この記事でもヒトの体のことについて学んでいきます。内分泌腺についてです。意識していなくても、我々の体は「恒常性」を保っている。体温が上昇すれば体温を冷やすように汗が出るし、食後血糖値が上昇したら血糖値を下げるようにインスリンが分泌される。このように、体の状態を調整してくれるのをホルモンと言うが、これらを分泌するのが内分泌腺です。内分泌腺について医学系研究アシスタントのライターmimosa(ミモザ)と一緒に解説していきます。

ライター/mimosa

もともと文系出身で、独学で生物学、生化学を勉強し、現在医学系研究所の研究アシスタントとして理系の世界へ飛び込んだ。理科が苦手な方へも興味を持ってもらうべくわかりやすい説明を心掛けている。

1.ヒトの生命維持のための体の働き

内分泌腺について話を進める前に、「恒常性」と「内分泌系」について確認しておきましょうね。

恒常性とは

image by iStockphoto

内分泌腺について説明する前に、「恒常性」についてお話しますね。「恒常性」とはホメオスタシスとも言われていて、体内環境を一定に保つことです。恒常性には、腎臓、肝臓、循環系などの多くの器官が関係していますよ。また、自律神経系や内分泌系による調節を受けますよ。

「恒常性」のことについて詳しくは「組織液、リンパ液」の記事をご参照くださいね。

\次のページで「内分泌系とは」を解説!/

内分泌系とは

内分泌系とは、ホルモンを分泌する器官である内分泌腺や細胞の集まりのことを言うのですよ。また、内分泌系は内分泌液(ホルモン)を製造する器官(内分泌器)とそれを受け取る細胞があるだけで血管以外では接続されていません。内分泌器の共通の特徴としては、ホルモンを分泌する細胞が存在すること器官内に血管(特に毛細血管)が発達していること(分泌したホルモンは血液中に溶けだして全身を回るため)また、ホルモンの分泌量をその時の体に合わせた量に調節するので、その器官も別のホルモンの作用を受けることが挙げられますよ。化学物質であるホルモンは血流にのって血管網の中をゆっくり移動し、効果は長時間持続しますよ。

ちなみに、内分泌腺はもともとはヒトの胚の発生の段階では上皮だったのですよ。それが陥入してできたものなので、排出管はありません。ホルモンは直接体液中に分泌されますよ。

詳しくは「内分泌系」の記事をご参照くださいね。

2.ホルモンの調節について

image by iStockphoto

ホルモンとは、からだの特定の部位でつくられて体液中に分泌され、からだの他の部位に運ばれ、特定の組織や器官の活動に影響を与える化学物質なのです。ホルモンは内分泌腺でつくられて、直接体液中に分泌されますよ。さらに、ホルモンはタンパク質系とステロイド系に分類されますよ。ホルモンの特徴を5つおさえておきましょうね。

1.内分泌腺でつくられ、直接体液中に出る。

2.ごく微量で強いはたらきをする。

3.作用は即効的。神経と比べれば遅く、効果は神経よりも持続する。

4.特定の器官や細胞にのみはたらく。

5.脊椎動物の場合、動物の種が違っても、化学構造がよく似ており、同じような効果を持つ。→種特異性がない。

視床下部と脳下垂体

視床下部と脳下垂体

image by Study-Z編集部

多くのホルモンは、その分泌が脳によって調整されていますよ。その時に中心となるのが視床下部脳下垂体です。刺激が間脳に伝わると、視床下部の神経分泌細胞が刺激され、その細胞体で作られたホルモンが軸索の中を通って運ばれて末端から分泌されますよ。

脳下垂体は、頭蓋(ずがい)骨のほぼ中心にあり、額の奥(おく)約7cmのところにある小指の先ほどの小さな器官で、下垂体ともいいます。脳下垂体を大きく分けると、脳下垂体前葉(ぜんよう)と脳下垂体後葉(こうよう)の2つに分かれていますよ。

\次のページで「3.内分泌腺とホルモン」を解説!/

3.内分泌腺とホルモン

3.内分泌腺とホルモン

image by Study-Z編集部

表は、代表的な内分泌腺とそこでつくられるホルモンをまとめていますよ。表のように、内分泌腺は視床下部、脳下垂体、甲状腺、副甲状腺、副腎、生殖腺(精巣、卵巣)、膵臓のランゲルハンス島(膵島)、松果体(左右大脳半球の間にある卵形の小体。内分泌器官の一つで視床の上部)がありますよ。表の松果体から分泌されるメラトニンは、最近では睡眠サプリでよく聞かれるホルモンですね。自然な眠りを促しますよ。あとは、「膵臓」の記事でも触れましたが、膵臓からは血糖値を上げるグルカゴン、血糖値を下げるインスリンというホルモンが分泌されていますね。血糖は、血中のブドウ糖のことですね。女性特有のホルモンは、ろ胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)がありますよ。月経周期はこの2つのホルモンのバランスによって決まっていますよ。

ホルモンのフィードバック調節

ホルモンのフィードバック調節

image by Study-Z編集部

ホルモンは微量でその作用を発揮します。状況によって、体内や体外の環境の変動によってその分泌量を調整しなければなりません。ホルモンにはフィードバック調節というものがありますよ。フィードバックには、内分泌腺から分泌されたホルモンは臓器に作用しますが、最初の分泌の指令を出した視床下部等にもどって(フィードバックされて)内分泌腺からのホルモンを抑制(負のフィードバック)したり、ホルモンの分泌を促成したりしますよ。例えば甲状腺から分泌されるチロキシンは負のフィードバックの働きをしますよ。正のフィードバックでは、生命物質の代謝や合成の産物(生成物)の蓄積増加に貢献していますよ。

特に負のフィードバックは、システムの恒常性を保つメカニズムとして重要ですね。

脳下垂体前葉と内分泌腺

まず、脳下垂体前葉と副腎皮質について見ていきましょうね。副腎は皮質と髄質に分けられますが、脳下垂体の支配を受けるのは皮質の方ですよ。副腎皮質からは、タンパク質からの糖の精製を促進し血糖濃度を高める作用のある糖質コルチコイドが分泌されますよ。次に生殖腺について説明しますね。脳下垂体前葉からは2種類の生殖刺激ホルモンが分泌され、これが生殖腺を刺激すると、精巣からは雄性ホルモン、卵巣からはろ胞ホルモンと黄体ホルモンが分泌されますよ。さらに前葉からは、黄体刺激ホルモンも分泌され、出産後乳腺に働きかけて乳汁の分泌促進などに働くのですよ。

からだのあらゆるところに存在しているホルモンを分泌する内分泌腺

私たちのからだの恒常性を保つためにホルモンが分泌されていて、そのホルモンは内分泌腺から分泌されていますよ。それらが特定の組織や器官に放出され、体内の諸活動を制御し影響を与えます。内分泌腺には脳下垂体、甲状腺、副甲状腺、副腎、すい臓(ランゲルハンス島)、卵巣、精巣などがありましたね。どのホルモンがどの器官に作用するかは決まっていますよ。医療関係者はもちろん、医療関係者でなくても内分泌系について豊富な知識があると、いつまでも健康的な生活を送るために意識して生活するのではないでしょうか。内分泌腺とホルモンについて学習したら、今度は神経伝達物質について学習してみても良いかもしれませんね。

" /> 3分で簡単「内分泌腺」重要なホルモンを分泌する器官について医学系研究アシスタントがわかりやすく解説 – Study-Z
体の仕組み・器官理科生物

3分で簡単「内分泌腺」重要なホルモンを分泌する器官について医学系研究アシスタントがわかりやすく解説

この記事でもヒトの体のことについて学んでいきます。内分泌腺についてです。意識していなくても、我々の体は「恒常性」を保っている。体温が上昇すれば体温を冷やすように汗が出るし、食後血糖値が上昇したら血糖値を下げるようにインスリンが分泌される。このように、体の状態を調整してくれるのをホルモンと言うが、これらを分泌するのが内分泌腺です。内分泌腺について医学系研究アシスタントのライターmimosa(ミモザ)と一緒に解説していきます。

ライター/mimosa

もともと文系出身で、独学で生物学、生化学を勉強し、現在医学系研究所の研究アシスタントとして理系の世界へ飛び込んだ。理科が苦手な方へも興味を持ってもらうべくわかりやすい説明を心掛けている。

1.ヒトの生命維持のための体の働き

内分泌腺について話を進める前に、「恒常性」と「内分泌系」について確認しておきましょうね。

恒常性とは

image by iStockphoto

内分泌腺について説明する前に、「恒常性」についてお話しますね。「恒常性」とはホメオスタシスとも言われていて、体内環境を一定に保つことです。恒常性には、腎臓、肝臓、循環系などの多くの器官が関係していますよ。また、自律神経系や内分泌系による調節を受けますよ。

「恒常性」のことについて詳しくは「組織液、リンパ液」の記事をご参照くださいね。

\次のページで「内分泌系とは」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: