
端的に言えば膝が抜けるの意味は「ズボンの膝の部分が伸びる」または「膝に力が入らなくなる」ですが、幅広い意味やニュアンス、もう一つの意味を理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
国語力だけでこれまでの社会人生活を乗り切ってきたライター、ヤザワナオコに、「膝が抜ける」の意味や例文、類語などを説明してもらおう。
ライター/ヤザワナオコ
コールセンターの電話応対指導やマナー講師、テレビ番組の字幕製作経験もあるライター、ヤザワナオコ。
デスクワークが中心の日は、ジーンズだと膝が抜けてしまうから、はかないようにしているらしい。膝が抜けるとはどんなときに使う言葉なのか、解説してもらう。
「膝が抜ける」の意味は?
慣用句としての「膝が抜ける」には、次のような意味があります。
1.衣服の膝の部分が、すり切れたり伸びて前方に突き出たりする。
2.膝に力が入らなくなる。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
このように、慣用句として使われる「膝が抜ける」には2つの意味があります。
1つ目は、ズボン姿で長時間正座をしたときなどに起こりやすい、ズボンの膝の部分に跡がついてしまう状態。脱いだあとも膝があった箇所がはっきりわかるくらい、伸びた形を保ってしまうことがありますね。ライター紹介にもありましたが、筆者は座って仕事をする時間が長いので、ジーンズのように跡がつきやすいズボンではなく、スカートか柔らかい素材のズボンをはくことが多いです。お昼の休憩や仕事後に立ったときに、ぽこっと前に出た跡がついているとなんとも情けない気分になるんですよね…。
2つ目は、足を酷使したあとや精神的なショックから膝に力が入らなくなる状態。登山やスポーツで脚を使いすぎて疲れたときによく使います。また、あまりに驚いたりショックを受けたりして足ががくがくしてしまった場合にも使える表現ですよ。
「膝が抜ける」の語源は?
次に「膝が抜ける」の語源を確認しておきましょう。
まず辞書で言う1つ目の意味について。ズボンの膝の部分が伸びて膝の形になってしまっていることを、「膝が出ている」とも言いますから、そこから「抜ける」と言われるようになったのではないでしょうか。次に2つ目の意味について。こちらは単純明快、「膝の力が抜ける」→「膝が抜ける」となったと思われます。
運動後でなくても膝が抜けるのは病気?
ここで、慣用句ではありませんが実際に「膝が抜ける」と表現される症状についても簡単に押さえておきましょう。
歩いているだけなのに突然膝が「カクン」となり力が抜けることがありませんか。これは膝折れ現象とか膝崩れと呼ばれるもので、急に膝の向きを変えた場合や、階段などで起こりやすいとか。皆さんの中にも、そんな症状を経験した方もいらっしゃるでしょうか。
加齢により大腿四頭筋(いわゆる太ももの筋肉)が衰えたことが原因の場合もあれば、変形性膝関節症や前十字靭帯損傷などの病気が隠れている可能性もあります。日常生活に筋トレやウォーキングを取り入れて改善すればいいのですが、疾患があると手術など治療が必要になるケースも。気になる場合はぜひ整形外科などの医療機関を受診しましょう。
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