この記事では「掌中の珠」について解説する。

端的に言えば「掌中の珠」の意味は「手の中の珠・最も大切にしているもの・特に最愛の子」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好き・英語好き・読書好きなライターくふを呼んです。一緒に「掌中の珠」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/くふ

語学好き・英語好き・読書好きなライター。学習塾での経験を活かし分かりやすく丁寧な解説をお届けする。

「掌中の珠」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「掌中の珠」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「掌中の珠」の意味は?

「掌中の珠」には、次のような意味があります。辞典などで正確な内容をチェックしましょう。

1.手の中の珠。最も大切にしているもの。特に最愛の子。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「掌中の珠」

「掌中の珠」とは「とても大事にしているものごとのたとえ。愛する子どもや家族」の意。読み方は「しょうちゅうのたま」です。掌中とは、「手のひらの中」のこと。「珠」は「真珠・宝石」を意味していますよ。あなたは真珠にどんなイメージを持っていますか。「純白でぷっくりとしたかわいらしく・美しい様子」。このような真珠の特徴から「自分の持っている大事なもの。真珠のように美しくかわいい愛する家族や子」を示しているのです。

漢字では「掌中之珠」と書きますよ。故事成語や四字熟語として使われることもあるのですね。知識として身につけておきましょう。

「掌中の珠」の語源は?

次に「掌中の珠」の語源を確認しておきましょう。「掌中の珠」は中国の文学者である「傳玄(ふげん)」の詩「短歌行(たんかこう)」に由来すると言われていますよ。「昔、君、我を視ること掌中の珠の如し、何の意か一朝にして我を溝渠に棄つるや」=「昔は大事な子どものように慕ってくれていたのに今は溝に捨てるようにどうして見放すのでしょうか」。

このように文章の中に「掌中の珠」が登場し「宝石のように溺愛していた様子」が描かれていますね。歴史の感じられる素敵な言葉だと言えるのではないでしょうか。

\次のページで「「掌中の珠」の使い方・例文」を解説!/

「掌中の珠」の使い方・例文

「掌中の珠」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この用語は、たとえば以下のように用いられます。

1.彼は男手一つで掌中の珠のように娘を育てた。娘は第一志望の大学に合格し教育学部で日々勉強している。

2.私にとって家族は掌中の珠だ。大切な妻と8人の子どもを養うために平日は洋服店でスーツの販売員をし、土曜日は弁当屋さんで働いている。

3.彼は福島県の地震で被災し掌中の珠である妻を失った。彼は悲しみに暮れていたが、妻と営んでいた食堂を再開した。海鮮を使った新しい定食のメニュー開発に力を入れている。

例文1では、「父が愛しい娘を大切に育てている場面」が想像できるでしょう。きっと、かけがえのない存在なのでしょう。例文2は、「家族が自分の宝物であり、愛する家族のために仕事に励んでいる様子」が伺えますよね。例文3では、「愛する妻を失った悲しみ」が感じられるでしょう。

どの例文も掌中の珠は「最愛の子ども・愛する家族」を示していますよね。このように、「掌中の珠」となる対象は「いつまでも大切にしたい特別な人」=「自分の子や妻という親密な関係にある人」を指すことが多いでしょう。あなたにとってかけがえのない大切な人は誰でしょうか。時にはけんかもするでしょう。今日は日ごろの感謝の気持ちを伝えてみませんか。

「掌中の珠」の類義語は?

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「掌中の珠」の類義語にはどのような言葉があるのでしょうか。関連する慣用句を確認しましょう。

「目に入れても痛くない」

「掌中の珠」の類義語には「目に入れても痛くない」が考えられるでしょう。「目に入れても痛くない」とは「かわいくてたまらない様子・子どもや孫を溺愛すること」の意。

目にまつ毛やゴミが入り痛くて涙がポロリ。こんな経験はありませんか。「目に入れても痛くない」とは「敏感な目に何か異物が入っても痛さは感じないほどかわいくて仕方がないさま」を表した慣用句なのです。例文1では、「孫を溺愛している場面」が伝わってきますよね。「掌中の珠」と同じ意味で使われています。また、例文2のように「ペットのような動物にも使うこと」がポイントですね。ペットも大切な家族の一員なのでしょう。

\次のページで「「掌中の珠」の対義語は?」を解説!/

1.両親は孫ができたことが嬉しかったようで、目に入れても痛くないほどかわいがっている。

2.ショッピングセンターに新しくペット専門店がオープンした。生まれて間もない子猫と目が合い飼うことにした。実際飼い始めるととてもかわいく目に入れても痛くない。

「掌中の珠」の対義語は?

「掌中の珠」は「最も大切にしている人・最愛の子ども」の意味でしたね。ここでは「子どもをかわいがるだけでなく厳しく育てる」という意味の言葉を解説しますね。

「可愛い子には旅をさせよ」

「掌中の珠」は「愛しいわが子・最愛の子ども」という意味でしたね。子どもに対して「かわいがるだけではなく世の中の厳しさ・辛さを経験させて育てる」という点から対義語として「可愛い子には旅をさせよ」をご紹介しますね。

「可愛い子には旅をさせよ」とは、子どもがかわいいなら甘やかすことなく厳しい試練を与えて立派な大人に育てる」ことです。車・電車・飛行機・バス。今は交通機関が発達しているため旅行をするのはとても便利ですよね。しかし、昔は旅と言えば馬・徒歩。今のように安心・安全な交通手段はなく、旅には苦労や心配がつきものでした。そこで、「かわいいわが子には苦労の多い旅をさせ、世間の厳しさ辛さを経験させた方が将来のためになる」という考えから「可愛い子には旅をさせよ」という表現が誕生したと言われているのです。 「旅」は「旅行」を示すだけでなく「生家を離れていろいろなものごとを経験する」という意味でも使用されていますよ。「旅」という厳しい環境が「自分の頭で考え行動できる人」になるチャンスを与えているのでしょう。

「掌中の珠」の英訳は?

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「掌中の珠」は英語でどのように表現するのでしょうか。一緒にチェックしましょう。

「the apple of one’s eye」

「掌中の珠」は英語で「the apple of one’s eye」と表現しますよ。「the apple of one’s eye」とは「かけがえのない特別な存在・とてもお気に入りの人や物」を示すイディオムです。なぜりんごが使われているのでしょうか。気になりませんか。瞳を想像してみましょう。昔、「人間の瞳はかたいリンゴのような形をしている」と信じられていました。「瞳がなければ何も見ることができない」=「瞳はとても大切でかけがえのないもの」から「the apple of one’s eye」と表すようになったのです。とても興味深いですよね。

ここで、例文を確認しましょう。例文1では、「一番年下の娘がかわいくて仕方がない様子」が感じられますね。例文2では、クマのぬいぐるみはきっとお気に入りなのでしょう。幼いころから「大切にしている様子」が伝わってきますよね。ポイントは「人だけでなく物にも使うことができること」です。特徴をとらえて正しく英訳できるようにしましょう。

1. Mr. Sato has three children. he loves them all, but his youngest daughter is the apple of his eye.
(佐藤さんには3人の子どもがいる。彼はみんなを愛しているが、一番年下の娘のことを掌中の珠のように溺愛している。)

2.My son sleeps with his old teddy bear everyday.  It must be the apple of his eye.
(彼は毎日くまのぬいぐるみと一緒に寝る。そのぬいぐるみを掌中の珠のように大切にしているにちがいない。)

\次のページで「「掌中の珠」を使いこなそう」を解説!/

「掌中の珠」を使いこなそう

この記事では「掌中の珠」の意味・使い方・類語などを説明しました。あなたにとっての「掌中の珠」=「宝物」は何でしょうか。「愛する子ども・最愛の妻・愛しいペット」など。あなたのかけがえのない存在といつも一緒ににっこりと笑顔でいられること。こんなに素敵な日常に日々感謝したいものですね。

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【慣用句】「掌中の珠」の意味や使い方は?例文や類語を現役塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「掌中の珠」について解説する。

端的に言えば「掌中の珠」の意味は「手の中の珠・最も大切にしているもの・特に最愛の子」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好き・英語好き・読書好きなライターくふを呼んです。一緒に「掌中の珠」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/くふ

語学好き・英語好き・読書好きなライター。学習塾での経験を活かし分かりやすく丁寧な解説をお届けする。

「掌中の珠」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「掌中の珠」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「掌中の珠」の意味は?

「掌中の珠」には、次のような意味があります。辞典などで正確な内容をチェックしましょう。

1.手の中の珠。最も大切にしているもの。特に最愛の子。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「掌中の珠」

「掌中の珠」とは「とても大事にしているものごとのたとえ。愛する子どもや家族」の意。読み方は「しょうちゅうのたま」です。掌中とは、「手のひらの中」のこと。「珠」は「真珠・宝石」を意味していますよ。あなたは真珠にどんなイメージを持っていますか。「純白でぷっくりとしたかわいらしく・美しい様子」。このような真珠の特徴から「自分の持っている大事なもの。真珠のように美しくかわいい愛する家族や子」を示しているのです。

漢字では「掌中之珠」と書きますよ。故事成語や四字熟語として使われることもあるのですね。知識として身につけておきましょう。

「掌中の珠」の語源は?

次に「掌中の珠」の語源を確認しておきましょう。「掌中の珠」は中国の文学者である「傳玄(ふげん)」の詩「短歌行(たんかこう)」に由来すると言われていますよ。「昔、君、我を視ること掌中の珠の如し、何の意か一朝にして我を溝渠に棄つるや」=「昔は大事な子どものように慕ってくれていたのに今は溝に捨てるようにどうして見放すのでしょうか」。

このように文章の中に「掌中の珠」が登場し「宝石のように溺愛していた様子」が描かれていますね。歴史の感じられる素敵な言葉だと言えるのではないでしょうか。

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