同党はどうしてユダヤ人の存在に反発を感じてきたのでしょうか。ナチスドイツが表明したアーリア人至上主義の主張などを踏まえながら、ヘイト行動の背景を世界史に詳しいライターひこすけと一緒に解説していきます。
- そもそもユダヤ人とは何?
- ユダヤ人とは宗教的民族集団のこと
- ナチスはユダヤ人を「人種」と捉えた
- ユダヤ人迫害はキリストの死後から始まる
- もともとユダヤ教とキリスト教はルーツが同じ
- キリスト教のなかでユダヤ人は冒涜する存在
- ナチスドイツがユダヤ人を敵とした理由
- 第一次世界大戦後のドイツをひとつにまとめるため
- アーリア人を優れた人種と位置づけるため
- ドイツでユダヤバッシングが増加
- ドイツ大使館でユダヤ青年が書記官を射殺
- 水晶の夜事件にてユダヤ人が殺害
- ポーランド侵攻後、ユダヤ人を迫害する政策が加速
- ナチスはユダヤ人を「ゲットー」に隔離
- アウシュヴィッツなどの「絶滅収容所」が登場
- ドイツにおけるユダヤ人憎悪は今でも続く
この記事の目次
ライター/ひこすけ
アメリカ文化を専門とする元大学教員。反ユダヤ主義の高まりをうけてドイツの政府高官が、ユダヤ教徒は伝統的な帽子キッパを着用しないように発言したというニュースが流れた。このときナチスの過去が終わっていないことにショックを受けたのを覚えている。ユダヤ人に対する反発や憎悪はどこから来ているのか、関連する内容をまとめてみた。
そもそもユダヤ人とは何?
By deror_avi – Own work, CC BY-SA 3.0, Link
世界には、日本人、アメリカ人、中国人、フランス人など、いろいろな国民が存在します。ユダヤ人は、それらと同じように思えますが、実は必ずしもそうではありません。ユダヤ教を信仰する宗教集団と、その血統を引く子孫のことを、ユダヤ人と総称します。
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ユダヤ人とは宗教的民族集団のこと
ユダヤ人を英語にするとJew。ユダヤ教を信仰している宗教集団のことを指します。ユダヤ教の経典となるのが、タナハとミクラーと呼ばれる書物。キリスト教徒にとって「旧約聖書」にあたる書物です。ただし、成立するプロセスが異なるため、内容の順番などは「旧約聖書」とは異なるかたちになりました。
ユダヤ人は、聖典よりも行動や実践を重視している点がキリスト教徒と異なります。聖典を読んだり研究したりする、食事とトイレのあとに祈る、食物を清浄する、安息日をもうけるなどが該当。ユダヤ教に改宗する意志があっても、手続きに時間がかかることも特徴です。
ナチスはユダヤ人を「人種」と捉えた
歴史的にユダヤ人は宗教集団のことを意味しますが、ヒトラーが率いるナチスドイツはユダヤ人を人種と捉えて迫害しました。ヒトラーが関心を持っていたのが優生学。よい遺伝子を残すための研究をする学問のひとつです。それを根拠に、優性な民族はインド・
そこでヒトラーは、アーリア人が支配する国をつくるために、劣性民族であるユダヤ人を排除する政策を打ち出します。ナチスが考えるユダヤ人の基準はあいまい。欧州に純粋なユダヤ人はそれほど多くなく、ユダヤの血が半分、3分の1、4分の1というように、時期により変化しました。
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