この記事では「幕を引く」について解説する。

端的に言えば幕を引くの意味は「物事が終わる。物事を終える。」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

本の虫ライターのジュリアン・ソレルを呼んです。一緒に「幕を引く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ジュリアン・ソレル

本の虫ライター。多い時だと月間30冊読破する。漢字や熟語、ことわざ、故事が好き。正確でロジカルな文章を用いる。記憶の定着には丸暗記よりも深い理解が大切であるとの観点から、語源や類義語まで幅広く派生し、関連語の習得も狙った解説を心がける。

今回は、慣用句「幕を引く」をベースに、類語の「終止符を打つ」や英訳の「bring down the curtain」などを意味や語源から例文までみっちり解説。

「幕を引く」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「幕を引く」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「幕を引く」の意味は?

「幕を引く」には、次のような意味があります。

1.物事が終わる。物事を終える。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「幕を閉じる」

「幕を引く」は「幕を閉じる」や、「幕を下ろす」、「幕になる」、「幕切れ」などとも言われます。

意味は「物事が終わる。物事を終える。」であるように、何かの物事が自ずと終わることも、自らが終わらせることも両方あらわし、受身では「幕が引かれる」です。

「幕を引く」の語源は?

次に「幕を引く」の語源を確認しておきましょう。

「幕を引く」の「幕」とは、舞台や劇場の幕のこと。つまり芝居や劇が終わり、幕が閉じる、下りることに由来。そして慣用句には多くの「幕」を使ったものがありますが、これらは歌舞伎に由来するといわれています。歌舞伎の舞台で使用される、左右に開閉する「引幕(ひきまく)」や、巻いて上げ下ろしをする「緞帳(どんちょう)」が慣用句の由来です。

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「幕を引く」の使い方・例文

「幕を引く」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.徳川幕府が朝廷に政権を返す大政奉還を行なったことで、約260年にも及んだ江戸時代に幕が引かれた。
2.平成に幕が引かれ、新たな年号である令和の時代がはじまる様子はテレビ放送を中心に広く報道された。
3.うちの父は長年研究職に携わってきたが、自ら志願した早期退職で幕を引いた。
4.最後の最後で一見簡単に改善できると思われていた課題が大きな矛盾を生んでいることに気づき、長期プロジェクトに幕を引くことができない。

例文にもみられるように、「江戸時代」や「平成」が自ずと終わる場合には「幕が引かれる」と受け身の形になり、「研究職」、「長期プロジェクト」を自らが終わらせる場合には「幕を引く」というように言われることが一般的です。

また、長年、長期に渡った物事が終わる場合にこの「幕を引く」という言葉が使われることが多いのは、語源が芝居や劇であり「物語の終わり」というニュアンスを含むことに起因するのかもしれません

「幕を引く」の類義語は?違いは?

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それでは次に「幕を引く」の類義語について見て行きましょう。

「終止符を打つ」

「終止符を打つ」の意味は「物事に決着をつけて終わらせること」です。この言葉は「幕を引く」とは違って、物事が自ずと終わる、という場合には使われず、誰かが物事を自ら終わらせる、という場合に限られます。

ピリオドを打つ」とも言われるこの言葉の由来は、文章を終止符、ピリオドで終わらせることから。ピリオドとは英文の文末につく「.」であり、日本語の場合は「。」にあたるものです。それでは「終止符を打つ」の例文を見て行きましょう。

\次のページで「「幕を引く」の対義語は?」を解説!/

1.数年にも及び、多くの関連する職種の人々から注目を集めた二社間の訴訟は、第三者の介入でついに終止符を打たれるようだ。
2.長く続いた恋人とは、お互いの仕事の忙しさなどからすれ違いが続いており、関係に終止符を打つべく話し合いを持った。
3.長年に渡って地域住民に愛されてきた博物館は、近年の経営困難と組織内の様々な問題からその歴史に終止符を打つそうだ。
4.その日本の伝統に関する情報を掲載するサイトは、その充実した内容と辞典的な性質から多くの検索数と閲覧数を得たが、不可解な事情から運営に終止符が打たれた

「幕を引く」の対義語は?

それでは次に「幕を引く」の対義語についてみていきましょう。

「幕が開く」

「幕が開く」の意味は「物事が始まること」。「幕を引く」の語源でもみられたように、こちらも舞台の幕が開き、物語が始まることに由来。「幕が上がる」や、「幕を開ける」、「幕を切る」、「幕を切って落とす」、「幕開け」など多くの言い方があります。

この「幕を切る」、「幕を切って落とす」とは、歌舞伎の舞台上方の棒から下がっている幕を瞬時に引っ張って下ろすことです。舞台転換の際にこの技術が用いられ、次の場面が始まる合図となったことが言葉の由来となりました。

「幕を引く」の英訳は?

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それでは次に「幕を引く」の英訳を見て行きましょう。

「bring down the curtain」

「bring down the curtain」の意味はそのまま「幕を下ろす」で、つまり英語にも同じ表現があるということです。「curtain」とは部屋にかける「カーテン」を意味する他にも、「幕や緞帳(どんちょう)」、「開幕(時間)」、「さえぎる、覆うもの」、「死、解雇」も意味します。

他にも「curtain」を使った英語のイディオムには「behind the curtain」というものがあり、これは直訳すると「カーテンの後ろで、裏側で」ですが、「黒幕に、秘密に」という意味に。

「bring down the curtain」、「behind the curtain」ともに、「the curtain」という形になることに注意が必要です。

\次のページで「「幕を引く」を使いこなそう」を解説!/

「幕を引く」を使いこなそう

この記事では「幕を引く」の意味・使い方・類語などを説明しました。言葉の意味だけではなく語源や関連する言葉まで紐づけてみていくとより理解が深まり語彙力が上がり、記憶にも残りやすくなるでしょう。

皆さんも、「幕を引く」や、同義語の「終止符を打つ」、英訳の「bring down the curtain」を使いこなし、その語源に渡るまで様々な関連する知識を披露してみてください!

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【慣用句】「幕を引く」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「幕を引く」について解説する。

端的に言えば幕を引くの意味は「物事が終わる。物事を終える。」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

本の虫ライターのジュリアン・ソレルを呼んです。一緒に「幕を引く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ジュリアン・ソレル

本の虫ライター。多い時だと月間30冊読破する。漢字や熟語、ことわざ、故事が好き。正確でロジカルな文章を用いる。記憶の定着には丸暗記よりも深い理解が大切であるとの観点から、語源や類義語まで幅広く派生し、関連語の習得も狙った解説を心がける。

今回は、慣用句「幕を引く」をベースに、類語の「終止符を打つ」や英訳の「bring down the curtain」などを意味や語源から例文までみっちり解説。

「幕を引く」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「幕を引く」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「幕を引く」の意味は?

「幕を引く」には、次のような意味があります。

1.物事が終わる。物事を終える。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「幕を閉じる」

「幕を引く」は「幕を閉じる」や、「幕を下ろす」、「幕になる」、「幕切れ」などとも言われます。

意味は「物事が終わる。物事を終える。」であるように、何かの物事が自ずと終わることも、自らが終わらせることも両方あらわし、受身では「幕が引かれる」です。

「幕を引く」の語源は?

次に「幕を引く」の語源を確認しておきましょう。

「幕を引く」の「幕」とは、舞台や劇場の幕のこと。つまり芝居や劇が終わり、幕が閉じる、下りることに由来。そして慣用句には多くの「幕」を使ったものがありますが、これらは歌舞伎に由来するといわれています。歌舞伎の舞台で使用される、左右に開閉する「引幕(ひきまく)」や、巻いて上げ下ろしをする「緞帳(どんちょう)」が慣用句の由来です。

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