
3分で簡単「活性化状態」具体例を交えて理系学生ライターが徹底わかりやすく解説!
活性化状態とは、化学反応が進行する過程でみられる現象の一つです。活性化状態という概念を理解することで、化学反応のメカニズム、反応速度、触媒などの理論もスムーズに学習することができるはずです。それゆえ、反応速度論について学びたいならば、ぜひとも知っておきたい概念だと言える。ぜひ、この機会に活性化状態についての理解を深めてくれ。
化学に詳しいライター通りすがりのペンギン船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長
現役理系大学生。環境工学、エネルギー工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。資源材料学、環境化学工学、バイオマスエネルギーなども勉強中。
化学反応の仕組みについて理解しよう

image by iStockphoto
この記事のメインテーマは活性化状態です。活性化状態とは、化学反応のメカニズムを語る上で、必要用不可欠な概念ですよ。ですから、活性化状態について理解を深めるためには、化学反応の仕組みについても同時に学習しなければなりません。このようなことを考慮して、記事の前半では化学反応の仕組みを説明し、後半では本題である活性化状態について説明します。
ここでは、水素分子とヨウ素分子からヨウ化水素が生成される反応を例にとって、化学反応の仕組みについて解説しますね。活性化状態について学ぶ際に、必要となる用語や名称等が登場するので、注意深く読んでみてください。それでは、早速解説をはじめていきますね。
原子や分子の運動

image by Study-Z編集部
まずは、気体の水素分子とヨウ素分子を容器内に封入します。封入直後は、反応が進んでいないので、両者は別々に存在しているのです。このとき、気体状態にある水素分子とヨウ素分子が、容器中を縦横無尽に飛び回っています。
このように、分子や原子が飛び回っている現象のことを、熱運動といいますよ。また、気体の温度が上昇すると、熱運動が激しくなります。これに伴い、分子や原子のもつ運動エネルギーは大きくなりますよ。
こちらの記事もおすすめ

3分で簡単「静電気 アース」なぜ静電気除去パットで除電しても痛くない?理系ライターがわかりやすく解説!
反応物の衝突と一体化

image by Study-Z編集部
気体の水素分子とヨウ素分子を容器に封入してから時間が経過すると、水素分子とヨウ素分子の反応がはじまります。反応がはじまるためには、容器内を飛び回っている水素分子とヨウ素分子が衝突し、一体化する必要があるのです。
水素分子とヨウ素分子の衝突は偶然に生じます。さらに、これらの分子が衝突した後、両者が結合した状態となり一体化することがありますよ。このように一体化するためには、反応熱とは関連のない、余分なエネルギーが必要になることが知られています。反応熱は、熱化学方程式に表記されるエネルギーですよね。
水素分子とヨウ素分子が反応するときに、各分子がこのような状態になる訳ではないのです。2つ以上の分子が一体化する現象は、活性化状態について考える際にも非常に重要になるので、覚えておきましょう。
生成物の完成

image by Study-Z編集部
水素分子とヨウ素分子が一体化すると、その後に、生成物のヨウ化水素が生じます。このとき、一体化した分子が、再度2つの分子にわかれますよ。ですが、先ほどとは違い、水素分子とヨウ素原子が1つずつ含まれた分子が2つ生じます。この分子がヨウ化水素なのです。
水素分子とヨウ素分子からヨウ化水素が生じる反応は、H2+I2→2HIという単純な化学反応式で表現されます。ですが、実際には何段階にもわたる複雑な現象を経て、反応が進むのです。以上が、化学反応のメカニズムの簡潔な説明ですよ。
\次のページで「活性化状態について学ぼう!」を解説!/