この記事では「仲を取り持つ」について解説する。

端的に言えば仲を取り持つの意味は「二者の仲立ちをすること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「仲を取り持つ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「仲を取り持つ」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「仲を取り持つ」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「なかをとりもつ」です。

「仲を取り持つ」の意味は?

「仲を取り持つ」には、次のような意味があります。まずは国語辞典で正確な意味をチェックしたあと、さらに詳しい意味まで見ていきましょう。

1.二者の仲立ちをする。

出典:大辞林第三版(三省堂)「仲を取り持つ」

「仲を取り持つ」は二者の仲立ち(なかだち)をするという意味です。その「二者」とは、個人同士であったり団体同士であったり、または個人と団体ということもあります。

さらに「仲立ち」ということから、双方の間の関係をよくすること、つまり、仲介や媒介ということです。商人などが商行為で間に立つ場合にもよく使われます。

「仲を取り持つ」の語源は?

次に「仲を取り持つ」の語源を確認しておきましょう。

「仲を取り持つ」の「仲」とは、人と人との間に立って取り次ぐことを表しています。「取り持つ」のほうは、二者の関係がうまく運ぶように、引き合わせたり世話をしたりすることです。こういったことから、二者の関係について、現状よりもよくしていくという意味につながっています。

\次のページで「「仲を取り持つ」の使い方・例文」を解説!/

「仲を取り持つ」の使い方・例文

「仲を取り持つ」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.わたしたち二人の仲を取り持ってくれた恩人だけに、あなたのことは他人とは思えない。

2.交渉が決裂し代理者を立てての調停となったが、公平な立場から仲を取り持ってもらうと、かえってわだかまりが解消し良好な関係に戻ることができた。

3.会社の組織間の仲を取り持つパイプ役を任されたので、両者の争いがなくなり、それぞれが機能するように働きかける必要がある。

いずれの例文でも、「仲を取り持つ」がなんらかの二者の関係をよくしていくような行動として使われています。例文1.は、二人の個人において、間に入った人が二人の距離を縮めてくれたことについて感謝しているようすが書かれている文です。

例文の2.では、もともと交渉がまとまらない状況から、公平な立場の人による仲裁で関係がよくなったということを表しています。最後の例文は、組織間の関係を良好にすることを目的に、取り持ち役を担うことになったという内容の文です。

「仲を取り持つ」の類義語は?違いは?

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それでは、「仲を取り持つ」の類義語についての説明です。「仲を取り持つ」と似た意味を持つ慣用句などの表現について、一緒に見ていきましょう。

「橋渡し」

「仲を取り持つ」の類義語には、「橋渡し(はしわたし)」があります。意味は、両者の間に入って関係をよくすること、また、その人のことです。行き来ができなかったところに橋を掛けるということから、両者の仲立ちをする意味合いにつながっています。

「橋渡し」は、「橋渡しをする」「橋を渡す」「橋を掛ける」などとしても同じ意味で使うことができますよ。国と国のつながりを強めたりするときのように、規模が大きい話の場合にも使われる表現です。

\次のページで「「間へ入る」」を解説!/

「間へ入る」

もう一つの類義語には、「間へ入る(あいだへはいる)」があります。両者の中間に立つことや両者を取り持つことという意味です。一方ともう一方の間に入るということから、間に立って両者の関係をよくしようとするという意味合いにもつながっています。

なお、間へ入るということは仲を取り持とうとする段階のことであり、その結果どうなるかはわかりません。しかし、「間へ入る」という表現を使う場合は、上手くいくだろうという期待を持って使われることが多くなっています。

「仲を取り持つ」の対義語は?

次に、「仲を取り持つ」の対義語についての説明です。「仲を取り持つ」の反対の意味として、仲を裂くような意味合いの表現について一緒に詳しく見ていきましょう。

「離間」

「仲を取り持つ」の対義語には、「離間(りかん)」があります。「離間する」ということもあり、意味は仲たがいをさせることや互いの仲を裂くことです。二者の間を離すということから、もとの状態よりも関係を薄くさせたり、仲を悪くさせるようなことをするという意味合いにつながっています。

一般的な表現としても使いますが、『三国志演義(さんごくしえんぎ)』には「離間計(りかんのけい)」として度々登場する作戦として有名です。周囲の敵同士を仲たがいさせるために行うさまざまな工作のことを表しています。

「生木を裂く」

もう一つの対義語には、「生木を裂く(なまきをさく)」があります。相愛の男女を無理に別れさせるという意味です。枯れている木より割れにくい生木をあえて引き裂くこと、地面に根付いている木を裂くということなどがもとの意味合いになっています。

また、人の心が乾いているのではなく、水分があり十分に愛情があるようすを「生木」に例えることもできますよ。そう考えると、強い愛情で結ばれた男女を引き裂くという意味につながります。

「仲を取り持つ」の英訳は?

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最後に、「仲を取り持つ」の英訳についての説明です。キーワードとなる英単語を使った英語表現について、詳しく見ていきましょう。

「arbitrate」

「仲を取り持つ」の英訳には「arbitrate」があり、意味は「仲裁する」です。対象を表現する場合は、「between」を使って「She arbitrated between them.(彼女は彼らを仲裁した)」となります。

その他、仲直りさせるという意味の「reconcile」があり、日常生活などのやや一般的な場面で使える単語です。ただ、「be reconciled」と受け身の形で「仲直りさせられる」、つまり「仲直りする」として使うことが多くなっていますよ。

\次のページで「「仲を取り持つ」を使いこなそう」を解説!/

「仲を取り持つ」を使いこなそう

今回の記事では「仲を取り持つ」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「仲を取り持つ」の基本の意味は、二者の仲立ちをするということです。もとの二者については、個人同士のことも団体同士のこともあり、また、そのときの関係がどうであるかに関わらず使えるような幅広い表現になっています。

" /> 【慣用句】「仲を取り持つ」の意味や使い方は?例文や類語などを現役塾講師がわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

【慣用句】「仲を取り持つ」の意味や使い方は?例文や類語などを現役塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「仲を取り持つ」について解説する。

端的に言えば仲を取り持つの意味は「二者の仲立ちをすること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「仲を取り持つ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「仲を取り持つ」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「仲を取り持つ」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「なかをとりもつ」です。

「仲を取り持つ」の意味は?

「仲を取り持つ」には、次のような意味があります。まずは国語辞典で正確な意味をチェックしたあと、さらに詳しい意味まで見ていきましょう。

1.二者の仲立ちをする。

出典:大辞林第三版(三省堂)「仲を取り持つ」

「仲を取り持つ」は二者の仲立ち(なかだち)をするという意味です。その「二者」とは、個人同士であったり団体同士であったり、または個人と団体ということもあります。

さらに「仲立ち」ということから、双方の間の関係をよくすること、つまり、仲介や媒介ということです。商人などが商行為で間に立つ場合にもよく使われます。

「仲を取り持つ」の語源は?

次に「仲を取り持つ」の語源を確認しておきましょう。

「仲を取り持つ」の「仲」とは、人と人との間に立って取り次ぐことを表しています。「取り持つ」のほうは、二者の関係がうまく運ぶように、引き合わせたり世話をしたりすることです。こういったことから、二者の関係について、現状よりもよくしていくという意味につながっています。

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