フランクリンとウィルキンスって誰?DNAの構造解明に貢献した2人の科学者について現役講師が5分でわかりやすく解説!
この二人は20世紀を生きた科学者であり、DNAの構造を解明するのに大きな貢献をした人物です。しかしながら、教科書などには名前が紹介されていないこともある。彼らのはたらきを知れば、DNA研究の歴史をより深く理解できるようになるぞ。
大学で生物学を学び、現在は講師としても活動しているオノヅカユウに解説してもらおう。
ライター/小野塚ユウ
生物学を中心に幅広く講義をする理系現役講師。大学時代の長い研究生活で得た知識をもとに日々奮闘中。「楽しくわかりやすい科学の授業」が目標。
DNA研究の歴史
今回のテーマはDNAの研究に貢献した科学者ですので、まずはDNA研究の歴史を少しだけ見ておきましょう。皆さんご存じの通り、DNAは生命が遺伝情報を伝えるために利用している高分子化合物です。
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今は小学生でもDNAが重要なものであると知っている時代ですが…DNAの重要性が認められるようになったのは、実はここ100年ほどのこと。1869年にスイスのミーシャ―がDNAを発見しましたが、どんな意味のある物質なのか、その時代に正しく理解できた研究者はいませんでした。
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1900年にメンデルの法則が”再発見”され、遺伝という現象の解明に乗り出す科学者が続出しましたが、その当時は「遺伝情報(遺伝子)はタンパク質にある」と考える科学者がほとんどでした。1944年、アメリカのアベリーらが「遺伝情報はタンパク質ではなくDNAにある」と示唆する研究を発表すると、DNAへの注目度が急上昇。
その8年後の1952年なってようやく、「遺伝情報はDNAにある」ということが、アメリカのハーシーとチェイスの実験によって証明されました。
ハーシーとチェイスの実験が行われた翌年、1953年にワトソンとクリックという2人の科学者がある論文を発表しました。科学雑誌『Nature』に投稿された、わずか1ページほどのその論文こそ、「DNAは二重らせん構造をとっている」と述べた、歴史に残る研究成果だったのです。
ワトソンとクリック
DNAの二重らせん構造を提唱したワトソンとクリックとはどんな人物なのでしょう?
ジェームズ・ワトソンはアメリカ出身の生物学者。1928年に生まれですので、わずか24歳の時に革命的な発見をしたことになります。フランシス・クリックはイギリス出身の研究者であり、もともとは物理学を専門としていた科学者でした。二重らせん構造の提唱時、クリックもまだ若く、36歳という年齢だったのです。
若く野心に満ち溢れた彼らは、DNAへの注目が高まる中で、その構造を決定するための研究をしていました。しかしながら、彼らの研究はどちらかというと理論重視であり、その証拠やデータといったものが欠けていたといいます。
そんな彼らはあるとき、「DNAが二重らせん構造であるという証拠」となりうる、重要な写真を得ました。それが、DNAの繊維をX線で撮影した写真(X線回折写真)であり、それを撮影したのが今回の主役の一人であるフランクリンなのです。
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