この記事では「光陰矢の如し」について解説する。「光陰矢の如し」は一見難しく見える言い回しですが、実は人の日常や感情にとても寄り添った言葉でもあって、とても使いやすいという一面もあるんです。元建築系企業社員、現言葉大好きライターのsasaiを呼んです。一緒に「光陰矢の如し」の意味や使い方、類義語などを見ていきます。

ライター/sasai

元会社員の現役フリーライター。言葉が好きで文章が好き。読むのも書くのも大好きで、海外小説からビジネス書まで何でも読む本の虫。こだわりをもって言葉の解説をしていく。

「光陰矢の如し」の意味とは?

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「光陰矢の如し」の意味は以下の通りです。

月日のたつのが早いたとえ。

出典:Weblo辞書「光陰矢の如し 意味」

「光陰矢の如し」は月日が過ぎる速さに対する言い回しの表現になります。単純に時間が過ぎる速さというよりも、年月が過ぎる速さを指し示すニュアンスが大きい言葉です。そのため、数時間程度の時間経過で「光陰矢の如し」を使用することはあまりありません。逆に、数年単位の時間経過に対してはまさに「光陰矢の如し」はピッタリな表現です。

「光陰矢の如し」の読み方

「光陰矢の如し」の読み方は、「こういんやのごとし」です。この言葉だけの特別な読み方というわけではなく、使用されている漢字の一般的な読み方であるため、覚えておくと「光陰矢の如し」以外の言葉を読むときにも活かせます。

「光陰」を「こういん」と読み、「如し」を「ごとし」と読むので覚えておきましょう。なお、場合によっては「如し」の部分はひらがなになっていることもあります。

「光陰矢の如し」の成り立ちって?

最初の「光陰」とはそのまま読むと光と影という意味ですが、これは単純に明るい暗いという意味ではなく、時間帯を表しています。「光」というのは明るい、つまり日中の太陽を示しているのです。対して「陰」という部分は暗くなる時間、つまり夜に出る月を意味しています。太陽と月は時間が経つと共にお互いに入れ替わり、この様子を「光陰」と表現しているのです。

そして「矢の如し」とは「矢のようだ」という意味ですが、これはただの矢ではありません。弓で引かれたような矢のことです。弓で引かれた矢は、とても速いスピードで飛んでいきます。つまりこの場合の「矢のようだ」とは、「弓で引かれた矢のように速い」という意味です。

これらをまとめると「光陰矢の如し」とは、「太陽と月が入れ替わるのは弓で引かれた矢のように速い」という意味になります。転じて、「年月が経つのは早い」ということになるのです。

\次のページで「「光陰矢の如し」の使い方と例文」を解説!/

「光陰矢の如し」の使い方と例文

「光陰矢の如し」の使用例は以下の通りです。

1.子供の時はそうでもなかったが、大人になると「光陰矢の如し」だ。
2.「光陰矢の如し」。時間がいくらでもあるなんて思ってはいけないよ。
3.もう年末だなんて、「光陰矢の如し」という他はない。

「光陰矢の如し」の部分を、「時間は矢のように早く過ぎる」と置き換えると意味が分かりやすくなります。

単語ではなく言い回しであるため、「光陰矢の如し」の後には1のような「だ/である」というような断定の表現。もしくは3のような「~~という」などの言葉が続く場合が多いです。2番のように、「光陰矢の如し」、とだけ言って文章が一度切れるというパターンも少なくありません。

「光陰矢の如し」の類義語とは?

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「光陰矢の如し」の類義語には、「歳月人を待たず」「月日に関守なし」などが挙げられます。「歳月人を待たず」は読んで字のごとくの意味です。「歳月」とは月日のことであり、「人を待たず」とは、「人の生きるペースより進みが早い」「時間が人間に合わせてくれることはない」という意味になります。

「月日に関守なし」も同様の意味です。「関守」は「せきもり」と読みます。「関」とは関門のことであり、「関守」とは関門を守る人。関門を通るものに対して通って良いかどうかの判断を下す人ですが、月日にはこの関守が居ない、と言っています。つまり、月日の進みは誰にも止めることができないということであり、転じて時間の進みの早さを示しているのです。

「光陰矢の如し」は類義語が少ない

「光陰矢の如し」はもののたとえであり、一言では言い表せない意味を持っています。そのため、類義語はそれほど多くはありません。世の中には類義語が多い言葉も無数にありますが、一般的に意味がシンプルで、一言で表せるような短い物であればあるほど類義語は多くなります。言い換えると「光陰矢の如し」のような長い意味を持つ言葉は、置き換えが難しいです。

\次のページで「外国語にもある?「光陰矢の如し」」を解説!/

外国語にもある?「光陰矢の如し」

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日本語での類義語が少ない「光陰矢の如し」ですが、外国語にも目を向けてみましょう。文化や言語が違っても、流れる時間の長さは国に関係なく平等です。そして、時間に対して人間が思うこともまた共通しています。

中国語ではこう!「光陰矢の如し」

中国語では「光陰矢の如し」の類義語と言うと「寸金难买寸光阴  」となります。これは時間が過ぎるのが早い、というのとは少々ニュアンスが異なり、時間の尊さを表している中国のことわざです。日本語に訳すると、「一寸の金をもってしても一寸の光陰を買うことはできない」という意味になります。

「光陰」とは月日のことであるため、転じて「お金を積んでも時間を買うことはできない」という意味です。失ってしまった時間はどのように手を尽くしてももう二度と取り返せないものである、と述べることで、時間の貴重さを強調しています。

英語ではこうなる「光陰矢の如し」

英語で「光陰矢の如し」の類義語と言うと、「Time flies」と言います。かなりシンプルかつ分かりやすい表現です。「flies」とは「fly」の三人称であるため、日本語に訳すと「時が飛ぶ」ということになります。文字通り、時間がまるで飛ぶように早く流れ去って行く、ということです。

ただ、「光陰矢の如し」の「矢」もそうですが、飛んで行ってしまったものは勝手に返ってくるなどということはありません。一度飛ぶともう二度と戻っては来ない、というイメージも日本語と共通しています。

人生はまさに「光陰矢の如し」

「光陰矢の如し」という言葉を知らなかったとしても、「光陰矢の如し」の意味が示す通り、時間がとても早く過ぎ去ってしまったという経験は多くの人がしているでしょう。もしも「自分はそんなことを感じたことがない」という人が居るのならば、それはとても幸せなことであり、ある意味では不幸なことでもあります。

時間がたっぷりある人は、時間がたっぷりあるという幸せの中にありつつも、それがどれほど得難いものなのかはわかりません。時間は失ってしまって、初めて貴重なものだったと気づくのです。

人生とは「光陰矢の如し」の言葉通り、振り返るとあっという間に進んでしまいます。振り返った時に、良い時間を過ごせたと胸を張って言えるようになりたいものですね。

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国語言葉の意味

皆が感じていること?「光陰矢の如し」の意味・使い方・類義語を言葉大好きライターがわかりやすく解説!

この記事では「光陰矢の如し」について解説する。「光陰矢の如し」は一見難しく見える言い回しですが、実は人の日常や感情にとても寄り添った言葉でもあって、とても使いやすいという一面もあるんです。元建築系企業社員、現言葉大好きライターのsasaiを呼んです。一緒に「光陰矢の如し」の意味や使い方、類義語などを見ていきます。

ライター/sasai

元会社員の現役フリーライター。言葉が好きで文章が好き。読むのも書くのも大好きで、海外小説からビジネス書まで何でも読む本の虫。こだわりをもって言葉の解説をしていく。

「光陰矢の如し」の意味とは?

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「光陰矢の如し」の意味は以下の通りです。

月日のたつのが早いたとえ。

出典:Weblo辞書「光陰矢の如し 意味」

「光陰矢の如し」は月日が過ぎる速さに対する言い回しの表現になります。単純に時間が過ぎる速さというよりも、年月が過ぎる速さを指し示すニュアンスが大きい言葉です。そのため、数時間程度の時間経過で「光陰矢の如し」を使用することはあまりありません。逆に、数年単位の時間経過に対してはまさに「光陰矢の如し」はピッタリな表現です。

「光陰矢の如し」の読み方

「光陰矢の如し」の読み方は、「こういんやのごとし」です。この言葉だけの特別な読み方というわけではなく、使用されている漢字の一般的な読み方であるため、覚えておくと「光陰矢の如し」以外の言葉を読むときにも活かせます。

「光陰」を「こういん」と読み、「如し」を「ごとし」と読むので覚えておきましょう。なお、場合によっては「如し」の部分はひらがなになっていることもあります。

「光陰矢の如し」の成り立ちって?

最初の「光陰」とはそのまま読むと光と影という意味ですが、これは単純に明るい暗いという意味ではなく、時間帯を表しています。「光」というのは明るい、つまり日中の太陽を示しているのです。対して「陰」という部分は暗くなる時間、つまり夜に出る月を意味しています。太陽と月は時間が経つと共にお互いに入れ替わり、この様子を「光陰」と表現しているのです。

そして「矢の如し」とは「矢のようだ」という意味ですが、これはただの矢ではありません。弓で引かれたような矢のことです。弓で引かれた矢は、とても速いスピードで飛んでいきます。つまりこの場合の「矢のようだ」とは、「弓で引かれた矢のように速い」という意味です。

これらをまとめると「光陰矢の如し」とは、「太陽と月が入れ替わるのは弓で引かれた矢のように速い」という意味になります。転じて、「年月が経つのは早い」ということになるのです。

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