今回は「パンスペルミア説」について勉強していこう。

みんなは地球外生命体の存在を信じているか?この広い宇宙に生物がいるのは地球だけなんて信じられないよな。

それにしても地球の生物はどうやって生まれたのでしょう。生化学に詳しいライターAyumiと一緒に解説していきます。

ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

パンスペルミア説

パンスペルミア説とは、生命の起源は宇宙にあるとする説です。まずは、この説を説明する前に生命の起源についての諸説を解説していきます。

生命の起源はどこから?

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地球は水と生命で満ち溢れた青い惑星です。動植物合わせて現在わかっているだけでも数百万種の生物が存在し、見つかっていない種にいたってはその何倍もあるといわれています。しかし、このような生物は地球が誕生した46億年前から存在していたわけではありません。種は生まれては消えを繰り返し、様々な進化を繰り返して今があります。地球誕生を1月1日0時として、現在までを1年のカレンダーにするとどのような歴史になるのか、考えてみたことがありますか?それによると、なんとホモサピエンスが誕生したのは12月31日の午後11時半を過ぎた頃になるのです。さらに西暦元年は11時59分45秒で表わされます。長い地球の歴史の中で、ヒトの歴史がいかに短いかがわかりますね。

さて、今回は地球の生命の起源についての解説です。これは大きく分けて3つの説が唱えられています。それぞれ見ていきましょう。

1.神が生命を生み出した

まず1つ目は「神が生命を作った」という説です。国や地域によって様々な説・神話がありますので、少しだけ紹介していきますね。

1-1.古事記

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昔、地球には空と海だけが存在していました。そこにイザナギとイザナミという2人の神がやってきて、神々の命を受けて国を作り、日本列島(今の本州)ができました。(「古事記」ができた当時、北海道と沖縄は日本に含まれていなかったため含まれていません。)そこに2人が住み始め、結ばれることで島がどんどん増えていきました。これが日本の始まりです。その後は神によってヒトが生み出され、増えていき、今に至ります。

これが日本神話、古事記に記されている生命誕生のストーリーです。

\次のページで「1-2.聖書」を解説!/

1-2.聖書

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聖書では、神が7日間で地球を作ったといわれています。1日目、水と真っ暗な闇だけが存在する世界に神の一言で光が差しました。2日目にはができ、3日目には陸と海がわかれ、地には植物が造られたのです。さらに4日目は太陽と月が造られ、昼と夜がうまれました。5日目には水中生物と鳥、6日目には地上の動物これらを支配するための人間が創造されたといいます。全ての創造が終わったとき、神は世界の完成を宣言し、それを祝ったのが7日目なのです。

これによって1週間は7日であり、日曜日が休日になったという説がありますね。

1-3.北欧神話

古事記や聖書の中では、人間より前に神という存在がいて、神は世界に唯一存在しているものでした。しかし北欧神話では、神が生まれるよりも前、ユミルという巨人が存在していたのです。ユミルは巨人族の祖先となり、その後に神族が生まれます。そして世界を創造するのに巨人族を邪魔に思った神族は、ユミルや他の巨人族を殺し、ユミルの体から世界を創造しました。その後木から人間を造ったのですが、実は巨人族には生き残りがいたのです。そこで巨人から逃れるために海で囲まれた人間の国を造り、その中心に自分たち神族の国を置きました。

北欧神話はあまり馴染みがないかもしれませんが、実はこれに出てくる神々の名前が曜日の語源になっています。それに、ユミルという巨人の名前…どこかで聞いたことがありませんか?

2.生命は長い年月をかけて進化した

2.生命は長い年月をかけて進化した

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皆さんもご存じのように、先述した「神が人間を造った」というのは宗教論として広く知られていますよね。しかし化学的な観点から見れば、生命は長い年月をかけて少しずつ進化して、今のような姿になったという化学進化説が主流でしょう。

生命の存在しない初期の地球にも、水や窒素、二酸化炭素を含む原始大気が存在していました。これらは太陽からの紫外線、放射線や雷などのエネルギーを受けてアミノ酸や糖といった高分子化合物へ変化していったと考えられています。これらの物質は生命の素となるタンパク質、核酸、糖質や脂質の原材料です。さらに海底にある熱水噴出孔からははメタン、水素、硫化水素、アンモニアなどのガスが噴き出すとともに、ミネラルが豊富な環境ということから、有機物の合成に大きく関与したと考えられます。こうして誕生した原始細胞が増え、変化し、種を増やし、時には絶滅しながらも今のように進化していったのです。

\次のページで「3.生命は宇宙からやってきた」を解説!/

3.生命は宇宙からやってきた

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最後に、もう1つの生命の起源として考えられているのが「パンスペルミア説」です。これは生命の起源は宇宙から来たという仮説であり、長く議論がされています。

今わかっている事実として、37億年前の地層にはすでに生命の痕跡があったと話しましたね。採掘された結晶中に存在した管状の微小な構造物が生物由来の化石であるとわかったのです。地球が46億年前に誕生したといわれる中、初期の地球の地層が見つかっただけでも大発見ですが、そこに生命の痕跡があったというのは奇跡に近いでしょう。しかし残念ながらこれ以前の生物の手掛かりは見つかっていません。さらに、地球の長い歴史の中で比較的早い段階で、無機物から有機物、そして生命体へと進化できるものなのか、という疑問が残ります。そこで「他の天体や宇宙空間で発生した微生物の素(微生物そのものやアミノ酸、糖などの有機物)が隕石等によって地球にやってきたのではないか」という説が考えられました。これが生命の起源は宇宙にあるというパンスペルミア説です。

しかし、いずれにしても「宇宙から来たそれらはどうやって生まれた?」「それなら地球以外にももっと生命体の存在する星があってもいいのでは」「そもそも生命体が生まれるのに地球誕生後数年というのは短いのか、十分なのか」などの疑問は残ります。真相が判明するにはまだまだ時間がかかりそうですね。

生命の誕生は奇跡の連続

生命の起源については長年議論されているテーマです。これには大きく分けて3つの説があり、(1)神が想像した、(2)長い年月をかけて進化を重ねた、(3)生命体は宇宙からやってきた、といわれています。広大な宇宙の中、現時点で生命が見つかっている星はまだありません。それにも関わらず、地球上では多種多様な生物が繁栄しています。これは地球が生物にとって住みよい環境であることも理由の1つでしょう。現在は化学進化説が支持されているとはいえ、もしパンスペルミア説が本当であれば、地球と同じように他の星にとっても隕石が生物誕生のきっかけになっているかもしれませんね。今はまだ見つかっていないだけで、地球と同じように生命に満ちた星がどこかにあるかもしれない。そう想像するだけでも楽しいと思いませんか?

 

画像引用:いらすとや

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理科生物細胞・生殖・遺伝

3分で簡単「パンスペルミア説」生命の起源はどこから?元塾講師がわかりやすく解説

今回は「パンスペルミア説」について勉強していこう。

みんなは地球外生命体の存在を信じているか?この広い宇宙に生物がいるのは地球だけなんて信じられないよな。

それにしても地球の生物はどうやって生まれたのでしょう。生化学に詳しいライターAyumiと一緒に解説していきます。

ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

パンスペルミア説

パンスペルミア説とは、生命の起源は宇宙にあるとする説です。まずは、この説を説明する前に生命の起源についての諸説を解説していきます。

生命の起源はどこから?

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地球は水と生命で満ち溢れた青い惑星です。動植物合わせて現在わかっているだけでも数百万種の生物が存在し、見つかっていない種にいたってはその何倍もあるといわれています。しかし、このような生物は地球が誕生した46億年前から存在していたわけではありません。種は生まれては消えを繰り返し、様々な進化を繰り返して今があります。地球誕生を1月1日0時として、現在までを1年のカレンダーにするとどのような歴史になるのか、考えてみたことがありますか?それによると、なんとホモサピエンスが誕生したのは12月31日の午後11時半を過ぎた頃になるのです。さらに西暦元年は11時59分45秒で表わされます。長い地球の歴史の中で、ヒトの歴史がいかに短いかがわかりますね。

さて、今回は地球の生命の起源についての解説です。これは大きく分けて3つの説が唱えられています。それぞれ見ていきましょう。

1.神が生命を生み出した

まず1つ目は「神が生命を作った」という説です。国や地域によって様々な説・神話がありますので、少しだけ紹介していきますね。

1-1.古事記

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昔、地球には空と海だけが存在していました。そこにイザナギとイザナミという2人の神がやってきて、神々の命を受けて国を作り、日本列島(今の本州)ができました。(「古事記」ができた当時、北海道と沖縄は日本に含まれていなかったため含まれていません。)そこに2人が住み始め、結ばれることで島がどんどん増えていきました。これが日本の始まりです。その後は神によってヒトが生み出され、増えていき、今に至ります。

これが日本神話、古事記に記されている生命誕生のストーリーです。

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