この記事では「快哉を叫ぶ」について解説する。

端的に言えば快哉を叫ぶの意味は「嬉しくて思わず声が出る」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国語力だけでこれまでの社会人生活を乗り切ってきたライター、ヤザワナオコに、「快哉を叫ぶ」の意味や例文、類語などを説明してもらおう。

ライター/ヤザワナオコ

コールセンターの電話応対指導やマナー講師、テレビ番組の字幕製作経験もあるライター、ヤザワナオコ。

快哉を叫ぶほど喜んだ経験はここしばらくないらしい。どんなときに使う言葉なのか、反対の意味を表す言葉はあるのかなど、解説してもらう。

「快哉を叫ぶ」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「快哉を叫ぶ」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。ご存じかと思いますが、読み方は「かいさいをさけぶ」です。

「快哉を叫ぶ」の意味は?

「快哉を叫ぶ」には、次のような意味があります。

心が晴れやかになって思わず声が出る。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

辞書の意味に「心が晴れやかになって」とあるのがポイントです。多く使われるのは、何かとてもいいことがあって、喜びのあまり歓声を上げるといったシーン。大切な試験に合格したと分かったときや、ずっと欲しかったものをようやく手に入れたときなど、「やったー!」と思わず声を上げたくなりますね。

そのほか、憂鬱だった気持ちが晴れて声が出る場合にも使うことができますよ。例えば、何か心配事があって鬱々としていた状態から急に解放されたとき。こちらは「よかった!」でしょうか、やはり安堵感から声が出ることがありそうです。

「快哉を叫ぶ」の語源は?

次に「快哉を叫ぶ」の語源を確認しておきましょう。まず「快哉」ですが、ちょっと変わった成り立ちの熟語です。「快」は快適、快感といったときに使う字で心地よい状態を表します。そして「哉」は訓読みすれば「かな」。古文でよく見かける感動や詠嘆を表す終助詞で、「…だなあ」という意味です。つまり「快哉」は「気持ちがいいなあ、愉快だなあ」ということ。

余談ですが、あんこを使った和のスイーツ、ぜんざいは漢字では善哉と書き、やはり「哉」が使われています。この言葉は「すばらしい」を意味するサンスクリット語を漢訳したもので、あの一休さんが善哉を食べて「よきかな」と言ったことから名付けられたという説もありますよ。一休さんがほっぺたを落とすほど美味しい善哉、白玉も入っていたのでしょうか…、興味を惹かれます。さて、「快哉を叫ぶ」に話を戻しましょう。「気持ちがいいなあ」を表す「快哉」を叫ぶのですから、「歓びのあまり大きな声を出してしまう」様子を表現していると、納得していただけたのではないでしょうか。

\次のページで「「快哉を叫ぶの使い方・例文」を解説!/

「快哉を叫ぶの使い方・例文

「快哉を叫ぶ」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

・受験までには並々ならぬ苦労があったので、合格を知った瞬間、私は母と二人で快哉を叫んでしまった。

・やっと上司も驚くような大きな仕事を受注することができた。これで商社に勤めるビジネスマンとして恥ずかしくないと思ったら快哉を叫びたくなった。

 

1つ目の例文は、合格という慶事を知って歓喜する様子を表しています。このように何かしらの吉報に接した瞬間に声が出る様子を表すときに使うもので、後からしみじみと快哉を叫ぶというようにはあまり使いません。

2つ目も大きな契約の成立など嬉しいシーンではありますが、「一人前とは言えないかもしれない」という憂鬱な気持ちから脱することができてほっとしている印象も感じられますね。

「快哉を叫ぶ」の類義語は?違いは?

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それでは、「快哉を叫ぶ」と似たニュアンスの表現を見ていきましょう。

「盆と正月が一緒に来たよう」

とても嬉しい様子を表すことわざに「盆と正月が一緒に来たよう」があります。新年を迎えるお正月と、ご先祖様を迎えるお盆は、本来は用意するものもたくさんあり、来客が増えることもあって忙しい時期。そのお正月とお盆が両方いっぺんに来てしまったらてんてこ舞いですね。

このように元々は「非常に忙しい」ことをあらわすことわざでしたが、お正月もお盆もおめでたく楽しい行事というイメージからでしょうか、「良いことが続いて嬉しい」といったニュアンスで使われるようになったという経緯がありますよ。ちなみに今の日本では、お正月やお盆が忙しいとかおめでたいといった感覚は薄れてきているかもしれませんね。古くから用いられる慣用句やことわざを理解するときは、「当時の生活、感覚」を想像することをお勧めします。交通事情も食糧事情も今のように整っていない時代には、お正月やお盆ぐらいしか、親戚が一堂に会してごちそうを食べる機会も作りにくかったことでしょう。そう思うと、お正月やお盆が「忙しい、嬉しい」という気持ちがよりリアルに想像できませんか。

\次のページで「「喜色満面」」を解説!/

うれしいことが重なること、また非常に忙しいことのたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

・兄の就職祝いをしているところに旅行から帰宅した親戚が遊びに来て、普段は静かな我が家が盆と正月が一緒に来たような大騒ぎになった。

「喜色満面」

また、嬉しい様子を表情や行動に表すという意味では、喜色満面もいいでしょう。ただしこちらは、声に出すかどうかではなく表情がうれしそうなことを指して使います。

 

うれしそうな表情が顔に満ちあふれていること。

出典:大辞林 第三版(三省堂)

「快哉を叫ぶ」の対義語は?

「快哉を叫ぶ」にはぴったりな対義語がありますよ。がっかりしてため息をつく様子を表す言葉です。

「嘆息を漏らす(たんそくをもらす)」





「嘆息」はため息のこと。悲しいことや残念なことがあったときに嘆く様子を表すのが「嘆息を漏らす」です。「快哉を叫ぶ」が痛快でたまらないポジティブなイメージの言葉なのに対し、「嘆息を漏らす」は聞いているこちらまで辛くなるような、がっくり落ち込むネガティブなイメージの言葉と言えますね。




\次のページで「「快哉を叫ぶ」の英訳は?」を解説!/

・社会人になってからというもの生活が苦しくて、財布を覗いては嘆息を漏らす日々が続いています。

「快哉を叫ぶ」の英訳は?

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最後に。「快哉を叫ぶ」の英語表現をご紹介します。

「shout for joy」

shoutはまさに「叫ぶ」という意味。そこに「喜び」という意味のjoyがつくのですから、「快哉を叫ぶ」そのままの表現と言っても過言ではありません。

・Everybody shouted for joy.

(誰もが快哉を叫んだ)

「快哉を叫ぶ」を使いこなそう

この記事では「快哉を叫ぶ」の意味・使い方・類語などを説明しました。大人になって毎日をルーティンワークのように過ごしていると、「快哉を叫ぶ」ほど嬉しい瞬間に出くわすことはなかなかないような気もします。桜木先生の言うとおり、日々コツコツと頑張ってこそ、大きな成果を得られるのでしょうね。

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【慣用句】「快哉を叫ぶ」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「快哉を叫ぶ」について解説する。

端的に言えば快哉を叫ぶの意味は「嬉しくて思わず声が出る」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国語力だけでこれまでの社会人生活を乗り切ってきたライター、ヤザワナオコに、「快哉を叫ぶ」の意味や例文、類語などを説明してもらおう。

ライター/ヤザワナオコ

コールセンターの電話応対指導やマナー講師、テレビ番組の字幕製作経験もあるライター、ヤザワナオコ。

快哉を叫ぶほど喜んだ経験はここしばらくないらしい。どんなときに使う言葉なのか、反対の意味を表す言葉はあるのかなど、解説してもらう。

「快哉を叫ぶ」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「快哉を叫ぶ」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。ご存じかと思いますが、読み方は「かいさいをさけぶ」です。

「快哉を叫ぶ」の意味は?

「快哉を叫ぶ」には、次のような意味があります。

心が晴れやかになって思わず声が出る。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

辞書の意味に「心が晴れやかになって」とあるのがポイントです。多く使われるのは、何かとてもいいことがあって、喜びのあまり歓声を上げるといったシーン。大切な試験に合格したと分かったときや、ずっと欲しかったものをようやく手に入れたときなど、「やったー!」と思わず声を上げたくなりますね。

そのほか、憂鬱だった気持ちが晴れて声が出る場合にも使うことができますよ。例えば、何か心配事があって鬱々としていた状態から急に解放されたとき。こちらは「よかった!」でしょうか、やはり安堵感から声が出ることがありそうです。

「快哉を叫ぶ」の語源は?

次に「快哉を叫ぶ」の語源を確認しておきましょう。まず「快哉」ですが、ちょっと変わった成り立ちの熟語です。「快」は快適、快感といったときに使う字で心地よい状態を表します。そして「哉」は訓読みすれば「かな」。古文でよく見かける感動や詠嘆を表す終助詞で、「…だなあ」という意味です。つまり「快哉」は「気持ちがいいなあ、愉快だなあ」ということ。

余談ですが、あんこを使った和のスイーツ、ぜんざいは漢字では善哉と書き、やはり「哉」が使われています。この言葉は「すばらしい」を意味するサンスクリット語を漢訳したもので、あの一休さんが善哉を食べて「よきかな」と言ったことから名付けられたという説もありますよ。一休さんがほっぺたを落とすほど美味しい善哉、白玉も入っていたのでしょうか…、興味を惹かれます。さて、「快哉を叫ぶ」に話を戻しましょう。「気持ちがいいなあ」を表す「快哉」を叫ぶのですから、「歓びのあまり大きな声を出してしまう」様子を表現していると、納得していただけたのではないでしょうか。

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