最近、「糖質オフ」や「低糖質」という言葉をよく聞く。よく似た言葉で「糖類」と「糖質」という言葉がありますがそれぞれ違うものです。健康維持やダイエットする際に、麦芽糖や他の糖類と消化酵素について知っておくと役に立つかもしれませんね。このことについて医学系研究アシスタントのライターmimosa(ミモザ)と一緒に解説していきます。

ライター/mimosa

もともと文系出身で、独学で生物学、生化学を勉強し、現在医学系研究所の研究アシスタントとして理系の世界へ飛び込んだ。理科が苦手な方へも興味を持ってもらうべくわかりやすい説明を心掛けている。

炭水化物とは

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栄養素の中で「炭水化物」は私たちのからだに必要な5大栄養素の内の一つです。主にエネルギー源になる物質です。特にグルコース(ブドウ糖)は脳、神経系、赤血球などの唯一のエネルギー源なのですよ。炭水化物は「糖質」とも言われますね。炭水化物は、炭素、水素、酸素の3元素から構成されています。分子式がCn(H2O)mと表されるので(n, mは数字の代わり)炭水化物と呼ばれるのですね。ヒト以外の生物では、植物だと、セルロースと言って細胞壁の成分だったり、キチンと言って、昆虫や甲殻類の骨格の成分だったりします。

炭水化物の分類

炭水化物の分類

image by Study-Z編集部

炭水化物(糖質)は、グルコースフルクトース(果糖)ガラクトースなどの単糖類と、単糖が2分子結合した形のスクロース(ショ糖)・マルトース(麦芽糖)などの二糖類と、単糖が多数結合した形の多糖類(デンプン、グリコーゲンなど)に分けられますよ。体内に吸収される時は、最小単位の単糖類に分解されます。

単糖類の話になりますが、ガラクトースは、グルコースよりも甘みは少ないのですよ。スクロースですが、甘味料の白砂糖の成分です。これはブドウ糖果糖の両方から構成されています。健康によいとされているオリゴ糖は、特に定義はなく、二種類以上のものに使用される表現です。オリゴ糖入りの甘味料は薬局やスーパーでも簡単に手に入りますね。

体内での炭水化物の分解

体内での炭水化物の分解

image by Study-Z編集部

先ほど触れた「βアミラーゼ」ですが、これは加水分解酵素であって、ある物質に水を加えて分解する反応を助けます。これは、化学反応の前後でそれ自身は変化しませんが、反応の速度を変化させる物質なのですよ。炭水化物(糖質)の種類も覚えたら、それぞれの分解酵素の名前も覚えるといいですね。

炭水化物分解酵素は、アミラーゼ、マルターゼ、ラクターゼ、スクラーゼがありますよ。アミラーゼは唾液に含まれていてデンプンを分解することは中学校の理科で習いますが、アミラーゼはすい液にも含まれているのですよ。グリコーゲンを麦芽糖に変えてくれます。他の消化酵素は小腸の上皮細胞から分泌され、マルターゼはマルトースをグルコースへ、ラクターゼはラクトースをグルコースに、スクラーゼはスクロースをフルクトースに変えてくれますよ。

麦芽糖とは

麦芽糖とは

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麦芽糖の「麦芽」とは、小麦や大麦の種子を発芽させたものなのですよ。麦芽には、βアミラーゼというアミラーゼの一種の酵素が含まれていますよ。大麦の持つβアミラーゼが分解することで麦芽糖を生成することができるのですよ。麦芽糖の発酵作用が腸のぜん動運動(食べたものを、腸が伸びたり縮んだりして動かして体外へ排出する動き)を促進するので、麦芽糖は便秘解消にも効果がありますよ。このことを利用して、「マルツエキス」という名前として赤ちゃんの便秘薬にも使われていますよ。また、人工甘味料ではなく、甘さも少ないので虫歯になりにくいのですよ。甘さも少なく、腸で吸収されないので、他の糖質に比べるとダイエットのサポートをしてくれますよ。

麦芽糖のほとんどはトウモロコシで作られたもの、大麦からつくられたものですが、麦芽糖入りの食品でもアナフィラキシーを起こしたという事例も多くはないですが報告されていますので、食物アレルギーのある方は注意が必要ですね。

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麦芽糖を使用した食品

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麦芽糖の「麦芽」とは、大麦の種子を発芽させたもので、ビール、ウイスキー、水あめの原料になりますよ。ちなみに、麦芽を英語で言うとmalt(モルト)なのですよ。ビールやウイスキーでも「モルト」と言う言葉がついた製品は多いですね。水あめ状の人工甘味料で還元麦芽糖水飴を使用し、甘みを加えるためにスクラロースを使用していますよ。甘味は砂糖とほぼ変わらないのに、砂糖使用時に比べカロリー大幅カットは嬉しいですね。また、体に吸収されるスピードもゆるやかなので、食後の血糖値の急上昇を抑えますよ。

麦芽糖以外の甘味料

上記で紹介したスクラロース入りの人工甘味料、あと植物由来成分入りのローカロリーな甘味料もありますよ。ラカンカやステビアですね。ラカンカは、14%が果糖ですが、それ以外は小腸で吸収されないテルペン配糖体であり、甘味料で珍しくビタミンEが含まれているそうです。ステビアは、砂糖の250~350倍もの甘みがありますよ。また、この甘みは糖類によるものではなく、ステビオサイドなどのジテルペン配糖体なのですよ。摂取カロリー抑制、砂糖摂取よりも虫歯のリスクが減りますよ。

高血糖がもたらすもの

他の記事でも触れましたが、体内で糖代謝がうまくいかない、過剰に糖質を摂取してしまったときに高血糖状態が続くことによって、体に不調が起きたり、病気になってしまいます。下記、2つほど説明しますね。

肥満と糖尿病

糖質を摂りすぎると、肝臓は過剰に増えたブドウ糖を取り込み切れません。そしてブドウ糖は中性脂肪に変化し、脂肪組織として体内に蓄積されてしまいます。2型の糖尿病は、遺伝、加齢、喫煙、運動不足、肥満などの生活習慣が原因となって、血糖値を下げてくれるインスリンの分泌量が減少してしまう病気です。血糖濃度が高いままが続けば、血管にダメージが加わり、眼、脳、心臓、足、腎臓、皮膚に深刻なダメージを与えますよ。

糖質について調べてみましょう

よく身近で聞かれるようになった「糖質」や「糖類」と言う言葉。両者まったく違う意味でしたね。スーパーやネットショップで商品を選ぶ際に是非「糖質」と「糖類」の違いを加味してお買い物をすると良いのではないでしょうか。麦芽糖は腸で吸収されにくい、甘さ控えめ、人工甘味料ではないので、日々の食事に取り入れてみてもいいかもしれませんね。麦芽糖は市販もされていますが、食品にアレルギーのある方は購入の際に注意が必要ですね。アレルギーがなくても体調がすぐれない時の摂取もどの食品でもそうですが、いつも以上に使用の検討をしてみてくださいね。

麦芽糖は、ダイエットのサポートに良いと書きましたが、麦芽糖も糖質にはわかりないので、摂取しすぎると肥満の原因になってしまいますよ。また、糖質の過剰摂取は肥満や2型糖尿病を招きかねませんが、完全に糖質摂取を絶つことは非常に難しいと思います。麦芽糖や他の糖質について調べてみて、上手に糖質コントロースすると良いですね。

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タンパク質と生物体の機能理科生物

3分で簡単「麦芽糖」炭水化物や肥満との関連について医学系研究アシスタントがわかりやすく解説!

最近、「糖質オフ」や「低糖質」という言葉をよく聞く。よく似た言葉で「糖類」と「糖質」という言葉がありますがそれぞれ違うものです。健康維持やダイエットする際に、麦芽糖や他の糖類と消化酵素について知っておくと役に立つかもしれませんね。このことについて医学系研究アシスタントのライターmimosa(ミモザ)と一緒に解説していきます。

ライター/mimosa

もともと文系出身で、独学で生物学、生化学を勉強し、現在医学系研究所の研究アシスタントとして理系の世界へ飛び込んだ。理科が苦手な方へも興味を持ってもらうべくわかりやすい説明を心掛けている。

炭水化物とは

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栄養素の中で「炭水化物」は私たちのからだに必要な5大栄養素の内の一つです。主にエネルギー源になる物質です。特にグルコース(ブドウ糖)は脳、神経系、赤血球などの唯一のエネルギー源なのですよ。炭水化物は「糖質」とも言われますね。炭水化物は、炭素、水素、酸素の3元素から構成されています。分子式がCn(H2O)mと表されるので(n, mは数字の代わり)炭水化物と呼ばれるのですね。ヒト以外の生物では、植物だと、セルロースと言って細胞壁の成分だったり、キチンと言って、昆虫や甲殻類の骨格の成分だったりします。

炭水化物の分類

炭水化物の分類

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炭水化物(糖質)は、グルコースフルクトース(果糖)ガラクトースなどの単糖類と、単糖が2分子結合した形のスクロース(ショ糖)・マルトース(麦芽糖)などの二糖類と、単糖が多数結合した形の多糖類(デンプン、グリコーゲンなど)に分けられますよ。体内に吸収される時は、最小単位の単糖類に分解されます。

単糖類の話になりますが、ガラクトースは、グルコースよりも甘みは少ないのですよ。スクロースですが、甘味料の白砂糖の成分です。これはブドウ糖果糖の両方から構成されています。健康によいとされているオリゴ糖は、特に定義はなく、二種類以上のものに使用される表現です。オリゴ糖入りの甘味料は薬局やスーパーでも簡単に手に入りますね。

体内での炭水化物の分解

体内での炭水化物の分解

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先ほど触れた「βアミラーゼ」ですが、これは加水分解酵素であって、ある物質に水を加えて分解する反応を助けます。これは、化学反応の前後でそれ自身は変化しませんが、反応の速度を変化させる物質なのですよ。炭水化物(糖質)の種類も覚えたら、それぞれの分解酵素の名前も覚えるといいですね。

炭水化物分解酵素は、アミラーゼ、マルターゼ、ラクターゼ、スクラーゼがありますよ。アミラーゼは唾液に含まれていてデンプンを分解することは中学校の理科で習いますが、アミラーゼはすい液にも含まれているのですよ。グリコーゲンを麦芽糖に変えてくれます。他の消化酵素は小腸の上皮細胞から分泌され、マルターゼはマルトースをグルコースへ、ラクターゼはラクトースをグルコースに、スクラーゼはスクロースをフルクトースに変えてくれますよ。

麦芽糖とは

麦芽糖とは

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麦芽糖の「麦芽」とは、小麦や大麦の種子を発芽させたものなのですよ。麦芽には、βアミラーゼというアミラーゼの一種の酵素が含まれていますよ。大麦の持つβアミラーゼが分解することで麦芽糖を生成することができるのですよ。麦芽糖の発酵作用が腸のぜん動運動(食べたものを、腸が伸びたり縮んだりして動かして体外へ排出する動き)を促進するので、麦芽糖は便秘解消にも効果がありますよ。このことを利用して、「マルツエキス」という名前として赤ちゃんの便秘薬にも使われていますよ。また、人工甘味料ではなく、甘さも少ないので虫歯になりにくいのですよ。甘さも少なく、腸で吸収されないので、他の糖質に比べるとダイエットのサポートをしてくれますよ。

麦芽糖のほとんどはトウモロコシで作られたもの、大麦からつくられたものですが、麦芽糖入りの食品でもアナフィラキシーを起こしたという事例も多くはないですが報告されていますので、食物アレルギーのある方は注意が必要ですね。

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