今回は「正電荷」と「負電荷」について解説していきます。

正電荷および負電荷について理解をしておくことは、化学や物理学を勉強する上で、必須事項だと言える。もし、これらの違いなどが曖昧にしか理解できていないのであれば、もう一度学びなおすことを強く勧めるぞ。この記事では、具体例を多く紹介し、直感的に理解ができるように工夫した。ぜひ、この機会に、正電荷および負電荷について理解を深めてくれ。

化学に詳しいライター通りすがりのペンギン船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。環境工学、エネルギー工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。資源材料学、環境化学工学、バイオマスエネルギーなども勉強中。

原子の構造について詳しく解説!

今回は、化学の視点で正電荷と負電荷について学んでいきましょう正電荷と負電荷について理解するためには、あらゆる物質を構成している原子の構造について学ぶ必要があります。ですから、この記事では最初に原子の構造について解説しますね

原子の中心部分には、原子核と呼ばれる粒子の集合体が存在し、その周りを複数の電子という粒子が飛び回っています。以下では、原子核を構成する粒子や電子についての詳しい説明を行いますね。

陽子とは?

陽子とは?

image by Study-Z編集部

原子核に含まれる粒子の1つに陽子があります陽子はプラスの電気を帯びている正電荷となっていますよこの陽子の数によって、原子核の種類は決まります。水素原子に含まれる陽子は1つ、ヘリウム原子に含まれる陽子は2つといった具合です。つまり、原子番号が原子核に含まれる陽子の数に対応しているのですね

一般的に、正電荷同士には反発しあうような力が作用するとされています。ですが、原子核の中では複数の陽子が近距離で安定的に集合しているのです。このような現象が生じる理由は、原子核内では核力という力がはたらき、反発しようとする陽子同士を、押さえつけているからですよ。ちなみに、この核力が、原子力発電や核兵器が使用するエネルギーの源になっています。

中性子とは?

中性子とは?

image by Study-Z編集部

原子核に含まれる粒子は2種類です1つは陽子であり、もう1つが中性子ですよ。中性子は、プラスの電気もマイナスの電気も帯びていない粒子です。この中性子の数によって、原子核の安定度が決まると考えられていますよ

また、原子核に含まれる陽子と中性子の総数のことを質量数と呼びます。つまり、質量数から原子番号を引き算した値が、中性子の数になるということです。そして、原子番号が同じであっても、質量数が違う原子同士のことを同位体と呼びますよ。

\次のページで「電子とは?」を解説!/

電子とは?

電子とは?

image by Study-Z編集部

電子は原子核の周りを飛び回っている荷電粒子で、マイマスの電気を帯びています。電子は負に帯電しているので、正に帯電した陽子との間に引き合うような力が作用していますよ。この力によって、電子は原子核に引き付けられるので、電子は原子核の周りに存在し続けることができるのです

ただし、このような電子を引き付ける力は、先ほど説明した核力と比べるとはるかに小さいものとなります。そのため、外部からエネルギーを加えると、簡単に原子核から電子を引き離すこともできますよ。また、電子は電流の担い手になることが知られており、電磁気学といった物理学の分野でも考察がなされています

電荷が関連する現象

原子の構造を学んだことで、正電荷の代表例である陽子と負電荷の代表例である電子について知ることができました。これで、正電荷と負電荷の違いや性質がある程度理解できたかとおもいます。 ここからは、複数の電荷が関連する現象について紹介をしていきますよ。電荷が関連する現象について知ることで、電荷の性質についてより深く理解できるかと思います。先ほど説明した内容も頭に入れながら、以下の記事を読み進めてみてくださいね。

静電気のメカニズム

image by iStockphoto

皆さんの中にも、ビニールの下敷きで髪の毛を擦ったあとに、ゆっくり下敷きを頭から離すという実験をした経験があるという方がおられるかと思います。この実験を行うと、髪の毛同士が反発し合いますよね。それはなぜでしょうか。

この現象が生じる理由は、電荷の移動を用いて説明することができますよ。下敷きで髪の毛を擦ると、髪の毛を構成する原子や分子に含まれる電子の一部が、下敷きへと移動します。これによって、髪の毛の電子数は減り、髪の毛全体にはプラスの電気が帯電することになるのですプラスの電気同士は反発しあうので、髪の毛も反発し合うということになるのですね

このように摩擦によって電荷のバランスが正または負に偏り、その電荷(電気)が静止している状態であることを、静電気を帯びていると表現します。ですが、電荷のバランスが偏っている状態は決して安定的であるとは言えません。電荷のバランスが偏っているもの同士が接触すると、その偏りをなくすように電荷は移動します。冬の乾燥した時期に、金属のドアノブを触り、手に向かってバチッと電気が流れるという現象がまさにこれです。

電流の正体

image by iStockphoto

電気回路に流れる電流の正体は電子です。電気をよく通す導体である金属には、自由電子という特殊な条件を満たした電子が含まれています。自由電子は、ほかの電子とは異なり、原子核による束縛が小さくなっているのです

それゆえ、金属導線の中に電場(荷電粒子を動かす力)を形成すると、自由電子が次々と流れていきます。これが、電流の正体なのです。電場は、電池などの電源によって作り出されますよ。身近な存在である家電製品などが消費する電流は、このようなメカニズムで、発電所から各家庭のコンセントまで送られてくるのですね。

また、電流の向きと電子の流れの向きは逆向きであることが知られています。その理由は、電荷の流れを正確に分析する方法がない時代に、電流の正体は正電荷だと考えられていたからです。しかし、その後、電流の正体は電子であることが判明しました。このような勘違いによって、先ほどの理論が生まれました。ちなみに、プラス極からマイマス極に流れる電流(正電荷)とマイナス極からプラス極に流れる電子は電気的に等価です。

\次のページで「化学結合の仕組み」を解説!/

化学結合の仕組み

image by iStockphoto

原子が複数結合することで、分子やイオン結晶になることは広く知られています。実は、この原子間の化学結合にも電荷が関与しているのです化学結合が生じるとき、原子核の周りに存在する電子が移動します。このように電子が移動するということは、共有結合、イオン結合、金属結合のすべてにおいて当てはまりますよ。

複数の原子が集まるとき、各原子核の周りに存在する電子は、原子間の垣根を越えて移動するのです。これによって、電子がより安定的に存在できるようになります安定的な電子は、強固な結合を作り出すのですね。また、化学反応で反応物から生成物が作り出される場合には、すでに形成された結合を切り離し、新しい結合を作り出します。そのためには、強固な結合を切り離すためのエネルギーが必要です。そのため、化学反応を促進するために、加熱をするといった処理が必要になるのですね。

正電荷と負電荷について学ぶ意義

化学や物理学について勉強をするとき、正電荷と負電荷の知識は必ず必要になります。ですから、サイエンス全般に興味のある方は、正電荷と負電荷について学んでおいて損はありません。もちろん、そのような方以外でも、雑学として知っておくとよいと思います。

この記事では、複数の具体例を挙げて、正電荷と負電荷についての解説をしていますよ。ぜひこの機会に、正電荷と負電荷について学んでみてください。

" /> 3分で簡単正電荷と負電荷!両者の違いは?理系学生ライターが徹底わかりやすく解説 – Study-Z
化学物質の状態・構成・変化理科

3分で簡単正電荷と負電荷!両者の違いは?理系学生ライターが徹底わかりやすく解説

今回は「正電荷」と「負電荷」について解説していきます。

正電荷および負電荷について理解をしておくことは、化学や物理学を勉強する上で、必須事項だと言える。もし、これらの違いなどが曖昧にしか理解できていないのであれば、もう一度学びなおすことを強く勧めるぞ。この記事では、具体例を多く紹介し、直感的に理解ができるように工夫した。ぜひ、この機会に、正電荷および負電荷について理解を深めてくれ。

化学に詳しいライター通りすがりのペンギン船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。環境工学、エネルギー工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。資源材料学、環境化学工学、バイオマスエネルギーなども勉強中。

原子の構造について詳しく解説!

今回は、化学の視点で正電荷と負電荷について学んでいきましょう正電荷と負電荷について理解するためには、あらゆる物質を構成している原子の構造について学ぶ必要があります。ですから、この記事では最初に原子の構造について解説しますね

原子の中心部分には、原子核と呼ばれる粒子の集合体が存在し、その周りを複数の電子という粒子が飛び回っています。以下では、原子核を構成する粒子や電子についての詳しい説明を行いますね。

陽子とは?

陽子とは?

image by Study-Z編集部

原子核に含まれる粒子の1つに陽子があります陽子はプラスの電気を帯びている正電荷となっていますよこの陽子の数によって、原子核の種類は決まります。水素原子に含まれる陽子は1つ、ヘリウム原子に含まれる陽子は2つといった具合です。つまり、原子番号が原子核に含まれる陽子の数に対応しているのですね

一般的に、正電荷同士には反発しあうような力が作用するとされています。ですが、原子核の中では複数の陽子が近距離で安定的に集合しているのです。このような現象が生じる理由は、原子核内では核力という力がはたらき、反発しようとする陽子同士を、押さえつけているからですよ。ちなみに、この核力が、原子力発電や核兵器が使用するエネルギーの源になっています。

中性子とは?

中性子とは?

image by Study-Z編集部

原子核に含まれる粒子は2種類です1つは陽子であり、もう1つが中性子ですよ。中性子は、プラスの電気もマイナスの電気も帯びていない粒子です。この中性子の数によって、原子核の安定度が決まると考えられていますよ

また、原子核に含まれる陽子と中性子の総数のことを質量数と呼びます。つまり、質量数から原子番号を引き算した値が、中性子の数になるということです。そして、原子番号が同じであっても、質量数が違う原子同士のことを同位体と呼びますよ。

\次のページで「電子とは?」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: