
5分で分かる「肺呼吸」呼吸の仕組みを東大生物学科卒が分かりやすくわかりやすく解説
対応する概念としては、エラ呼吸や皮膚呼吸というものが挙げられる。今回は肺呼吸についてメインで解説しつつ、エラ呼吸や皮膚呼吸についても、東大生物学科卒で生物に詳しいライターAEON2と一緒に解説していきます。
ライター/AEON2
東京大学理学部生物学科出身で、在学中は塾講師として高校受験生物の指導をすること多数。また高校時代には、国際生物学オリンピックの国内選考で銅メダルを受賞した経験あり。趣味はボディビルディング。
肺呼吸とは?

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まず初めに、肺呼吸について見ていきます。
私たちヒトも肺呼吸を行っていますので、普段の呼吸のことを思い出しながら読んでいただくと、理解の助けになるでしょう。
呼吸器官の構造とは?

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まずは、呼吸器官の構造について見ていきましょう。
呼吸器官は、大きく分けると、上気道と下気道に分類され、上気道には、鼻腔・咽頭・喉頭、下気道には、気管、気管支(きかんし)、肺が含まれます。鼻腔内部は粘膜に覆われており、これにより、吸い込んだ空気を温めたり、湿気を与えたりすることができるというわけです。咽頭は空気の通り道であると同時に、食べ物の通り道でもあるため、それぞれが混同しないようにする仕組みを持っています。食べ物が咽頭及び喉頭を通過する際には、嚥下反射と呼ばれる働きにより、喉頭にある蓋のような器官(喉頭蓋)が閉まるように動き、これにより、食べ物が気管に入り込むのを防ぐというわけです。
気管は、気管軟骨と呼ばれる約20個の軟骨及び、平滑筋・粘膜からなる組織で、上気道を通ってきた空気の通り道となります。気管は心臓のあたりで二股に分岐しますが、この部分が気管支です。気管支は、その後、さらに分岐して左右の肺の中へ入っていきますが、この時、右の肺では3本、左の肺では2本に分岐します。さらに最終的には、20回から30回ほど分岐をし、より細い管へと変化していくのです。下気道の終着点は肺ですが、肺はその形状から肺葉という構造に分割して数えられることがあり、右肺は上中下の3種、左肺は上下の2種に区分されます。気管支から分岐してきた空気の通り道となる管は、最終的には、終末細気管支と名前を変え、肺の隅々まで行き渡るというわけです。終末細気管支には肺胞と呼ばれる袋状の構造が付着し、これにより血液中のガス交換が行われます。
上気道 → 鼻腔・咽頭・喉頭
下気道 → 気管・気管支・肺
上気道と下気道にどの部位が含まれるかを正しく把握しましょう。
肺呼吸の仕組みとは?

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肺呼吸は、上気道及び下気道を通過してきた空気に含まれる酸素を体内に取り込み、逆に体内で不要となった二酸化炭素を排出する仕組みのことです。
気管が肺に入り込んで終末細気管支と名前を変えることと、さらにその先端には肺胞という器官が付着していることはすでに説明しました。肺胞には毛細血管が多数絡みついており、血液がここを流れる際にガス交換が行われるという仕組みです。血液中に含まれるヘモグロビンは、周りの酸素濃度が高い時には酸素を取り込み、逆に酸素の量が少ない場合は酸素を放出する働きを持っています。このヘモグロビンの働きにより、血液は、肺では酸素をたっぷりと吸収し、抹消の器官にある細胞では酸素を受け渡すという役割をこなすことができるというわけです。また、血液中を流れてきた二酸化炭素は、肺胞を介して、呼気(吐き出す息)とともに体外へ排出されます。
肺自体は筋肉を持たない組織であるため、膨らんだり萎んだりするためには、肋間筋と横隔膜の働きにより、体内の圧力が調整されることが重要です。肺が膨らむ(体積が大きくなる)際には、肋間筋や横隔膜が収縮して胸郭が広がり、反対に肺が萎む(体積が小さくなる)際には、肋間筋や横隔膜は弛緩します。
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