みんなは動物園に行ったら何を見る?キリンやゾウ、ライオンにトラ、いろんな動物がいるな。

動物にはいろいろな分類方法がある。その体の特徴から哺乳類や鳥類といった分類もあるし、体温の変化から変温動物、恒温動物という分類もある。ちなみに人間は哺乳類で、恒温動物です。そして今回注目するのは「食べ物」です。動物は食べるものによって肉食、草食そして雑食に分けることができる。動物は食べ物によって目の作りや消化の方法などが異なるんです。

今回は肉食動物の仲間やその特徴について、子供のころの夢は獣医だったというたかはしふみかが解説していきます。

ライター/たかはし ふみか

歴代のペットは文鳥、ウサギ、ハムスター、亀という家庭に育ち高校時代は生物部に入り浸っていた科学館職員。工学部化学系出身で和牛をお腹いっぱい食べること、海豚(イルカ)と泳ぐことが夢のリケジョ。

肉食動物とは?

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肉食動物とはどんな動物でしょうか。肉食動物と聞くと、弱い動物を捕まえて食べるイメージがありますね。

その定義を調べると肉食動物とは「生きている動物を食べる動物」のことを指します。また医学生物学としての肉食動物は「セルロース分解酵素を持たない動物」のことを指すのです。セルロースとは植物細胞の細胞壁を構成する多糖のことで、聞いたことのある人も多いでしょう。ただし、この定義だと例えば自分はセルロース分解酵素を持たず、胃の中にいる微生物によってセルロースを分解する牛も肉食動物となってしまいます。ヒトをはじめ多くの動物は分解酵素を持たず、消化することができないのです。

なのでまずは肉食動物とは動物を捕まえて肉を食べる動物、というイメージでよいでしょう。

肉食動物と栄養

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ヒトである皆さんは子供の頃、お母さんから野菜もしっかりと食べるよう言われてきたでしょう。しかし、肉食動物は野菜を食べなくても元気です。なぜでしょうか?

ライオンたち肉食動物は野菜を食べずに肉ばかり食べていても、特に体調を崩すことがありません。肉食動物が肉ばっかり食べても栄養バランスがとれているポイントは、食べている肉にあります。肉食動物が食べているのは基本的に草食動物です。そして草食動物は草を食べています。つまり肉食動物は草食動物が食べることで、草食動物が摂取した植物の栄養を間接的に摂取しているのです。肉食動物は草食動物の肉だけでなく、内臓も食べます。草食動物が消化した植物なら肉食動物も消化することができ、ここで植物の栄養を取り入れているのです。

草食動物と雑食動物

草食動物と雑食動物

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ところで、肉食以外の動物はどのように分類されるのでしょうか?

肉食動物が肉であることに対して草を食べる動物を草食動物、肉も植物も食べる動物を雑食動物というふうに分類します。肉も野菜も食べるヒトは雑食動物ですね。そのほか雑食動物には猿や犬がいます。動物はその食べる物によって体の特徴が大きく異なり、この特徴については後程説明しますね。

他にもある動物の分類方法については、こちらの記事を参考にしてください。

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肉食動物の仲間

ここでどんな動物が肉食動物か紹介します。

ライオン

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肉食動物といえばやっぱりライオンです。ライオンはネコ科の生き物で、オスの立派なたてがみが特徴。1日のほとんどを寝そべってゆっくりと過ごしています。その一方、狩りの時は獰猛に活動しているのですね。

ライオンは動物園では5㎏分ほどの鶏肉や牛肉を食べています。

トラ

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トラはライオンと同じくネコ科で、ネコ科最大の動物です。黄色の体に入った黒い縞模様が特徴。トラが縞模様である理由は、やぶなどに溶け込みやすいからです。単独で狩りを行い、茂みに価格れながら獲物を狙います。鋭いかぎ爪が、トラの武器です。

シャチ

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かわいい見た目に反して獰猛なシャチ。なんとサメやクジラも食べてしまいます。そのため、海洋系での食物連鎖の頂点に立つ生き物とされているのです。

ちなみにシャチは哺乳類で、高い知能を持っていると言われています。獰猛なイメージの一方、無駄な狩りはせず人間に危害を加えた事例もじゃれようとした、仲間に危害を加えたことへの復讐ではないかと考えられているのです。肉食動物の体の作りをしていて力加減ができていないだけで、本当はシャチも人間と仲良く暮らせる生き物なのかもしれませんね。

肉食動物の体の特徴

肉食動物の体の特徴を草食動物、雑食動物と比較しながら解説していきます。

目はどんなふうについてる?

肉食動物は動いている獲物を捕まえる必要があります。そのため、肉食動物は獲物までの距離を正確に測る必要があるのです。例えばヒトも、片方の目をつぶると距離感が鵜かしくなってしまいます。肉食動物は2つの目でしっかりと獲物を捕らえ、距離感を感じ取っているのですね。

一方の草食動物。草食動物は肉食動物に襲われる側となります。そのため草食動物は肉食動物に襲われることに備えて周囲への注意を怠ることはできません。そのため草食動物の視野は300度以上の広範囲となっています。ちなみにヒトの視野は200度程度、肉食動物はそれよりも少し広い程度です。

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短距離ランナーVS長距離ランナー

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獲物を捕まえる肉食動物と追手から逃げる草食動物、どちらの方が足が速いのでしょうか。

肉食動物の勝負は一瞬、狙った相手を一気に捕まえます。短時間で一気に仕留めるため、瞬発力はあるけどスタミナはないのが特徴です。ちなみに足の速い生き物といえばチーターですが、チーターは時速90~120㎞もの速さで獲物を追いかけます。

一方、敵から逃げなくてはいけない草食動物はどれだけ長く走れるかが重要です。また、新たなえさ場を求めるために移動するので肉食動物よりもスタミナがあります

食べ物で違う歯と消化器官

植物は肉食動物の定義でもちらっと説明したように、細胞壁があります。細胞壁は固く、簡単には消化できません。そのため草食動物は臼歯が発達していて草がすりつぶしやすく、腸が長くなっています。また牛やヤギ、キリンなどは食べて一度飲み込んで胃で消化したものを再び口に戻し、再び噛んで飲み込むを繰り返すのです。この消化方法を反芻(はんすう)といいます。

一方の肉食動物。肉食動物は鋭い犬歯を持ち、それで動物を噛み殺すのです。そして臼歯がはさみの役割を、門歯は肉を骨から引き離す役割を果たします。植物に比べると細胞壁のない動物の肉は消化が簡単です。そのため肉食動物の腸は草食動物よりも短くなっています。もし肉食動物がそのまま植物を食べても消化できません。だからそい職動物を食べることで、草食動物が消化した栄養素を取り入れているのですね。

さて、雑食動物はどうでしょうか。雑食動物の腸は、肉食動物と草食動物の間くらいの長さです。雑食動物も消化酵素を持たないためセルロースを分解できません。そのため、体内細菌によって消化が行われます。しかそ、多くはそのまま未消化で排出されてしまうのです。

食物連鎖と肉職動物

食物連鎖とは動植物の食べて食べられてという関係のことです。ヒトが食べる魚はプランクトンを食べ、牛は草を食べています。このように動物は植物や、他の生物を食べた動物を食べて暮らしているのです。

食物連鎖は何から始まるのでしょうか。植物連鎖の始まりは他の生き物を食べることはなく、光合成によって育った緑色植物です。食物連鎖は生産者である緑色植物から始まり、それを草食動物(第1次消費者)小型肉食動物(第2次消費者)大型肉食動物(第3次消費者)と食べていきます。植物や植物を摂取した動物などを食べる生き物を消費者と呼ぶのです。なお、第3次消費者の大型肉食動物が第1次消費者の草食動物を食べることもあります。また食べる側(消費者)を捕食者、食べられる側(生産者や弱い動物)を被食者という呼び方もあるのです。

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食物連鎖は生産者である植物が最も多く、捕食されるにつれ数が減っていきます。この関係を表したのが「生態ピラミッド」です。一時的にこの関係が変わってしまっても時間がたつとともにこの関係は戻ります。ただし環境破壊や乱獲などによって生態系が壊れてしまうと戻ることができなくなってしまうことがあるのです。

植物が育つのに必要な光合成についてはこちらの記事を参考にしてください。

\次のページで「「肉」を「食」べる肉食動物」を解説!/

「肉」を「食」べる肉食動物

肉食動物といえばライオンやトラなどちょっと怖いイメージがありますね。肉食動物は獲物を捕らえるのに適した体となっています。そのため、足が速い一方で持久力がないという弱点もあるのです。また肉食動物は固いセルロースを消化する必要がないため草食動物に比べて腸が短く、歯は獲物を噛み殺して肉を引き裂くのに適した構造となっています。自分で植物を食べない代わりに、肉食動物は捕らえた草食動物の消化器官から栄養を取り入れているのです。

肉も野菜も食べるヒトは雑食動物に分類されます。タンパク質もビタミンや食物繊維もヒトの体に大切な栄養素です。バランスよく食べて健康に過ごしたいですね。

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理科生物生物の分類・進化

「肉食動物」ってどんな動物?科学館職員がわかりやすく解説!

短距離ランナーVS長距離ランナー

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獲物を捕まえる肉食動物と追手から逃げる草食動物、どちらの方が足が速いのでしょうか。

肉食動物の勝負は一瞬、狙った相手を一気に捕まえます。短時間で一気に仕留めるため、瞬発力はあるけどスタミナはないのが特徴です。ちなみに足の速い生き物といえばチーターですが、チーターは時速90~120㎞もの速さで獲物を追いかけます。

一方、敵から逃げなくてはいけない草食動物はどれだけ長く走れるかが重要です。また、新たなえさ場を求めるために移動するので肉食動物よりもスタミナがあります

食べ物で違う歯と消化器官

植物は肉食動物の定義でもちらっと説明したように、細胞壁があります。細胞壁は固く、簡単には消化できません。そのため草食動物は臼歯が発達していて草がすりつぶしやすく、腸が長くなっています。また牛やヤギ、キリンなどは食べて一度飲み込んで胃で消化したものを再び口に戻し、再び噛んで飲み込むを繰り返すのです。この消化方法を反芻(はんすう)といいます。

一方の肉食動物。肉食動物は鋭い犬歯を持ち、それで動物を噛み殺すのです。そして臼歯がはさみの役割を、門歯は肉を骨から引き離す役割を果たします。植物に比べると細胞壁のない動物の肉は消化が簡単です。そのため肉食動物の腸は草食動物よりも短くなっています。もし肉食動物がそのまま植物を食べても消化できません。だからそい職動物を食べることで、草食動物が消化した栄養素を取り入れているのですね。

さて、雑食動物はどうでしょうか。雑食動物の腸は、肉食動物と草食動物の間くらいの長さです。雑食動物も消化酵素を持たないためセルロースを分解できません。そのため、体内細菌によって消化が行われます。しかそ、多くはそのまま未消化で排出されてしまうのです。

食物連鎖と肉職動物

食物連鎖とは動植物の食べて食べられてという関係のことです。ヒトが食べる魚はプランクトンを食べ、牛は草を食べています。このように動物は植物や、他の生物を食べた動物を食べて暮らしているのです。

食物連鎖は何から始まるのでしょうか。植物連鎖の始まりは他の生き物を食べることはなく、光合成によって育った緑色植物です。食物連鎖は生産者である緑色植物から始まり、それを草食動物(第1次消費者)小型肉食動物(第2次消費者)大型肉食動物(第3次消費者)と食べていきます。植物や植物を摂取した動物などを食べる生き物を消費者と呼ぶのです。なお、第3次消費者の大型肉食動物が第1次消費者の草食動物を食べることもあります。また食べる側(消費者)を捕食者、食べられる側(生産者や弱い動物)を被食者という呼び方もあるのです。

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食物連鎖は生産者である植物が最も多く、捕食されるにつれ数が減っていきます。この関係を表したのが「生態ピラミッド」です。一時的にこの関係が変わってしまっても時間がたつとともにこの関係は戻ります。ただし環境破壊や乱獲などによって生態系が壊れてしまうと戻ることができなくなってしまうことがあるのです。

植物が育つのに必要な光合成についてはこちらの記事を参考にしてください。

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