我々は毎日食事をし、からだに栄養素を吸収して健康に生活できている。食べたものはどのように体内で吸収しているのか。様々な栄養素がありますが、今回はその中でも「脂質」について見ていきます。「脂質」は体内でどのように分解されて体内で吸収されるか興味深いな。このことについて 医学系研究アシスタントのライターmimosa(ミモザ)と一緒に解説していきます。

ライター/mimosa

もともと文系出身で、独学で生物学、生化学を勉強し、現在医学系研究所の研究アシスタントとして理系の世界へ飛び込んだ。理科が苦手な方へも興味を持ってもらうべくわかりやすい説明を心掛けている。

からだに必要な栄養素

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ヒトが必要な栄養素は炭水化物、脂肪、たんぱく質、無機塩類(ミネラル)、ビタミンの5種類があります。そのうちの炭水化物、脂肪、タンパク質の3種類は三大栄養素と言って特に大量に必要な栄養素です。ミネラルとビタミンは副栄養素と言って、少量の摂取で良いのですが、それぞれからだの調節作用と関係が深いのです。

三大栄養素

上記でふれた五大栄養素の内で特に大量に必要な炭水化物、脂肪、たんぱく質の三大栄養素について説明しますね。まず一つ目が「炭水化物」ですよ。主にエネルギー源として使われます。二つ目に「脂肪」です。脂肪と聞くと、不要なもののイメージがあるかもしれまんせんが、貯蔵のできるエネルギー源として重要なのですよ。 三つ目は「たんぱく質」です。エネルギー源としても使われますが、細胞の構成成分としてもまた、酵素の主成分としても重要ですよ。たんぱく質の中には、体内で合成できない必須アミノ酸があります。これらは食物として体内に取り込む必要がありますよ。

副栄養素

副栄養素の中でまず、ミネラルについて説明しますね。鉄(Fe)は血液中のヘモグロビンの主な成分ですよ。カルシウム(Ca)は歯や骨以外にも血液凝固にも関わっていますよ。ナトリウム(Na)は体液濃度の調節、活動電位の発生、カリウム(K)は活動電位の発生、体液濃度の調節に関わっています。

次はビタミンについて説明しますね。ビタミンは種類が多いので、簡単に説明しますね。主なヒトのビタミンは、ビタミンA、B群、ナイアシン、C、D、E、Kです。その中でも大きく水溶性と脂溶性の二つに分かれます。水溶性はビタミンB1、 B2、 B6、 B12、C、ナイアシンであり、そのほかのものは脂溶性(油に溶ける)となっています。

脂質とは

炭素、水素、酸素の3元素から成り立っていますが、炭水化物に比べて酸素が少なく、リンや窒素を含むものも。脂質は、ホルモンは細胞膜などの構成成分として生物体内で利用され、さらにビタミンA、D、Eなどの脂溶性ビタミンの腸からの吸収を助ける働きをしています。

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脂肪の代謝

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ヒトは、口から肛門までの長い消化管があります。消化管には消化液を分泌する消化腺がついていますよ。口では、耳下腺、顎下腺、舌下腺から唾液を分泌し、胃では、強酸の胃液が出ます。そして、十二指腸と膵臓(すい臓)という臓器が脂質の分解、代謝に関わっていますよ。膵臓は、肝臓の近くにある葉状の器官で、消化液として膵液を分泌し、ホルモンの分泌も行う役割を持っています。

同化と異化

ダイエットを考える上でも「代謝」という重要なキーワードがありますね。脂肪以外でも、小腸の壁から吸収された栄養分は、すぐに体の各部に送られて、筋肉や血球などの体の組織をつくる素になる体構成物質を合成し、その筋肉を使って運動すれば分解されてエネルギー源になります。このような合成や分解のことを合わせて「代謝」と呼びますよ。さらに、この合成の事を「同化」と言い、分解の方を「異化(いか)」と言いますよ。

もしも摂取したものが全部代謝されず、余分なものが肝臓で一時的に蓄えられたり皮下脂肪として皮下に蓄えられたりします。内臓にも脂肪は蓄積し、いわゆる「内臓脂肪」として蓄えられてしまいますよ。「皮下脂肪」、「内臓脂肪」という言葉を聞くだけで恐ろしいですよね。

脂肪を分解する消化酵素

脂肪を分解する消化酵素

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消化酵素とは、消化に関する酵素ですよ。表の一番下にあるリパーゼは、脂肪を脂肪酸とグリセリンに分解しますよ。食品に含まれる脂肪の多くは、中性脂肪の形をしています。脂肪は体内に入ると、まず十二指腸で胆汁により乳化されますよ。乳化とは、本体交じり合わない液体同士が混じりあうことですよ。 脂肪は油ですが、加水分解されるので、水と油が混じりあうことになりますよ。次に膵臓からの消化酵素リパーゼによってモノグリセリド(脂肪酸を一つつけたまま)と脂肪酸、グリセロールなどに分解されます。水に溶けやすいグリセロールはそのまま小腸上皮細胞から吸収されますが、モノグリセリドと脂肪酸は、また吸収されるまでに一段階ありますよ。

膵臓とは

膵臓とは

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上記で、膵臓が脂質の分解、代謝に関わっていると触れましたが、この章で詳しく膵臓について見ていきましょうね。膵臓とは、膵液と呼ばれる消化酵素を含む液体を分泌し、それを消化管に送り込みますよ。膵臓は外分泌部が体積の95%以上で構成されていて、膵液を分泌します。残りは、ランゲルハンス島と呼ばれる内分泌部となりますよ。

また、インスリンを分泌して上がりすぎた血糖値を下げる働きもしていますよ。インスリンはランゲルハンス島のβ細胞から分泌されています。逆に、血糖値を上昇させるグルカゴンはα細胞から分泌されますよ。

膵液とは

膵液は膵臓から分泌されますよ。膵液に含まれている消化酵素は三大栄養素すべてを消化できますよ。リパーゼは、胆汁で乳化された脂肪を脂肪酸とモノグリセリドに分解します。トリプシンとキモトリプシンはたんぱく質を消化しますよ。 またキモトリプシンは膵臓が消化酵素で消化されないように守っているのではないかともいわれていますよ。また、膵液には炭酸水素ナトリウムが含まれていて弱アルカリ性なのですね。このことによって、胃から送られてきた酸性の内容物を中和して膵液の消化酵素が十分働くようにしています。

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膵臓の病気

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膵臓は胃の裏側に位置している、消化器官です。膵臓の機能が低下すると、消化液の分泌不足により消化不良を起こしたり、インスリン分泌不足にて糖尿病を発症したりします。その他、膵臓の病気を2つ説明していきますね。

膵炎

膵炎には、急性と慢性がありますよ。急性膵炎とは、アルコール、胆石、高脂血症などによって急激に膵臓に炎症が生じる病気です。膵臓は消化液を分泌するので、重症となった場合は消化液で自己を消化してしまうので、最悪の場合、他の臓器にも悪影響が及び、致命的になることもありますよ。慢性膵炎は、主にアルコールによって膵臓が変性して膵臓の機能が低下してしまう病気です。症状としては、腹通、背部の痛み、体重減少、下痢等が見られますよ。痩せていくにも関わらずインスリン分泌低下による糖尿病になってしまうこともあるのですよ。

膵臓癌

膵癌とも呼ばれます。日本では年間約3万人が亡くなっていますよ。生活習慣や遺伝によるものなど様々な要因で発症すると言われていますが、直接の原因は不明です。 悪性度の高い膵癌(膵管腺癌)は、現代医学において早期発見が非常に難しく進行も早い病気なのですね。膵癌は血液検査や画像検査、内視鏡検査や病理検査(細胞検査)によって診断しますよ。しかしながら、自覚症状が腹痛や腹部不快感などありふれたものであるため早期発見が難しいのです。明らかな症状が発現しているときは病気(ステージ)が進行している例がほとんどですよ。

物言わぬ臓器、すい臓

肝臓と同様に膵臓も「物言わぬ臓器」と呼ばれています。不調があってもなかなか自覚症状が腹痛や腹部の違和感といったありふれたものであって、軽く考えて見過ごしてしまいがちです。異常があっても検査では見つけにくい部位でもあります。膵臓は様々な消化酵素やホルモンを分泌している箇所ですよ。からだ全体にも言えることなのですが、膵臓が正常に機能しなくなると、様々なからだの不調が見られます。膵臓を弱らせる要素はお酒、脂もの、カフェイン、ストレス、早食い、睡眠不足ですよ。食事に気を受ける際は、炭水化物や脂質の摂りすぎに注意しましょうね。

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理科環境と生物の反応生物

3分で簡単「膵液」と「リパーゼ」医学系研究アシスタントがわかりやすく解説

我々は毎日食事をし、からだに栄養素を吸収して健康に生活できている。食べたものはどのように体内で吸収しているのか。様々な栄養素がありますが、今回はその中でも「脂質」について見ていきます。「脂質」は体内でどのように分解されて体内で吸収されるか興味深いな。このことについて 医学系研究アシスタントのライターmimosa(ミモザ)と一緒に解説していきます。

ライター/mimosa

もともと文系出身で、独学で生物学、生化学を勉強し、現在医学系研究所の研究アシスタントとして理系の世界へ飛び込んだ。理科が苦手な方へも興味を持ってもらうべくわかりやすい説明を心掛けている。

からだに必要な栄養素

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ヒトが必要な栄養素は炭水化物、脂肪、たんぱく質、無機塩類(ミネラル)、ビタミンの5種類があります。そのうちの炭水化物、脂肪、タンパク質の3種類は三大栄養素と言って特に大量に必要な栄養素です。ミネラルとビタミンは副栄養素と言って、少量の摂取で良いのですが、それぞれからだの調節作用と関係が深いのです。

三大栄養素

上記でふれた五大栄養素の内で特に大量に必要な炭水化物、脂肪、たんぱく質の三大栄養素について説明しますね。まず一つ目が「炭水化物」ですよ。主にエネルギー源として使われます。二つ目に「脂肪」です。脂肪と聞くと、不要なもののイメージがあるかもしれまんせんが、貯蔵のできるエネルギー源として重要なのですよ。 三つ目は「たんぱく質」です。エネルギー源としても使われますが、細胞の構成成分としてもまた、酵素の主成分としても重要ですよ。たんぱく質の中には、体内で合成できない必須アミノ酸があります。これらは食物として体内に取り込む必要がありますよ。

副栄養素

副栄養素の中でまず、ミネラルについて説明しますね。鉄(Fe)は血液中のヘモグロビンの主な成分ですよ。カルシウム(Ca)は歯や骨以外にも血液凝固にも関わっていますよ。ナトリウム(Na)は体液濃度の調節、活動電位の発生、カリウム(K)は活動電位の発生、体液濃度の調節に関わっています。

次はビタミンについて説明しますね。ビタミンは種類が多いので、簡単に説明しますね。主なヒトのビタミンは、ビタミンA、B群、ナイアシン、C、D、E、Kです。その中でも大きく水溶性と脂溶性の二つに分かれます。水溶性はビタミンB1、 B2、 B6、 B12、C、ナイアシンであり、そのほかのものは脂溶性(油に溶ける)となっています。

脂質とは

炭素、水素、酸素の3元素から成り立っていますが、炭水化物に比べて酸素が少なく、リンや窒素を含むものも。脂質は、ホルモンは細胞膜などの構成成分として生物体内で利用され、さらにビタミンA、D、Eなどの脂溶性ビタミンの腸からの吸収を助ける働きをしています。

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