今日は、内分泌系について学習していきます。内分泌と聞いて一番にホルモンが思いつくでしょうか。内分泌系を勉強するには、まず恒常性について知っておかなければならない。この記事では、恒常性から内分泌系にと深い関係がある自律神経にもふれるぞ。予習、復習のために「内分泌腺」の記事を読むと理解が深まるぞ。内分泌系について医学系研究アシスタントのライターmimosa(ミモザ)と一緒に解説していきます。

ライター/mimosa

もともと文系出身で、独学で生物学、生化学を勉強し、現在医学系研究所の研究アシスタントとして理系の世界へ飛び込んだ。理科が苦手な方へも興味を持ってもらうべくわかりやすい説明を心掛けている。

恒常性

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内分泌系について説明する前に、「恒常性」についてお話しますね。「恒常性」とはホメオスタシスとも言われていて、体内環境を一定に保つことです。体内環境を一定に保つことによって、気候変化によって厳しい体外環境でも生きていけるのですね。体内や体外の変化に応じて、体内の様々な細胞の調節をしなければなりません。恒常性には、腎臓、肝臓、循環系などの多くの器官が関係していますよ。また、自律神経系や内分泌系による調節を受けますよ。神経系や内分泌系は体内の情報伝達手段ですね。

「恒常性」のことについて詳しくは「組織液、リンパ液」の記事をご参照くださいね。

恒常性を保つ 内分泌系

内分泌系とは、ホルモンを分泌する器官である内分泌腺や細胞の集まりのことを言うのですよ。内分泌腺については、後ほど詳しく触れますね。また、内分泌系は内分泌液(ホルモン)を製造する器官(内分泌器)とそれを受け取る細胞があるだけで血管以外では接続されていません。 内分泌器の共通の特徴としては、ホルモンを分泌する細胞が存在すること器官内に血管(特に毛細血管)が発達していること(分泌したホルモンは血液中に溶けだして全身を回るため)また、ホルモンの分泌量をその時の体に合わせた量に調節するので、その器官も別のホルモンの作用を受けることが挙げられますよ。化学物質であるホルモンは血管網の中をゆっくり移動し、効果は長時間持続しますよ。

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恒常性を保つ 自律神経系

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神経系において体内の調整に必要な情報は、神経細胞内を電気信号(興奮)という形で伝わっていきますよ。私たちは緊張すると心臓の鼓動が激しくなったり呼吸も早くなりますね。逆に、気持ちが落ち着いてくるとこれらの運動はゆっくりになってきますね。これは、意識せずとも勝手に体が反応してくれる、自律神経系のおかげですよ。これらの情報伝達は、神経網を電気信号として通り、伝わる速度はホルモンよりも速いですが、効果の持続時間は短時間ですよ。

視床下部と脳下垂体

視床下部と脳下垂体

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多くのホルモンは、その分泌が脳によって調整されていますよ。その時に中心となるのが視床下部脳下垂体です。刺激が間脳に伝わると、視床下部の神経分泌細胞が刺激され、その細胞体で作られたホルモンが軸索の中を通って運ばれて末端から分泌されますよ。

脳下垂体は、頭蓋(ずがい)骨のほぼ中心にあり、額の奥(おく)約7wp_のところにある小指の先ほどの小さな器官で、下垂体ともいいます。脳下垂体を大きく分けると、脳下垂体前葉(ぜんよう)と脳下垂体後葉(こうよう)の2つに分かれていますよ。

内分泌腺

内分泌腺

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表のように、内分泌腺は視床下部、脳下垂体、甲状腺、副甲状腺、副腎、生殖腺(精巣、卵巣)、膵臓のランゲルハンス島、松果体(左右大脳半球の間にある卵形の小体。内分泌器官の一つで,視床の上部)がありますよ。表の松果体から分泌されるメラトニンは、最近では睡眠サプリでよく聞かれるホルモンですね。自然な眠りを促しますよ。 あとは、「膵臓」の記事でも触れましたが、膵臓からは血糖値を上げるグルカゴン、血糖値を下げるインスリンというホルモンが分泌されていますね。女性特有のホルモンは、ろ胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)がありますよ。月経周期はこの2つのホルモンのバランスによって決まっていますよ。

他の内分泌腺と主な作用については、「内分泌腺」の記事で説明しますね。

内分泌疾患

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内分泌疾患は、内分泌の機能が亢進(過剰に働く)もしくは低下することによって生じますよ。以下、その例を見ていきましょうね。

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甲状腺ホルモンが関係する内分泌疾患

いくつか内分泌疾患について説明していきますね。例えば、甲状腺はチロシンなどを分泌しますが、分泌が過剰になれば、バセドウ病になりますよ。バセドウ病は甲状腺刺激ホルモンと結合するはずの受容体に抗体が結合することによって甲状腺機能が亢進して甲状腺ホルモンの分泌過剰が起こってしまうのですよ。 症状は、甲状腺が腫れてしまうので、のどが腫れ、眼球が突出して、心臓の拍動が速くなり脈拍も激しくなりますよ。反対に欠乏してしまえばクレチン病になります。クレチン病とは、骨の成長や知能の発育が遅れるので、皮膚は乾いて厚くなり、顔面にしわがよったりすることが特徴として挙げられますよ。

糖尿病

膵臓のランゲルハンス島のβ細胞から分泌されるインスリンが欠乏してしまえば、糖尿病になってしまいますよ。糖尿病は1型、2型があり、1型は自己免疫疾患であり、2型は生活習慣の乱れが原因で発症します。ここでは、1型について説明しますね。1型糖尿病は、膵臓のβ細胞が壊されてしまう病気ですよ。

β細胞からインスリンがほとんどでなくなることが多く、1型糖尿病と診断されたら治療にインスリン製剤を使います。1型糖尿病でβ細胞が壊れる原因はよくわかっていません。一つには、自己免疫が関わっているのではないかと考えられていますよ。免疫反応が正しく働かないことで、自分の細胞を攻撃することでβ細胞が壊されているのではないかと言われています。

生命活動に欠かせないホルモンを分泌する内分泌器

私たちの体は外部の環境に適応するために内分泌系や自律神経系によって体内環境が一定に保たれていますよ。これらの作用で分泌されるホルモンは体を元気にしたり生命維持に関わっていますが、もしも病気などで内分泌器に不調を来すと、分泌されるホルモンの量が過剰であっても少なすぎても病気になってしまいます。この記事で説明したホルモン以外にも、腎臓で血圧を調整するホルモン、骨髄では赤血球を作るように刺激を与えるホルモン、脂肪組織では体脂肪を一定に保つためのホルモンなどがありますね。

このように、体の様々な場所でホルモンがつくられていますよ。現在、ホルモンとして確かめられているのは100種類ほどあるのですよ。現在でも新たなホルモンが発見され続けているそうですよ。現代医学によって、これまでわかっていなかった内分泌系について新たな発見がこれからもあるでしょう。医学のさらなる進歩に期待ですね。

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タンパク質と生物体の機能理科環境と生物の反応生物

3分で簡単「内分泌系」を医学系研究アシスタントがわかりやすく解説

今日は、内分泌系について学習していきます。内分泌と聞いて一番にホルモンが思いつくでしょうか。内分泌系を勉強するには、まず恒常性について知っておかなければならない。この記事では、恒常性から内分泌系にと深い関係がある自律神経にもふれるぞ。予習、復習のために「内分泌腺」の記事を読むと理解が深まるぞ。内分泌系について医学系研究アシスタントのライターmimosa(ミモザ)と一緒に解説していきます。

ライター/mimosa

もともと文系出身で、独学で生物学、生化学を勉強し、現在医学系研究所の研究アシスタントとして理系の世界へ飛び込んだ。理科が苦手な方へも興味を持ってもらうべくわかりやすい説明を心掛けている。

恒常性

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内分泌系について説明する前に、「恒常性」についてお話しますね。「恒常性」とはホメオスタシスとも言われていて、体内環境を一定に保つことです。体内環境を一定に保つことによって、気候変化によって厳しい体外環境でも生きていけるのですね。体内や体外の変化に応じて、体内の様々な細胞の調節をしなければなりません。恒常性には、腎臓、肝臓、循環系などの多くの器官が関係していますよ。また、自律神経系や内分泌系による調節を受けますよ。神経系や内分泌系は体内の情報伝達手段ですね。

「恒常性」のことについて詳しくは「組織液、リンパ液」の記事をご参照くださいね。

恒常性を保つ 内分泌系

内分泌系とは、ホルモンを分泌する器官である内分泌腺や細胞の集まりのことを言うのですよ。内分泌腺については、後ほど詳しく触れますね。また、内分泌系は内分泌液(ホルモン)を製造する器官(内分泌器)とそれを受け取る細胞があるだけで血管以外では接続されていません。 内分泌器の共通の特徴としては、ホルモンを分泌する細胞が存在すること器官内に血管(特に毛細血管)が発達していること(分泌したホルモンは血液中に溶けだして全身を回るため)また、ホルモンの分泌量をその時の体に合わせた量に調節するので、その器官も別のホルモンの作用を受けることが挙げられますよ。化学物質であるホルモンは血管網の中をゆっくり移動し、効果は長時間持続しますよ。

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