この記事では「手を貸す」について解説する。

端的に言えば手を貸すの意味は「手助けすること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「手を貸す」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「手を貸す」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「手を貸す」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「てをかす」です。

「手を貸す」の意味は?

「手を貸す」には、次のような意味があります。まずは、国語辞典の意味を確認してから、さらに詳しくチェックしていきましょう。

1.労力を貸す。助力する。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「手を貸す」

ほかの何かのために、自分の労力を提供したり人の助力をすることというのが基本的な意味合いです。

誰かが荷物を運ぶのを手伝うなどの短期間のちょっとした手伝いから、ビジネスで協力する場合などの重要な場面も含めて幅広く使うことができる表現になっています。その対象は、子供や老人などの個人の場合やグループ、または特定の誰かではなく世の中のためになることなども含まれますよ。

「手を貸す」の語源は?

次に「手を貸す」の語源を確認しておきましょう。

「手を貸す」は、「手」と「貸す」のもとの意味に由来する表現です。「手」は労働力や人手などのこと、「貸す」のほうは労力や能力などを他人に提供することを表しています。そこから、労力を提供するという意味につながっていますよ。「手」のほうは、「手が足りない」「女手一つで…」といった場合にも、労働力や人での意味合いで使われています。

\次のページで「「手を貸す」の使い方・例文」を解説!/

「手を貸す」の使い方・例文

「手を貸す」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.高齢の母に手を貸そうと家事を手伝ったが、わたしのほうが時間がかかり少し複雑な気持ちになった。

2.友達の会社が人手不足とのことで手を貸したら、売上高も純利益も前年同期比を上回り堅調に推移しているとのことで安心した。

3.子供がローマ字を復習しているときに質問を受けたが、どこまで手を貸すべきかさじ加減がむずかしい。

状況や環境にはそれぞれに違いはありますが、いずれの例文も労力を提供したり助力したりという意味合いで使われています。

例文1.は、結果はどうあれ、高齢の母に手を貸したということです。例文の2.のほうは、自分の会社から友人の会社に人手を提供したところ、損失の危機だったのが増収となり胸をなでおろしているようすが書かれています。例文3.では、子供の学習内容を教えたりヒントを出したりと、どのレベルまでやってあげるのが本人のためであるのかを悩みながら対応している文です。

「手を貸す」の類義語は?違いは?

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それでは、「手を貸す」の類義語についての説明です。「手を貸す」に意味が近い表現について、一緒に詳しく見ていきましょう。

「一肌脱ぐ」

「手を貸す」の類義語には、「一肌脱ぐ(ひとはだぬぐ)」があります。意味は、他人のために本気になって助力することです。本気で事を行うには、着物の袖がじゃまにならないように手を抜いて肩を出し半分裸になることを表しています。また、「一肌」とは一方の腕や肩ということです。

意味そのものは「手を貸す」も「一肌脱ぐ」も同じですが、「一肌脱ぐ」のほうが本気度では上回っており、一定以上の労力を要する場合によく使われます。

\次のページで「「一役買う」」を解説!/

「一役買う」

もう一つの類義語には、「一役買う(ひとやくかう)」があります。自らすすんで一つの役割や役目を引き受けることや助力することという意味です。「買う」とは、すすんで引き受けるという意味で使っています。「喧嘩を買う」という表現も、同じ意味合いで使われていますよ。

「一役買う」は、頼まれて引き受けるのではなく、すすんで引き受ける場合の表現です。「手を貸す」のほうは、どちらの場合でも使う表現になっています。

「手を貸す」の対義語は?

次に、「手を貸す」の対義語についての説明です。労力を提供しないという意味合いの表現について、一緒に見ていきましょう。

「座視する」

「手を貸す」の対義語には、「座視する(ざしする)」があります。意味は、黙って見ているだけで手出しをしないということです。「座」と「視」の意味から、座ったまま見ているだけで手を出したり行動するとこはないということがもとになっています。

「手を貸す」とは行動し労力を提供することなので、動かずに見ているだけという「座視する」はちょうど反対の意味になりますね。

「切り捨てる」

もう一つの対義語には、「切り捨てる(きりすてる)」があります。必要でない部分を切って捨ててしまうという意味です。そこから、ある基準に満たない人やもの、部分などを捨てたり無視をするという意味合いにつながっています。

人に対しては、一定の水準に満たないものに手を差し伸べるのではなく、無視して見捨てるという意味合いです。例えば、「この政策は弱者を切り捨てるようなものだ」などとなります。

「手を貸す」の英訳は?

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最後に、「手を貸す」の英訳についての説明です。日本語と英語では言語の違いはありますが、キーワードとなる英単語を使いながら近い意味を表す英語表現について見ていきましょう。

「help + 人」

「手を貸す」の英訳には、「help + 人」があります。意味は「(人を)助ける、手伝う、助力する」で、後ろに対象となる人を続けて使うのが一般的です。「assist + 人」としても「(人を)手伝う、手助けをする」という意味で使うことができます。

その他、「give + 人 + a hand」としても、同じく「(人に)手を貸す」という意味です。例えば、「Please give me a hand carrying this box.(この箱を運ぶのを手伝ってくれませんか)」といった使い方ができますよ。

\次のページで「「手を貸す」を使いこなそう」を解説!/

「手を貸す」を使いこなそう

今回の記事では「手を貸す」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「手を貸す」の基本の意味は、労力を提供したり助力したりすることです。頼まれてのことか自らすすんでのことかによらず、とにかく助力することを表しています。また、その助力の度合は全力や命懸けというレベルではなく、日常的な場面で気軽に使えるようなイメージの言葉です。

" /> 【慣用句】「手を貸す」の意味や使い方は?例文や類語などを現役塾講師がわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

【慣用句】「手を貸す」の意味や使い方は?例文や類語などを現役塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「手を貸す」について解説する。

端的に言えば手を貸すの意味は「手助けすること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「手を貸す」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「手を貸す」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「手を貸す」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「てをかす」です。

「手を貸す」の意味は?

「手を貸す」には、次のような意味があります。まずは、国語辞典の意味を確認してから、さらに詳しくチェックしていきましょう。

1.労力を貸す。助力する。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「手を貸す」

ほかの何かのために、自分の労力を提供したり人の助力をすることというのが基本的な意味合いです。

誰かが荷物を運ぶのを手伝うなどの短期間のちょっとした手伝いから、ビジネスで協力する場合などの重要な場面も含めて幅広く使うことができる表現になっています。その対象は、子供や老人などの個人の場合やグループ、または特定の誰かではなく世の中のためになることなども含まれますよ。

「手を貸す」の語源は?

次に「手を貸す」の語源を確認しておきましょう。

「手を貸す」は、「手」と「貸す」のもとの意味に由来する表現です。「手」は労働力や人手などのこと、「貸す」のほうは労力や能力などを他人に提供することを表しています。そこから、労力を提供するという意味につながっていますよ。「手」のほうは、「手が足りない」「女手一つで…」といった場合にも、労働力や人での意味合いで使われています。

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