
3分で簡単「麦芽糖」炭水化物や肥満との関連について医学系研究アシスタントがわかりやすく解説!

ライター/mimosa
もともと文系出身で、独学で生物学、生化学を勉強し、現在医学系研究所の研究アシスタントとして理系の世界へ飛び込んだ。理科が苦手な方へも興味を持ってもらうべくわかりやすい説明を心掛けている。
炭水化物とは

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栄養素の中で「炭水化物」は私たちのからだに必要な5大栄養素の内の一つです。主にエネルギー源になる物質です。特にグルコース(ブドウ糖)は脳、神経系、赤血球などの唯一のエネルギー源なのですよ。炭水化物は「糖質」とも言われますね。炭水化物は、炭素、水素、酸素の3元素から構成されています。分子式がCn(H2O)mと表されるので(n, mは数字の代わり)炭水化物と呼ばれるのですね。ヒト以外の生物では、植物だと、セルロースと言って細胞壁の成分だったり、キチンと言って、昆虫や甲殻類の骨格の成分だったりします。
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炭水化物の分類

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炭水化物(糖質)は、グルコース、フルクトース(果糖)、ガラクトースなどの単糖類と、単糖が2分子結合した形のスクロース(ショ糖)・マルトース(麦芽糖)などの二糖類と、単糖が多数結合した形の多糖類(デンプン、グリコーゲンなど)に分けられますよ。体内に吸収される時は、最小単位の単糖類に分解されます。
単糖類の話になりますが、ガラクトースは、グルコースよりも甘みは少ないのですよ。スクロースですが、甘味料の白砂糖の成分です。これはブドウ糖と果糖の両方から構成されています。健康によいとされているオリゴ糖は、特に定義はなく、二種類以上のものに使用される表現です。オリゴ糖入りの甘味料は薬局やスーパーでも簡単に手に入りますね。
体内での炭水化物の分解

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先ほど触れた「βアミラーゼ」ですが、これは加水分解酵素であって、ある物質に水を加えて分解する反応を助けます。これは、化学反応の前後でそれ自身は変化しませんが、反応の速度を変化させる物質なのですよ。炭水化物(糖質)の種類も覚えたら、それぞれの分解酵素の名前も覚えるといいですね。
炭水化物分解酵素は、アミラーゼ、マルターゼ、ラクターゼ、スクラーゼがありますよ。アミラーゼは唾液に含まれていてデンプンを分解することは中学校の理科で習いますが、アミラーゼはすい液にも含まれているのですよ。グリコーゲンを麦芽糖に変えてくれます。他の消化酵素は小腸の上皮細胞から分泌され、マルターゼはマルトースをグルコースへ、ラクターゼはラクトースをグルコースに、スクラーゼはスクロースをフルクトースに変えてくれますよ。
麦芽糖とは

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麦芽糖の「麦芽」とは、小麦や大麦の種子を発芽させたものなのですよ。麦芽には、βアミラーゼというアミラーゼの一種の酵素が含まれていますよ。大麦の持つβアミラーゼが分解することで麦芽糖を生成することができるのですよ。麦芽糖の発酵作用が腸のぜん動運動(食べたものを、腸が伸びたり縮んだりして動かして体外へ排出する動き)を促進するので、麦芽糖は便秘解消にも効果がありますよ。このことを利用して、「マルツエキス」という名前として赤ちゃんの便秘薬にも使われていますよ。また、人工甘味料ではなく、甘さも少ないので虫歯になりにくいのですよ。甘さも少なく、腸で吸収されないので、他の糖質に比べるとダイエットのサポートをしてくれますよ。
麦芽糖のほとんどはトウモロコシで作られたもの、大麦からつくられたものですが、麦芽糖入りの食品でもアナフィラキシーを起こしたという事例も多くはないですが報告されていますので、食物アレルギーのある方は注意が必要ですね。
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