
5分でわかる「ラウールの法則」味噌汁が100℃で沸騰しない理由は?理系ライターがわかりやすく解説!


解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/R175
関西のとある国立大の理系出身。
1.味噌汁は100℃でも沸騰しない

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味噌汁など、溶質が溶け込んでいると沸騰が上昇するため、水のように100℃では沸騰しません。 溶質の濃度が高ければ高いほど沸点上昇も大きくなります。
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どれくらい沸点が上がる?
「沸点が上がります」と言っておきながら、一般的な味噌汁の沸点上昇はわずか0.2℃ 程度のようです。つまり100.2℃で沸騰します。 たったそんだけ?と数字にした途端インパクトに欠けますが、 上昇することには間違いありません。

何かしらの混合物である水溶液は純粋な水よりも沸点が上昇する。その上昇幅はわずかではあるが確かに上昇するのは事実だ。
余談だが、理科ではこのわずかな差も誤差だと片付けず考察していくことが大事だったりするぞ。と言うことで、なぜ「微妙に」沸点が上がるか見て行こう。
2.ラウールの法則とは

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溶質が溶け込んでいる液体(溶液)
蒸気圧とは

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そもそも蒸気圧って何でしょうか?本記事でのキーワードのため整理しておきましょう。
液体は沸騰していなくても常に蒸発し続けています。洗った後の食器が乾燥するのも、洗濯物が乾くのも水が蒸発するため。蒸発した水蒸気の分だけ気体が生成されますね。気体が増えるということは圧力が発生します。これが蒸気圧です。
溶媒の割合と蒸気圧の関係
蒸気圧を発生させているのは溶媒であり、不揮発性である(蒸発しない)溶質は寄与していませんね。溶質が多く溶媒が少ないほど蒸気圧は下がりますね。これについて定めたのがラウールの法則。
蒸気圧は溶媒のモル含有率に比例すると言うもので、全部溶媒だった場合の蒸気圧をP、溶質も存在する時の溶媒の含有率(モル分率)をα、蒸気圧をP’とすると、P’=αPとなります。溶質が混ざっている時点で、溶媒のモル分率が低下するため分圧が低下すると考えてもOKです。
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