この記事では「竹に雀」について解説する。

端的に言えば「竹に雀」の意味は「取り合わせのよいことのたとえ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

豊富な読書経験を持ち、詩人としても活動するくぼっちを呼んです。一緒に「竹に雀」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/くぼっち

児童文学から精神世界、育児書まで幅広い読書経験を持ち、詩人としても活動中。その豊富な経験を生かし、難解な言葉をわかりやすく解説していく。

「竹に雀」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「竹に雀」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「たけにすずめ」です。

「竹に雀」の意味は?

「竹に雀」には、次のような意味があります。まずは辞書から正確な意味を引用し、さらに詳しく見ていきましょう。

  1. 竹にスズメのいる図柄。日本画の画題。

  2. 取り合わせのよいことのたとえ。

  3. 紋所の名。笹竹 (ささたけ) で丸を作り、その中にスズメが向き合っているもの。上杉氏・長尾氏・伊達氏などが用いた。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「竹に雀」

「竹に雀」には3つの意味があります。1つ目は日本画のモチーフとしての、竹に雀のいる図柄。2つ目は「取り合わせの良いことのたとえ」という意味で、これは1つ目の日本画の竹に雀が止まっている図柄が、モチーフとして取り合わせが良いことから来ています。そして3つ目は家紋としての竹に雀。上杉家や伊達家に使われている家紋で、笹竹で作った丸の内側に雀が向き合っているものです。

常緑の竹に群れを成す雀ということで、子孫繁栄や一族の栄華を願う吉祥紋のひとつとされています。伊達家の家紋には「竹に雀紋」の他に豊臣秀吉から伊達政宗に寄贈された「十六葉菊紋」、五七桐紋、蟹牡丹紋、伊達家の先祖が源頼朝から拝領した「三つ引両紋」、九曜紋、鴛鴦の丸紋、ナズナ紋、雪に薄紋などたくさんの家紋があり、その中でも有名なのが「仙台笹」と呼ばれる「竹に雀紋」というわけです。1つ目と3つ目は日本画や家紋の図柄を表すものであり、慣用句としての意味は2つ目の「取り合わせの良いことのたとえ」ということになります。

「竹に雀」の語源は?

次に「竹に雀」の語源を確認しておきましょう。日本画のモチーフとして、竹と雀がよく使われます。竹に止まった雀の図柄が格好のものであることから、「取り合わせのよいことのたとえ」という意味の由来となっているようです。それから家紋としての「竹に雀」ですが、なぜ上杉家や伊達家が「竹に雀」の家紋を使用するようになったのか。そのあたりの由来も一緒に見ていきましょう。「竹に雀」の家紋は、元々は越後の上杉家が使っていたもののようです。なぜそれを伊達家も使うようになったのか?

伊達家といえば独眼竜政宗として有名な伊達政宗。宮城県仙台市の仙台城を築いた戦国武将です。その政宗の重臣に伊達成実(しげざね)という武将がおり、その父の伊達実元(さねもと)という政宗の大叔父に当たる人が、越後守護大名の上杉定実の所へ養子に行くという話になりました。その時に引き出物として贈られたのが「竹と雀」の家紋だという由来があります。結局、実元が養子に行く話はなくなりましたが、家紋は伊達家で大切に使われたということです。

ちなみに上杉家の先祖は公家の藤原氏で、藤原北家勧修寺流(かじゅうじりゅう)という一門が「竹に雀」の家紋を使っていたのが、竹に雀紋の元々の由来となります。

\次のページで「「竹に雀」の使い方・例文」を解説!/

「竹に雀」の使い方・例文

「竹に雀」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. この絵葉書のデザインは素晴らしいですね。さすがに「竹に雀」と言うだけあって、モチーフの取り合わせが良いですね。

2. 「竹に雀」の家紋と言えば上杉謙信。戦国時代の越後の大名。歴史好きにはあの甲冑姿はたまらない魅力ですよ。

1は絵画のモチーフとしての「竹に雀」ですが、そこから派生して取り合わせの良いことのたとえという意味も含まれています。

2は家紋としての「竹に雀」ですね。上杉謙信の家紋としては「竹に二羽飛び雀」が有名で、「上杉笹」と呼ばれています。

「竹に雀」の類義語は?違いは?

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次に「竹に雀」の類義語を見ていきましょう。

「松に鶴」

「竹に雀」の類義語には「松に鶴(まつにつる)」があります。花札の1月に使われる札で、意味は「竹に雀」と同じように「取り合わせの良いことのたとえ」です。

他にも2月の「梅に鶯(うめにうぐいす)」や6月の「牡丹に蝶(ぼたんにちょう)」、11月の「柳に燕(やなぎにつばめ)」なども花札の札に使われ、どれも「取り合わせの良いことのたとえ」という意味になります。

\次のページで「「猿に絵馬」」を解説!/

「猿に絵馬」

「竹に雀」の類義語には他にも「猿に絵馬」があります。読み方は「さるにえま」です。絵馬とは神社や寺院に奉納する、絵が描かれた木製の板ですが、昔は猿を馬小屋の守護とする信仰があり、農家では「申」と書かれた紙を馬小屋に貼っていました。また、正月や祭りでは猿が馬をひくところの描かれた絵馬や神札が用いられたことから、「取り合わせの良いことのたとえ」という意味になります。

「竹に雀」の対義語は?

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次に「竹に雀」の対義語を見ていきましょう。

「犬猿の仲」

「竹に雀」の対義語には「犬猿の仲」が挙げられます。読み方は「けんえんのなか」です。

非常に仲が悪い」という意味で、取り合わせの良い「竹に雀」とは反対の言葉になりますね。

あの二人は性格も対照的だし、顔を合わすたびにいがみ合ってるよ。まさに犬猿の仲だねえ。

「水と油」

「竹に雀」の対義語としては、他にも「水と油(みずとあぶら)」が挙げられます。

水と油が互いに溶け合わないことから、「性質が合わず、しっくり調和しないこと。」という意味になりますので、こちらも「竹に雀」とは反対の意味ですね。

AさんとBさんはケンカばかりしているので水と油の関係だと思っていたが、一緒に飲みに行ってるとは、意外と仲がいいんだなあ。

\次のページで「「竹に雀」を使いこなそう」を解説!/

「竹に雀」を使いこなそう

この記事では「竹に雀」の意味・使い方・類語などを説明しました。日本画や家紋の図柄を表すものであり、その竹に止まった雀の図柄が格好のものであるということから「取り合わせの良いことのたとえ」という意味になるということでしたね。取り合わせの良いことのたとえを表す慣用句には「松に鶴」「梅に鶯」「牡丹に蝶」「紅葉に鹿」などたくさんあり、花札の札にも使われています。

家紋としては、上杉謙信や伊達政宗が使っていた家紋として有名です。上杉家から伊達家に贈られた「竹に雀」の家紋ですが、上杉家は「上杉笹」、伊達家は「仙台笹」とも呼ばれています。絵画や家紋として、竹に止まった雀の図柄を見かけた時は、ぜひこの「竹に雀」を思い出してください。

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【慣用句】「竹に雀」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「竹に雀」について解説する。

端的に言えば「竹に雀」の意味は「取り合わせのよいことのたとえ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

豊富な読書経験を持ち、詩人としても活動するくぼっちを呼んです。一緒に「竹に雀」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/くぼっち

児童文学から精神世界、育児書まで幅広い読書経験を持ち、詩人としても活動中。その豊富な経験を生かし、難解な言葉をわかりやすく解説していく。

「竹に雀」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「竹に雀」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「たけにすずめ」です。

「竹に雀」の意味は?

「竹に雀」には、次のような意味があります。まずは辞書から正確な意味を引用し、さらに詳しく見ていきましょう。

  1. 竹にスズメのいる図柄。日本画の画題。

  2. 取り合わせのよいことのたとえ。

  3. 紋所の名。笹竹 (ささたけ) で丸を作り、その中にスズメが向き合っているもの。上杉氏・長尾氏・伊達氏などが用いた。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「竹に雀」

「竹に雀」には3つの意味があります。1つ目は日本画のモチーフとしての、竹に雀のいる図柄。2つ目は「取り合わせの良いことのたとえ」という意味で、これは1つ目の日本画の竹に雀が止まっている図柄が、モチーフとして取り合わせが良いことから来ています。そして3つ目は家紋としての竹に雀。上杉家や伊達家に使われている家紋で、笹竹で作った丸の内側に雀が向き合っているものです。

常緑の竹に群れを成す雀ということで、子孫繁栄や一族の栄華を願う吉祥紋のひとつとされています。伊達家の家紋には「竹に雀紋」の他に豊臣秀吉から伊達政宗に寄贈された「十六葉菊紋」、五七桐紋、蟹牡丹紋、伊達家の先祖が源頼朝から拝領した「三つ引両紋」、九曜紋、鴛鴦の丸紋、ナズナ紋、雪に薄紋などたくさんの家紋があり、その中でも有名なのが「仙台笹」と呼ばれる「竹に雀紋」というわけです。1つ目と3つ目は日本画や家紋の図柄を表すものであり、慣用句としての意味は2つ目の「取り合わせの良いことのたとえ」ということになります。

「竹に雀」の語源は?

次に「竹に雀」の語源を確認しておきましょう。日本画のモチーフとして、竹と雀がよく使われます。竹に止まった雀の図柄が格好のものであることから、「取り合わせのよいことのたとえ」という意味の由来となっているようです。それから家紋としての「竹に雀」ですが、なぜ上杉家や伊達家が「竹に雀」の家紋を使用するようになったのか。そのあたりの由来も一緒に見ていきましょう。「竹に雀」の家紋は、元々は越後の上杉家が使っていたもののようです。なぜそれを伊達家も使うようになったのか?

伊達家といえば独眼竜政宗として有名な伊達政宗。宮城県仙台市の仙台城を築いた戦国武将です。その政宗の重臣に伊達成実(しげざね)という武将がおり、その父の伊達実元(さねもと)という政宗の大叔父に当たる人が、越後守護大名の上杉定実の所へ養子に行くという話になりました。その時に引き出物として贈られたのが「竹と雀」の家紋だという由来があります。結局、実元が養子に行く話はなくなりましたが、家紋は伊達家で大切に使われたということです。

ちなみに上杉家の先祖は公家の藤原氏で、藤原北家勧修寺流(かじゅうじりゅう)という一門が「竹に雀」の家紋を使っていたのが、竹に雀紋の元々の由来となります。

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