【慣用句】「屁でもない」の意味や使い方は？例文や類語をWebライターがわかりやすく解説！

ライター／ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役WEBライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典文学からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、慣用句「屁でもない」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「屁でもない」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「屁でもない」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「屁でもない」の意味は？

まず初めに、「屁でもない」の正しい意味を、辞書からの引用で確認していきましょう。

1．問題とするに足りない。何でもない。非常にたやすい。

出典：デジタル大辞泉（小学館）「屁でもない」

2．どんな点から見ても、あえて取り上げるに値しないととらえられるもの。

出典：新明解国語辞典（三省堂）「屁」

「屁でもない」は（へでもない）と読みます。「屁」はご存知の通り「おなら」のことです。そして「屁」には「おなら」以外のもう一つの意味があります。先に記載した辞書からの引用2の通り「屁」は、取るに足らないつまらないもの、という例えでもあるのですね。つまり、「屁でもない」とは、取るにたらないつまらない「屁」にも値しないもの、と言うことになります。

「屁でもない」の語源は？

次に「屁でもない」の由来を確認しておきましょう。

先述しましたが「屁」は、つまらない値打ちのないものの例えにもなる言葉です。そして、同じ意味の「屁」を使う言葉に、「屁とも思わない」と言う慣用句があります。これは、つまらない値打ちのない「屁」だとも思わないということで、なんの気にもとめない、と言う意味です。つまり「屁」と言う言葉には、対象に対して「つまらないどうでもよいもの」と言う蔑視がこめられているのですね。

このように「屁でもない」は、「屁」という値打ちのないものにも匹敵しない、と言う嘲りの気持ちを表現して作られた慣用句です。

「屁でもない」の使い方・例文

それでは次に、「屁でもない」の使い方を、実際の例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1．一時とは言えアメリカに住んでいたのだから、中学程度の初級英語なら屁でもないだろう。
2．真の芸術家を目指すなら、他人の評価など屁でもない些事だと思いなさい。
3．次の対戦相手と僕とでは、レベルが違いすぎて屁でもない。

「屁でもない」は、端的に言えば「取るに足らない」と言う意味ですが、文章の中ではそれぞれ少しづつニュアンスが違ってきます。例えば1の例文ですと「初級英語なら屁でもない」、つまり簡単で取るに足らないと言う意味ですし、例文2では「他人の評価など屁でもない」、どうでもいい些細なことだと言う意味合いになってくるのです。そして、最後の例文3は、ひとを軽んじている言い方で相手にもならないと言う意味で使っていますね。

このように「屁でもない」は、会話の中でも使いようがありそうな言葉ですが、時として悪意を感じる言葉ですし、上品な表現とは言えませんので十分注意が必要でしょう。

「屁でもない」の類義語は？違いは？

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「屁でもない」の類義語として挙げられるものには「朝飯前」や「木っ端の火」があります。

「朝飯前」

「朝飯前」（あさめしまえ）は、聞いたことがある人も多いでしょう。朝飯前にもできてしまうほど簡単な事だ、と言う意味です。前の項目で説明したとおり「屁でもない」は、簡単で取るに足りない、と言う意味でも使われます。やるべきことが自分にとって簡単でなんでもないことの場合、「屁でもない」を「朝飯前」に言い換えることができるでしょう。

それでは「朝飯前」の使い方も、実際に用いた例文で確かめてみましょう。

1．お客様から高額なお礼の品をいただいたが、私にとっては朝飯前な仕事だったので恐縮してしまった。

2．数分の動画編集くらい朝飯前ですから、無料でサービスさせていただきます。

「屁の河童」

「屁の河童」（へのかっぱ）と言う言葉もよく耳にしますね。意味は、取るに足らない簡単なこと、些細なことで気にしないことです。「屁の河童」の語源には説が色々あるようですが「木っ端の火」（こっぱのひ）と言う慣用句が訛ったものだとも言われています。「木っ端の火」の意味は、ささいなこと、たわいない、と言うことです。そして、「こっぱのひ」が「かっぱのへ」と転じ、江戸時代の逆さ言葉（倒語）の影響で語順が逆になり「へのかっぱ」と言われるようになったと言われています。

「屁の河童」の例文を参考に、使い方を確認しましょう。

1．その作業は、この方法で適当にやれば屁の河童だよ。

2．あなたみたいなタイプは、ユーザーのクレームにも屁の河童で対応できそう。

「屁でもない」の対義語は？

「屁でもない」の反対の意味を持つ語としては「悪戦苦闘」や「至大至重」が挙げられます。

「悪戦苦闘」

「悪戦苦闘」は（あくせんくとう）と読みます。意味は、大変な困難の中で苦しみながらも努力すること、です。「屁でもない」は、「そんな課題は屁でもない」と言った場合、物事が簡単で造作もないと言う意味合いで使いますから、その場合は「悪戦苦闘」が対義語としてふさわしいでしょう。

「至大至重」

「至大至重」は（しだいしちょう）と読みます。「至」という語には、この上もないという意味がありますので、「大」と「重」と組み合わせて、この上なく重大なこと、と言う意味です。「屁でもない」を「屁でもない脅し文句」などと使う場合は、取るに足らない些細な事、と言う意味ですから、「至大至重」が対義語として挙げられるでしょう。

「屁」を使った言葉

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「屁」を使った言葉に「屁理屈」と言う単語がありますね。「屁理屈」は、どうして「屁」がつくのでしょう。

「屁理屈」

「屁理屈」（へりくつ）とは、筋の通らない理屈、道理に合わない理屈、のことです。そして、「理屈」とは物事を筋道通りに考えることですね。ではなぜ「理屈」に「屁」がつくかと言うと…、この「屁」は今回の記事で説明してきた、つまらない値打ちのないものの例えとしての言葉なのです。つまり、なんの値打ちもないつまらない理屈をこねることを、「屁」と「理屈」を合わせた「屁理屈」という言葉で表したのでしょう。

「屁でもない」を使いこなそう

この記事では「屁でもない」の意味・使い方・類語などを説明しました。普通「屁」と言えば「おなら」のことだと一番に思いますよね。今回の説明で、なぜ「屁でもない」や「屁とも思わない」、「屁理屈」などの言葉に「屁」がついているのかお分かりいただけたと思います。ただし、取るに足らないことだと暗に言っているとは言え、「屁」と言う言葉自体決して上品ではありませんので、使うときには注意してください。「屁でもない」を言い換えて「朝飯前」などを使うと良いかもしれませんね。