この記事では「精が出る」について解説する。

端的に言えば精が出るの意味は「仕事などに励むこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「精が出る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「精が出る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「精が出る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「せいがでる」です。

「精が出る」の意味は?

「精が出る」には、次のような意味があります。まずは国語辞典で正確な意味をチェックしたあと、さらに詳しい意味まで見ていきましょう。

1.懸命に働く。仕事に励む。よく活動する。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「精が出る」

一生懸命に働いたり、仕事に打ち込んだりするという意味があり、客観的に高い評価に値するということを示す慣用句となっています。

そのため、どんなことに励むのかという対象としては、趣味など個人的なことではなく、職業としての仕事や家業、家の手伝いなどに使われることが多くなっていますよ。その他、仕事以外の対象としては、町内会やPTA役員などです。

「精が出る」の語源は?

次に「精が出る」の語源を確認しておきましょう。「精が出る」の「精」は雑念がなくひたすら励むこと、「出る」にはうちに秘められている能力が発揮されることという意味があります。これらをあわせて、一生懸命に働いたり仕事に励むという意味合いにつながっていますよ。

なお、うなぎが「精がつく」食べ物として売り出されることがありますが、「精」の意味を心身の力のもととなる元気や精力としてとらえているので、ここでの「精が出る」とは違う意味のものです。

\次のページで「「精が出る」の使い方・例文」を解説!/

「精が出る」の使い方・例文

「精が出る」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.彼は会社の勤務時間中に過酷な労働を強いられながら、さらに残業をするとは本当に精が出ることだ。

2.責任は重く、日々休憩もままならないほど忙しい、編集長とは精が出る仕事だ。

3.あなたのおじいさんは農作業に精が出る一方で、長年子供たちの通学の交通整理をするという生活をされておりお礼を言っても言い尽くせないほどだ。

いずれの例文も、仕事やなんらかの任務などについて、よく働いていたり一生懸命に取り組んでいるようすを表しています。

例文1.は、もともと大変な仕事をしていながら、さらに追加して仕事をしているという文です。例文の2.のほうは、責任も重く仕事量も非常に多い編集長という役回りをこなしている状況が書かれています。最後の例文は、農作業という自身の仕事と同様に、子供たちの交通整理も大切な任務として関わってくれている人について表したものです。

「精が出る」の類義語は?違いは?

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それでは、「精が出る」の類義語についての説明です。似た意味の慣用句などについて、一緒に詳しく見ていきましょう。

「身を粉にする」

「精が出る」の類義語には、「身を粉にする(みをこにする)」があります。意味は、労力を惜しまずに一心に仕事をしたり努力をすることです。

もとは、骨を削り粉にして身を砕くまで努力を続けるという意味の「粉骨砕身(ふんこつさいしん)」という四字熟語に由来します。「粉骨砕身」は、永嘉真覚(ようかしんかく)が著した『証道歌(しょうどうか)』という禅の書物に書かれていたものです。「精が出る」に比べると、「身を粉にする」のほうが鬼気迫ったニュアンスがあり、必死であることを表す表現となっています。

\次のページで「「精進する」」を解説!/

「精進する」

もう一つの類義語には、「精進する(しょうじんする)」があります。一つのことに集中して励むことや一生懸命努力するという意味です。もとは仏教用語であり仏道修行に専念するという意味がありますが、そこから一般的な意味にも広がっています。

仏教用語であったことから、雑念を捨てたり煩悩を捨てるというニュアンスがあるため、やろうと決める心の動きや行為のひたむきさがポイントになる表現です。

「精が出る」の対義語は?

次に、「精が出る」の対義語についての説明です。懸命に働くという意味の反対の意味について、一緒に見ていきましょう。

「安逸を貪る」

「精を出す」の対義語には、「安逸を貪る(あんいつをむさぼる)」があります。意味は、何もせずにぶらぶらと遊び暮らすことです。「安」は穏やかで安心しているようすのこと、「逸」は規則にとらわれず気ままにすることを表しています。

そういったことから、危機感なく自由に過ごしているようすのことにつながっていますよ。やるべきことに縛られず、楽観的な意識が行動にも表れているという表現です。

「羽根を伸ばす」

もう一つの対義語には、「羽根を伸ばす(はねをのばす)」があります。抑えられた状態から解放されて、伸び伸びと振る舞うことという意味です。本来の「羽根」は、生き物の翼であったり、水車や飛行機、タービンなどの板状のものなど物理的なものだけを指しますが、「伸ばす」をつけると人の振る舞いを表します。

やるべきことに一生懸命に取り組むのが「精が出る」ですから、伸び伸びと自由に振る舞うようすを表す「羽根を伸ばす」は対義語と考えることができますね。

「精が出る」の英訳は?

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最後に、「精が出る」の英訳についての説明です。日本語との違いはありますが、似た意味の英語表現について一緒に見ていきましょう。

「work hard」

「精が出る」の英訳には、「work hard」があります。意味は「よく働く、一生懸命勉強する、こつこつ頑張る」などです。仕事や勉強に対して言うことが多くなっていますが、稀に「稼いでいる」という意味合いで使われることがあります。

その他、「make an effort」とすると「努力する、励む、骨を折る」という意味です。頑張るようすや負担がかかりながら何かを成し遂げようとするニュアンスがあります。

\次のページで「「精が出る」を使いこなそう」を解説!/

「精が出る」を使いこなそう

今回の記事では「精が出る」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「精が出る」の基本の意味は、懸命に働いたり、仕事に励むこと、よく活動することなどです。なお、「精が出る」の対象は、仕事などのやるべきことや誰かの役に立つことがあります。これが、個人的な好きなことや誰の役にも立たないことなら、「現を抜かす」や「熱を上げる」という表現を使いますよ。

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国語言葉の意味

【慣用句】「精が出る」の意味や使い方は?例文や類語などを現役塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「精が出る」について解説する。

端的に言えば精が出るの意味は「仕事などに励むこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「精が出る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「精が出る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「精が出る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「せいがでる」です。

「精が出る」の意味は?

「精が出る」には、次のような意味があります。まずは国語辞典で正確な意味をチェックしたあと、さらに詳しい意味まで見ていきましょう。

1.懸命に働く。仕事に励む。よく活動する。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「精が出る」

一生懸命に働いたり、仕事に打ち込んだりするという意味があり、客観的に高い評価に値するということを示す慣用句となっています。

そのため、どんなことに励むのかという対象としては、趣味など個人的なことではなく、職業としての仕事や家業、家の手伝いなどに使われることが多くなっていますよ。その他、仕事以外の対象としては、町内会やPTA役員などです。

「精が出る」の語源は?

次に「精が出る」の語源を確認しておきましょう。「精が出る」の「精」は雑念がなくひたすら励むこと、「出る」にはうちに秘められている能力が発揮されることという意味があります。これらをあわせて、一生懸命に働いたり仕事に励むという意味合いにつながっていますよ。

なお、うなぎが「精がつく」食べ物として売り出されることがありますが、「精」の意味を心身の力のもととなる元気や精力としてとらえているので、ここでの「精が出る」とは違う意味のものです。

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