この記事では「足が地に付かない」について解説する。

端的に言えば「足が地に付かない」の意味は「落ち着かない、しっかりしていないこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

教師や講師としても教えることに関わってきた「やぎしち」を呼んです。一緒に「足が地に付かない」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/やぎしち

雑学からビジネス文章まで手掛ける現役ライター。国語の中学・高校教諭の資格も持ち、予備校講師の経験も。言葉を大切にした文章を心掛けている。

「足が地に付かない」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「足が地に付かない(あしがちにつかない)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「足が地に付かない」の意味は?

「足が地に付かない」には、次のような意味があります。

1 緊張や興奮のため心が落ち着かない。
2 考え方や行動が浮ついて、しっかりしていない。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「足が地に付かない」

この言葉は、「気持ちや行動が、落ち着かない、しっかりしていない」という意味の慣用表現です。辞書によっては「足が地にかない」と表記されているものもあります。両方の漢字で押さえておくといいでしょう。

「地」は「地面」を指し、そこに足がついていないのですから、「浮いている」「ふらふらしている」ということになります。その状態にどんな印象を受けるでしょうか。「ワクワクして落ち着かない」気持ちならポジティブに、「落ち着きのない」言動であればネガティブに捉えられるでしょう。文脈によっても変化するため、意味を読み取るようにしてくださいね。「付かない」と否定形になっているように、「足が地に付く」という肯定形での表現もあります。その場合は反対に「言動や気持ちがしっかりしている」という意味になることも覚えておきましょう。

「足が地に付かない」の語源は?

次に「足が地に付かない」の語源を確認しておきましょう。この言葉は、特別な出典からではなく言葉の意味から作られた表現のようです。

「足」には「人間の足」の他に、「何かの支えになるもの」という意味もあります。「足腰が強い組織(活動基盤がしっかりしている組織)」などの言い方を聞いたことがあるでしょうか。これが気持ちや言動に対しても使われるようになって生まれたのが「足が地に付かない」という表現だと考えられるのです。支えがなければぐらぐら揺れ動いてしまいますから、気持ちは移り変わりやすく、物事も安定しないということになります。「不安定さ」を感じる言葉と言ってもいいかもしれません。

\次のページで「「足が地に付かない」の使い方・例文」を解説!/

「足が地に付かない」の使い方・例文

「足が地に付かない」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

・最近の彼女は、人生を保証してくれるパートナーに巡り合えたとか言って、遅刻や仕事のミスも多く、足が地に付かない様子だ。

・空手の試合を前に、心臓がどきどきして感情が抑えられず、こんな足が地に付かない状態ではとても成長したとは言えないと悲しくなってしまった。

・本の企画を出版研究会に持ち込んだが、そんな内容では正確性が欠けていて、足が地に付いていない企画では全然ダメだと言われ、大失敗してしまった。

「言動が落ち着かない」「現実的ではない」といったニュアンスが伝わりますでしょうか。例文一番目のように、「恋」によるドキドキやワクワクについて述べる際にもよく用いられる表現です。それだけなら前向きな気持ちでいいのですが、「そのせいでミスが多い」などネガティブな意味合いを伴うこともよくあります。

例文三番目のように、「非現実的な」という意味で使われる場合は「根拠や理由付けが弱い」という批判になることも。この表現がネガティブな意味を持ちやすいのは、定着していない=「しっかりしていない」というイメージがあるからでしょうか。みなさんも、人や物事がフワフワしていたらどんな印象を受けるか、想像してみてくださいね。

「足が地に付かない」の類義語は?違いは?

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「足が地に付かない」の類義語は「浮足立つ(うきあしだつ)」がいいでしょう。

「浮足立つ」

「浮足立つ」は「期待や不安などで、現在のことに集中できない」ことを意味する慣用句です。「浮足」とは「足のつま先だけが地面について、ちゃんと地面を踏んでいないこと」。これが転じて「落ち着かない様子」を意味します。まさに「足が地に付かない」と同じですね。こちらも、楽しみなことや心配事の両方に使うことができます。慣用句だけではなく、前後の内容に注目しましょう。

\次のページで「「足が地に付かない」の対義語は?」を解説!/

何かの価格の値上げが発表されるたび、生活が維持できるのかと人々が浮足立つ背景には、現代の物価の高さと賃金の低さが大きく影響している。

「足が地に付かない」の対義語は?

「足が地に付かない」の対義語には「肝が据(す)わる」などがあります。

「肝が据わる」

「肝が据わる」は「度胸がある、少しのことにも気持ちが揺れ動いたりしない」こと。「据わる」は「動じない、安定している」という意味で、「据え置き(すえおき)」と言った場合などに使用されます。「足が地に付か」ず、フラフラしている状態とはまさに逆の状態になりますね。

ただし「肝が据わる」は、「安定している」よりも「勇気・度胸がある」という意味合いが強いことを押さえておきましょう。

どんな切羽詰まった局面でも、彼は自身で熟慮して判断できる肝の据わった人物だ。

「足が地に付かない」の英訳は?

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「足が地に付かない」の英訳は「walking on air」がいいでしょう。

「walking on air」

これは直訳すれば「空気の上を歩く」。足が空中にあることを述べていますが、「足が地に付かない」と同様のイメージが出来るのではないかと思います。注意点として、このフレーズは「良い知らせで有頂天になる」とポジティブなイメージがある言葉です。嬉しすぎて「天にも昇る気分」という表現を聞いたことがあるでしょうか。そのイメージです。考え方や言動が非現実的であると言いたい場合は、「impractical」「unrealistic」などの単語を使うのが良いでしょう。

\次のページで「「足が地に付かない」を使いこなそう」を解説!/

She is walking on air because she passed her first choice.
第一志望に合格して、彼女は足が地に付いていない。

「足が地に付かない」を使いこなそう

この記事では「足が地に付かない」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「有頂天」や「天にも昇る気分」と言えばとても良い表現のように思えますが、確かにそれは地面から離れてしまっている状態であるとも言えます。

幸福は、油断や不注意も招きやすいのかもしれません。「足が地に付いていない」という言葉には、浮かれて失敗しないようにという戒めも含まれているのかもしれませんね。

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【慣用句】「足が地に付かない」の意味や使い方は?例文や類語を元予備校講師がわかりやすく解説!

この記事では「足が地に付かない」について解説する。

端的に言えば「足が地に付かない」の意味は「落ち着かない、しっかりしていないこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

教師や講師としても教えることに関わってきた「やぎしち」を呼んです。一緒に「足が地に付かない」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/やぎしち

雑学からビジネス文章まで手掛ける現役ライター。国語の中学・高校教諭の資格も持ち、予備校講師の経験も。言葉を大切にした文章を心掛けている。

「足が地に付かない」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「足が地に付かない(あしがちにつかない)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「足が地に付かない」の意味は?

「足が地に付かない」には、次のような意味があります。

1 緊張や興奮のため心が落ち着かない。
2 考え方や行動が浮ついて、しっかりしていない。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「足が地に付かない」

この言葉は、「気持ちや行動が、落ち着かない、しっかりしていない」という意味の慣用表現です。辞書によっては「足が地にかない」と表記されているものもあります。両方の漢字で押さえておくといいでしょう。

「地」は「地面」を指し、そこに足がついていないのですから、「浮いている」「ふらふらしている」ということになります。その状態にどんな印象を受けるでしょうか。「ワクワクして落ち着かない」気持ちならポジティブに、「落ち着きのない」言動であればネガティブに捉えられるでしょう。文脈によっても変化するため、意味を読み取るようにしてくださいね。「付かない」と否定形になっているように、「足が地に付く」という肯定形での表現もあります。その場合は反対に「言動や気持ちがしっかりしている」という意味になることも覚えておきましょう。

「足が地に付かない」の語源は?

次に「足が地に付かない」の語源を確認しておきましょう。この言葉は、特別な出典からではなく言葉の意味から作られた表現のようです。

「足」には「人間の足」の他に、「何かの支えになるもの」という意味もあります。「足腰が強い組織(活動基盤がしっかりしている組織)」などの言い方を聞いたことがあるでしょうか。これが気持ちや言動に対しても使われるようになって生まれたのが「足が地に付かない」という表現だと考えられるのです。支えがなければぐらぐら揺れ動いてしまいますから、気持ちは移り変わりやすく、物事も安定しないということになります。「不安定さ」を感じる言葉と言ってもいいかもしれません。

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