaに到達しそうですね。
3.沸点上昇
蒸気圧が下がったら沸点は上がります。蒸気圧降下からなぜ沸点上昇に繋がるのか?順を追って解説していきましょう。
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