・人の失敗談を笑わずに、他山の石とするべきだ。
・彼を批判するだけではなく、他山の石として自己の成長に邁進するべきだ。
このように、他人の誤った行動を目にした際に笑って見過ごしたり責めて終わらせるのではなく、自身の日常を見直す機会にしたり、人格を高めるきっかけにするべし、というケースで使われます。
誤用に注意しよう!
「他山の石」は、意味を勘違いしている人が多い慣用句としても知られています。文化庁による平成25年度の「国語に関する世論調査」の結果、本来とは異なり「他人の良い言行は自分の行いの手本となる」の意味で使う人が22.6%もいたとのこと。中でも20代などの若い世代で誤用が目立ったそうです。
「他人の間違いから学んで自己を高める」ことと、「他人の良い行動を手本にする」こと、一見どちらも大差ないように思えますが、何が問題なのでしょうか。「広辞苑」でのこの言葉の説明を読むとわかりやすいのでご紹介します。
「他山の石以て玉を攻むべし」
よその山から出た粗悪な石でも,自分の宝石を磨く役には立つという意味から)自分より劣っている人の言行も自分の知徳を磨く助けとすることができる。
出典:広辞苑
辞書によってはこんなにはっきりと、「自分より劣った人の言行」と記載しています。このイメージが強い人に、「先輩の失敗談を他山の石とさせていただきます」などと言ってしまったらどうなるでしょうか。相手が上司など目上の人だったら、「確かに失敗はしたけれど、お前に格下と認定される覚えはない!」と怒ってしまっても無理もありません。
「他山の石」を使う場合、会話している相手の言動を「他山の石とする」と言うよりは、その場にいない人の言動について使うほうが無難といえるでしょう。そうした視点で見ると、先ほどご紹介した2つの例文もまさに第三者を引き合いに出しているのが分かりますね。
「他山の石」の類義語は?違いは?
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他人の言動を自分の参考にするという意味の「他山の石」。パッと浮かびやすい類義語は「人の振り見て我が振り直せ」や、「反面教師」(悪い見本として学ぶべき人のこと)あたりでしょうか。ここでは、それ以外の類義語をご紹介します。
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