
「犬が西向きゃ尾は東」の対義語は?
では、「犬が西向きゃ尾は東」の対義語は何でしょうか。
「滅茶苦茶」
「犬が西向きゃ尾は東」が「当たり前のこと」という意味なのは説明しましたよね。なので、当たり前ではないということが対義語の意味となります。ならば、それは「滅茶苦茶」(めちゃくちゃ)しかありません。
「滅茶苦茶」とは、「普通ではないこと、混乱している様子」を表した言葉です。「目茶苦茶」とも書きます。では、お茶が関係しているのかというと、そうとは言い切れません。たとえば「無茶苦茶なことをする」の「無茶」(むちゃ)はお茶を出さない、「苦茶」(くちゃ)は苦いお茶を出す、合わせて「度を越したことをする」なんて記事も見受けられました。「滅茶」も「お茶を滅する」、つまり「お茶がない」ことを表しているのだ、ということです。しかし、それでは「目茶」という漢字になっている理由が分かりません。なので、仏教用語の「無作」(むさ、自然のままの意)が由来で、これがなまって「無茶」や「滅茶、目茶」となったという説の方が有力ではないでしょうか。実際に、辞書によっては「滅茶苦茶は当て字」という記述があります。
「When the crow flies her tail follows.」
「When the crow flies her tail follows.」は、直訳すると「カラスが飛ぶと尻尾が後ろから追いかける」です。これが和訳では「犬が西向きゃ尾は東」という慣用句が当てられます。確かにどちらも当たり前のことですよね。
「crow」(カラス)が入った英語の慣用句といえば、「as the crow flies」が外せません。直訳は「カラスが飛ぶように」ですが、和訳は「一直線に、直線距離で」です。なぜカラスなのかは、一説によると、カラスがエサなどの目的物に向かって真っすぐ飛ぶ習性からきています。
「犬が西向きゃ尾は東」を使いこなそう
この記事では「犬が西向きゃ尾は東」の意味・使い方・類語などを説明しました。
「人に嘘はつかない」「交通ルールは守る」「伝染病をうつさないようにマスクをする」、これらは「犬が西向きゃ尾は東」というくらい当たり前のことですよね。ところがそんな当たり前のことすらも守れない人が増えている印象です。当たり前が当たり前ではなくなっています。世の中が変われば当たり前のことも変わっていくのかもしれません。
しかし、人が生きていくうえで変わらずに当たり前のことはあるはずです。「人は生まれていつかは死ぬ」「人には迷惑をかけない」「赤ちゃんはかわいい」、すべて当たり前で今後も変わらないでしょう。ひょっとしたら将来に方角の呼び方が東西南北でなくなり、品種改良で頭から尻尾が生えている犬ができるかもしれません。でもそれまでは「犬が西向きゃ尾は東」が当たり前であり続けます。当たり前のことを当たり前に行うことは尊いのです。