
「灰になる」を使いこなそう
今回の記事では「灰になる」の意味・使い方・類語などを説明しました。
「灰になる」の基本の意味は、持っている力を出し尽くして気力を失うことです。一般的な表現としては「燃え尽きる」のほうが身近かもしれませんが、燃え尽きた結果として灰になるということから同義であることがわかりますね。
この記事では「灰になる」について解説する。
端的に言えば灰になるの意味は「持てる力を出し切ること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「灰になる」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/ヤマトススム
10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。
「灰になる」には、次のような意味があります。まずは国語辞典の意味を確認してから、さらに詳しい意味まで見ていきましょう。
1.燃えてすっかりなくなる。灰燼(かいじん)に帰する。
2.死んで火葬され、骨になる。
3.俗に、持っている力を出し尽くして気力がなくなる。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「灰になる」
辞書の意味は3つありました。1つ目と2つ目は物理的な現象を表す意味合いなので、ここでは3つ目の「持っている力を出し尽くす」という意味合いについて見ていきます。
普段よりも力を入れて取り組む場面や出来事にあって、継続的に努力を重ねてきた結果、力が尽きてそれ以上の努力を重ねることができなくなった状態のことです。
次に「灰になる」の語源を確認しておきましょう。
「灰になる」の「灰」は物が燃え尽きたあとに残る粉状の物質、価値のないものという意味のほかに、生気のないものという意味があります。このように、生気のあるものが「生気のないもの」になるということから、人も含めた生き物が力尽きてしまい生気がなくなることにつながっていますよ。
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「灰になる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
1.百科事典を改訂し出版するにあたっては、膨大な資料や誤字脱字のチェックが必要となり心が折れ灰になりそうだ。
2.スマホの画面で設定し、ジャンプやランニングの運動メニューをこなしたが、すぐに息が上がり灰になるところだった。
3.今日は一部の製品に関するクレームの電話が集中し、あまりの忙しさに燃え尽きて灰になり前後不覚になるほどだった。
いずれの例文でも、何らかの取り組みや仕事について、力を出し切って動けなくなるほどであることを表しています。
例文1.では、膨大で細かい仕事に取り組みながらも、その大変な仕事量に力が尽きそうになっているという文です。例文2.のほうは、自分で設定した運動メニューに対して、運動不足がたたったのかすぐに苦しくなっているようすを表しています。最後の例文は、次から次へとかかってくるクレームの電話に対応しながら、頭が真っ白になって呆然としつつあるようすのことです。
「灰になる」の類義語には、「精根尽き果てる(せいこんつきはてる)」があります。意味は、物ごとを成し遂げようと集中した体力と精神力などがなくなるということです。「精魂」は体力と精神力のことであり、一つのことを持続する気力という意味合いもあります。
そういったことから、体力や精神力が限界に達してしまい、次に何もすることができないということにつながっている表現です。「精魂を使い果たす(せいこんをつかいはたす)」という言い方をすることもあります。
もう一つの類義語には、「抜け殻のようになる(ぬけがらのようになる)」があります。目標や希望を失い、元気がなくなって生きる気力が失せることという意味です。「抜け殻」はもとは昆虫が脱皮したあとのものを指し、からっぽという意味合いがあります。そこから、魂や希望を失った状態のことにつながりますよ。
目標に向かって力を出し尽くしたあとに「抜け殻のようになる」こともありますが、自分は何もしなくても外的な要因をきっかけに「抜け殻のようになる」こともあります。例えば「大ファンだったアイドルが結婚したことを知り、彼は抜け殻のようになっている。」です。
次に、「灰になる」の対義語についての説明です。「灰になる」の反対の意味として、気力を失わない意味の慣用句などについて見ていきましょう。
「灰になる」の対義語には、「打たれ強い(うたれづよい)」があります。意味は、周囲からの批判や避難のほか、逆境に耐える強さがあることです。もとは、ボクシングなどの格闘技や野球で打ち込まれることに耐えることを表しますが、逆境に耐えたり精神力が強いことにつながっています。
苦しい場面にあっても諦めないで努力を続けられるということから、気力がなくなるという意味の「灰になる」とは反対の意味になっていますよ。
もう一つの対義語には、「石にかじりついても(いしにかじりついても)」があります。どんな苦労や困難にも耐えて目標を達成しようという意志のことです。普通ならやらないよう「石にかじりつく」という行為でもやる覚悟があるということから、困難に耐える強い意志があるということにつながっています。
「石にかじりついても」は、「石にしがみついても」という誤用が多くなっていますよ。誰もやらないような石にかじりつくという行為をしてまでもやり遂げたいという語源をあわせてチェックしておくといいですね。
「灰になる」の英訳には「burn out」があり、意味は「燃え尽きる、力が尽きる」です。「He burned himself out as a novelist.(彼は小説家として燃え尽きた)」など、「burn + 目的語 + out」として使われることが多くなっています。
その他、「be exhausted」がありますよ。「疲弊させる」という単語が受け身なった形で「疲弊させられる」、つまり「疲弊する、疲れ切っている」という意味です。
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今回の記事では「灰になる」の意味・使い方・類語などを説明しました。
「灰になる」の基本の意味は、持っている力を出し尽くして気力を失うことです。一般的な表現としては「燃え尽きる」のほうが身近かもしれませんが、燃え尽きた結果として灰になるということから同義であることがわかりますね。
今回の記事では「灰になる」の意味・使い方・類語などを説明しました。
「灰になる」の基本の意味は、持っている力を出し尽くして気力を失うことです。一般的な表現としては「燃え尽きる」のほうが身近かもしれませんが、燃え尽きた結果として灰になるということから同義であることがわかりますね。